電装DIYの知識
エーモンスイッチの種類と選び方
「スイッチを取り付けたいけれど、種類がたくさんあって選び方がわからない」というのは、電装DIYのよくある困りごと。そこで車の後付けスイッチを多数出しているエーモンで、スイッチの種類と選び方について聞いてみた。
スイッチを使いたいけれど、種類が多くて選べない
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車に何か電装品を取り付けて、「手動でオンオフできるようにしたい!」となったら必要になるのがスイッチですが……。
●レポーター:イルミちゃん
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車のDIY向けスイッチでしたら、エーモンにオマカセください。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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……まあ、確かに後付けスイッチと言えばエーモンなんですけど……
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けど……なんですか?
また何かモンクを言おうとしてますね。 -
例によって、種類が多すぎるっていうか。
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……まあ確かにエーモンのスイッチはたくさんあります。ジャンルだけでもこの位、ありますからね。
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ちなみにエーモンスイッチの種類は、これで全てではありません。
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上写真はあくまでもジャンルの区分で、それぞれのジャンルの代表製品を並べた感じです。
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これって、電装品の電源をオンオフするという目的は同じなんですよね?
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そうです。
そういう意味では全部同じですね。 -
それなのに、スイッチの種類ってこんなにあるのかー。
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今日はその違いを初心者向きに解説しましょう。
スイッチのジャンル
プッシュスイッチの種類
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まずは定番的なプッシュスイッチです。
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押せばいいやつですね。
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ハイ。指による押し動作によって、オンオフを切り替えるタイプです。
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イメージ的には、コレが一番普通のスイッチですね。
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この中で最もスタンダードなモデルが、「貼り付けプッシュスイッチ」となります。
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実はこの「貼り付けプッシュスイッチ」にもいろいろ種類があるんですが、ここでは一番人気の「3223」だけに絞り込んでいます。値段も一番安い。
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この貼り付けプッシュスイッチは、名前の通り付属の両面テープで、貼り付けて固定します。どこにでも付けられる手軽さがメリットですね。
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実際のところ、初心者にはコレが一番、使いやすいかも知れませんね。
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で、これとよく似た製品に「貼り付けクリックスイッチ」という新モデルがあります。
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これも、貼り付ける手軽さは同じですね。
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そうです。違いは、押したときにマウスのようなクリック感があることです。
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ここまでの違いは分かりやすい。しかし、まだ似たような形状のがありますね……
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その次は、固定方法が変わりまして、純正空きスイッチパネルと交換するタイプのプッシュスイッチがあります。
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つまり、埋め込み方式ですね〜。
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そうです。見た目が純正風にインストールできるのがメリットです。
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なるほど、なるほど。
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ただし、車種によって空きスイッチパネル寸法が異なるので、合うものを選ばないといけません。
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交換型は、適合をよく確認しましょう。同じトヨタ車でも寸法は違いがありますよ〜。
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次は、昔ながらのプッシュスイッチです。
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あのぉ! さっきからず〜っとプッシュスイッチなんですけど……。
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そうでしたね(゚ー゚;A。……けれどこれは、昔からあるデザインの別のモノです。
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あー。これは見た目がいかにも「スイッチ」ですね。
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ハイ。貼り付けタイプのように、ペタっとは固定はできませんが、DIY用途で根強い人気があります。
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どうやって固定するんだろう?
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穴を開けて固定したりとか、いろいろですね。
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小振りだから、隠して付けるのも良さそうです。
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で、このタイプのプッシュスイッチには、「自動もどり」タイプが選べるのがポイント。上で紹介した「3211」がまさにそれなんです。
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自動もどりって?
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押している間だけオンで、離したらオフになります。
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あー、エアサスみたいな感じのスイッチですね。
Amazonでも販売されているエーモン 貼り付けプッシュスイッチ(3223)
詳細はAmazonのエーモン 貼り付けクリックスイッチ(3226)
詳細はAmazonのエーモン プッシュスイッチ・トヨタ車用(3216)
✔ ひとくちメモ
例えば「プッシュスイッチ・トヨタ車用」と似たアイテムで、「純正風プッシュスイッチ」という製品もある。こちらは電源マークが光らないが、トヨタ車用やダイハツ車用のほかに、ニッサン車用・ホンダ車用・スズキ車用なども含めて広く対応している。
詳細はAmazonのエーモン プッシュスイッチ(3211)
ロッカスイッチはシーソー方式
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次はロッカスイッチです。
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プッシュスイッチとどう違うんでしょうか?
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ロッカスイッチは、シーソーみたいに倒してオンオフを切り替えるスイッチのことです。
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オンのほうに、パタンと倒せばいいんですね。
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ハイ。今オンなのかオフなのか、倒れた状態を見れば分かります。
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LED付きのモデル(3215)などもありますが、ここでは定番モデルの「3214」を紹介しました。
詳細はAmazonのエーモン ロッカスイッチ(3214)
トグルスイッチはレバー方式
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次はトグルスイッチ。これはレバーを倒す方式のスイッチです。
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「パチーン」と切り替えるところが、なんかメカニカルな感じ。
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上の「3203」はスタンダードなON-OFF切り替えタイプですが、ON-OFF-ON切り替えタイプ(3207)などもあります。
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ON-OFF-ON切り替え?
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こっちに倒すか、あっちに倒すかで、2つの電装品を切り替えできるトグルスイッチですよ。
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真ん中のオフも入れると、3段階になるんだ。
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あとは、防水タイプも用意してあるのがポイント。車外でスイッチを使いたい時用ですね。
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ところで上記の例でも使用しておりますが、昔からエーモンが出している12Φのトグルスイッチに合わせて設計された、スイッチパネルもあります。
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これを組み合わせて使うと、固定に便利です。
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ダッシュボード下部に固定するとき等に、よく使われていますね〜。
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ところで、エーモンのロッカスイッチやトグルスイッチは、配線との接続部分に250型の平型端子が使われております。
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平型端子を扱ったことがないよ〜という人は、「平型端子の種類(サイズ)╱250型、110型、187型の違い」を読めば分かりますヨ。
詳細はAmazonのエーモン トグルスイッチ(3203)
やり方は「車外の配線に防水トグルスイッチを取り付ける方法」参照。
詳細はAmazonのエーモン スイッチパネル(3232)
恐るべきステルススイッチ!
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次はちょっと特殊なスイッチなんですが、ステルススイッチというのもあります。
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ステルス……!!
レーダーに写らないやつだっ! -
そこまで大げさではないですけど、隠して付けるタイプのスイッチです。
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隠して付ける? そんなの、プッシュスイッチだって隠せばいいじゃない?
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いや、このスイッチは、触れない場所に隠せるんですよ。内装パネルの裏側とかに。
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どうやって押すの?
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手をかざします。静電容量を感知して、電装品のオンオフができるんです。
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静電気ってことですか?
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静電容量とは、物体と物体の間の空間に存在している電荷のことで、手をかざしたりすると、変化します。
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なんか未来っぽい!
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しかも、普通のオンオフモードの他に、例の「自動もどり」モードも選択できるので、「手をかざしている間だけオン」とかもできます。
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どういう用途で使うんでしょう?
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ドリンクホルダー底に設置して、ドリンクを置いている間だけLEDをオンにするとか。
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ドリンクにも反応するんですか?
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します。人間のカラダや、飲み物が近づくと、さっきの静電容量というのが変化しますので。
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へぇ〜。これは使いこなすと、面白いことができそうですね。
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ただ、半径2センチ以内の空間にしか反応しないので、あまり分厚いモノの裏に付けても反応しません。
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ちょっと取り付けがシビアそうなスイッチではありますね。
詳細はAmazonのエーモン ステルススイッチ(3230)
開閉連動スイッチはマグネット方式
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あとは、人間の手で触らないタイプとして、開閉連動スイッチがありますね。
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触らないでオンオフって……まさか「気」を感知して?
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マグネットが離れたらオン、近づいたらオフの仕組みになっているんです。「気」はまだ無理そうです。
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これを、例えばグローブボックスなどに設置しておいて、グローブボックスを開けた時だけLED照明をオンにするとか、できますよ。
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そういう制御が加わると、LEDもなんか純正っぽいですね。
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応用技として、スライドドアを開けたときだけステップを照らす照明なども、テープLEDなどと併用して作れます。
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ようするにこれは、自動スイッチってことだ。
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そうですね。なにかの開け閉めに連動させる自動スイッチです。
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なるほど。
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ところで自動スイッチといえば、リレーも自動スイッチの仲間ですよね。
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あー、そういうことになるのか。
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まあ、話がややこしくなるので、今日はリレーは除外しましたが。
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とにかくスイッチは奥が深いです。
詳細はAmazonのエーモン 開閉連動スイッチ(3242)
スイッチを選ぶときは「容量」にも注意しないと壊れるリスクがある、という話はDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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