ギボシ端子の選び方
エーモンのギボシ端子ラインナップ11種類の違いと選び方
ギボシ端子の選び方・最新版。定番のエーモンのギボシ端子が新パッケージになって出揃ったので、全ラインナップの違いをチェック。11種類と数は多いが「自分に必要なギボシ端子がどれなのか?」が速攻でわかるように、それぞれの特徴を簡潔に解説する。
スタンダードな普通のギボシ端子はどれ?
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エーモンのギボシ端子は昔から車業界の定番ですが、少し前から新パッケージに入れ替わり、それにともなって品番やラインナップも変更されています。
●レポーター:イルミちゃん
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現行モデルでは、従来より製品ラインナップの数をしぼり、すっきりとさせました。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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ただ、整理されたとはいっても、ギボシ端子だけで9種類ものパッケージがあります。
※プロ向けのピット用の徳用パッケージは除く。
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防水ギボシ端子を入れると11アイテムありますね。
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初心者の人がはじめてギボシ端子を買う場合は、どれを買ったらいいか分からないことも多いと思うので、選び方をガイドしていきます。
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まず、一番標準的なパッケージがコレです。
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「3301」は昔から定番の「1151品番」の後継モデルです。ギボシ端子のオスメスの組み合わせが12セット入っています。
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では、はじめてギボシ端子を買おうとしている初心者の人は、「3301」を買えばいいですね。
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そうですね。たくさん必要なら、40セット入っている「3302」のほうがお買い得です。
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「3301」と「3302」の違いは、入り数の違いだけになります。
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普通のギボシ端子がほしいなら、このどちらか、と覚えておきましょう。
ギボシ端子のオスだけ・メスだけのセットがほしい場合
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ギボシ端子には、オスだけのセットや、メスだけのセットもあります。
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こういうセットは、なんのためにあるんでしょう?
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まず、端子をかしめるときに失敗することなどもありますよね。
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あー。相方がつぶれてしまったら、反対側だけ余って困るね。
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それから、よくあるケースとして、オーディオハーネスなどを使ってオーディオ周りの配線作業をするとき。
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こういう場合は、ハーネス側に最初からギボシ端子が付いているケースが多いんですね。
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そういえばそうですね。アンプの配線にもギボシ端子が付いていたりするのをよく見ます。
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すでにギボシ端子が付いている線に対してつなぐなら、「オスだけがほしい」といったケースもありますので。
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そんなときはオスメスセットを買って余らせるより、オスだけセットを買うほうが無駄がない。
後入れスリーブタイプのギボシ端子
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ここからはちょっと変わったギボシ端子が出てきます。
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「3305」は後入れスリーブタイプのギボシ端子です。
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後入れ……と言われても、初心者の人には分かりにくいかもしれませんが……
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通常のギボシ端子は、端子を配線コードにかしめる前に、スリーブを通しておく必要があります。
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「ギボシ端子の正しいかしめ方」で教わりました。
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しかし、スリーブを入れるのを忘れてギボシ端子をかしめてしまう、というのはやりがちです。私もよくやります。
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普通のギボシ端子だったら手遅れ?
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ハイ。後からは入りません。しかし後入れスリーブタイプなら「後から入れる」前提なので、入れ忘れの心配がありません。
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後入れスリーブタイプがあるなら、最初から全部こっちを買っておくという手もありますね。
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よくスリーブを入れ忘れる人はそれでもよいと思います。スリーブまわりは少し大きくなりますけど。
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強いて言うなら、そこがデメリットか。端子そのものは通常のギボシ端子と同じなのでしょうか?
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そうですね。
違いはスリーブだけです。 -
なるほど、なるほど。
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ちなみにオーディオハーネスに使われているギボシ端子のスリーブには、このタイプのスリーブが使われているケースも多いですよ。エーモン製もそうです。
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そういう場合、通常のギボシ端子のスリーブだと接続できないことになるの?
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そんなことはないです。ただ、例えば後入れスリーブのメスに、通常のオスをつなごうとすると、スリーブが小さいので隙間が空いたりはします。
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フムフム。
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絶縁はできていますが、スリーブ自体が完全にはかんごうしないから見た目が悪い、といった感じですね。
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やはり後入れスリーブ同士のほうがスマートではあるんだ。
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オーディオハーネスなどと接続するためにギボシ端子を探している場合は、「3305」が適しているケースは多いと思います。
太線用のギボシ端子
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後入れスリーブタイプには、「3306」もあります。
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こちらは太線用のギボシ端子になっています。
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通常のギボシ端子は2スケアまでしか使えないけれど……
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「3306」は3スケアまで対応します。そのかわり普通の0.5スケア線などには使えません。下限は1.25スケアからに適合します。
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太線にも使える、というより、太線専用ですね。
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そうですね。昔からあるエーモンの太線用ギボシ端子の後継モデルです。
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この太線用のギボシ端子はなんのためにあるのでしょうか?
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例えばバッ直配線のときなどに向いていますね。
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バッ直だと太い配線を使うからか。
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エーモンの「リレー付き電源ケーブル」なども、このタイプの太線用のギボシ端子(後入れスリーブタイプ)が使われています。
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そういう線とつなぎたいときは、「3306」の出番ね。
配線の分岐に使えるギボシ端子ダブル
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「3307」はダブルのギボシ端子です。
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ダブルは、ひとつのメス端子に2本のオス端子がつなげる端子のことです。
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つまりは、配線の分岐ができるギボシ端子(↓)
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「3307」には、このダブルのメス端子5つと、普通のオス端子が10個入っています。
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5回分の分岐セットになりますね。
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いっぽう「3308」はダブルのメス端子だけのパッケージです。
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ふだんからギボシ端子を使っていて、オス端子が手元にあるなら、分岐用としてダブルのメスだけ買えばいい。
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そういうことですね。
金メッキタイプのオーディオ向けギボシ端子
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次は、品番の数字がだいぶ離れまして「3342」というギボシ端子。
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これも後入れスリーブなんですが、違いとして金メッキタイプになっています。
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オーディオ配線などでギボシ端子を使う場合は、導通具合が良い金メッキタイプを使われる人も多いです。
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スピーカー線などに使うなら、金メッキのギボシ端子を使うほうがいいよってことね。
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そうですね。通常の電装品の取り付けなどに使う必要はありません。
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オーディオ用ギボシ端子、みたいな感じか。
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それゆえにオーディオハーネスなどと同じく後入れスリープを採用しています。
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ここまでは、9種類のエーモンギボシ端子の違いを解説してきました。この他には、防水タイプがあります。
防水ギボシ端子
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エーモンの防水ギボシ端子は、2種類あります。
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緑スリーブの「3343」は0.5~0.85スケアに対応している標準的な防水ギボシ端子です。
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スリーブの色で見分けられるのはいいですね。ではこっち(↓)は?
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赤スリーブ「3344」は太線用で、1.25~2スケアの配線コードに適合します。
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普通のギボシ端子は、0.5~2スケアまで対応しているのに対して、レンジが狭い。
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そうですね。密着性を高めた防水仕様のスリーブが使われているので、適合範囲がシビアになってきます。
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きちんと適合範囲で使わないと、防水にならない。
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そういうことですね。
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まとめとして、エーモンのギボシ端子ラインナップ全11種類を整理してみました。
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購入時に迷ったら、このページを思い出してね。
商品名 | 特徴 |
---|---|
ギボシ端子セット(3301) | 標準モデル |
ギボシ端子セット(3302) | 標準モデル 徳用 |
ギボシ端子 オスセット(3303) | オスのみ |
ギボシ端子 メスセット(3304) | メスのみ |
ギボシ端子セット(3305) | 後入れスリーブ |
ギボシ端子セット(3306) | 太線用 後入れスリーブ |
ギボシ端子セット(3307) | ダブルのメス・オスセット |
ギボシ端子 メスセット(3308) | ダブルのメスのみ |
ギボシ端子セット(3342) | 金メッキ 後入れスリーブ |
防水ギボシ端子セット(3343) | 防水 |
防水ギボシ端子セット(3344) | 防水 太線用 |
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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