その他灯火類の「明るさ」ルール
「その他灯火類の明るさは、300カンデラ以下」が条件だが、それはどのくらいの明るさなのか。LED製品はカンデラ値が公開されていないものも多いし、その他灯火類としてよく使われるテープLEDも、300カンデラ以下かどうか不明な場合が多い。一体どうすればいい?
その他灯火類の明るさは300カンデラ以下
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「その他灯火類の〈取り付け位置〉ルール」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、「その他灯火類の明るさ」のルール(保安基準)についてです。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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これはよく耳にする話ですね〜。上限があります。
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その他灯火類の明るさは、300カンデラ以下が条件ですね。
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車検のとき、何カンデラという表現がよく出てきますが、カンデラってなに? という人は下記記事でおさらいできます。
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その他灯火類の「300カンデラ以下」をもう少し正確に言うと、ランプ1個あたりの明るさが300カンデラ以下であればいい、ということです。
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2個付けてもいいの?
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複数付けること自体は問題ないです。その他灯火類に数量の制限はないので。
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……まあ、考えてみれば、デイライト風のその他灯火類だって、左右2個セットで付けるのが普通ですね。
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つまりこういう付け方(↑)の場合でも、片側1個あたりが300カンデラ以下であればよいのです。
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……ところでさきほど、数量の制限はないって言いましたよね?
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はい。
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では、3個、4個と付けてもいいんですね?
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数の上では問題ありません。
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では、250カンデラのランプを開口部に10個並べてもいいってことになりませんかね?
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ただし、そうやって明るさが増えたときに、「他の交通の妨げになる光」(幻惑光)が出ていないかどうか、という問題は出てきますよ。
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それね。
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そういう意味で、極端なことをするのはNGの可能性があるのは覚えておきましょう。
300カンデラの明るさってどのくらいなの?
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ここで疑問に思うのは、300カンデラという明るさがどの程度のものなのか。
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それね〜。
難しいですよね。 -
300カンデラ以下と言われても、ユーザーには分からないですよね?
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分からないでしょうね。私だって、目で見て分かるわけではないですから。
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そうなのか。
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例えば300カンデラと400カンデラの違いを、肉眼で見分けるのは難しい話です。
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てことは、上のIPFのデイライト(※法規的にはその他灯火類)が、車検に通るかどうかも判断できないことになりせんか?
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それは大丈夫です。IPFのデイライトは国内モードで100カンデラとなっていますので。
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IPFのように、カンデラ値を公開している製品を付ける場合はいいとしても……
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ふむふむ。
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付けているLEDのカンデラなんて、分からないことがほとんどでしょう?
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まあ、メーカーが公表してなかったら分からないですよね。
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特に、車でその他灯火類というと、テープLEDなどを付けているケースが該当しますが……
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こういうLED技だって、それが300カンデラ以下かどうか、誰にも分からないのでは?
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テープLEDの明るさで、300カンデラを超えるというのも難しい話かも知れませんが……
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……そうかも知れないけど、テープLEDって世の中にいろいろな種類のが売ってますよね。
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そうですね。
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中には300カンデラを超えるモノがあるかも……と思うと心配で夜も眠れない。
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まあ、いちおう計測器を使って、測ろうと思えば測れるんですけど、ちょっとマニアック過ぎるっていうかね。
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え?
カンデラって測れるの?
✔ 海外モードの配線パターンだと400カンデラで点灯する機能を備えているが、これは国内のその他灯火類としては車検不可。
※ 上写真は業界で定番的に使われている、エーモンのサイドビューテープLEDを使っている。エーモン製LEDについては、全製品が「300カンデラ以下」であることをエーモンが公表している。
カンデラ(照度)の測り方。ルクスを測って計算できる
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ここから、カンデラの測り方を教わります。
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簡易的な計測器でカンデラを直接測るものはなかなか無いと思うんですけど、ルクス(照度)だったら測れますよね。
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……ルクスではなくて、カンデラが知りたいんですけど?
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ルクスが分かれば、測定距離からカンデラを計算することはできますよ。
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ほほう。
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以下の計算式でできます。
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例えば、1.2メーターの距離で、90ルクスだったとしたら、90×1.2×1.2=129.6カンデラです。
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カンデラって自分で測れるんですね〜。
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ただし、これを真っ暗な空間でやらないとダメです。
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え?
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明るさを測定するときは、周囲の光が入ってしまうと、測定条件としてはアウトですので。
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そっか。
昼間はムリですね。 -
そんなレベルじゃなくて、夜でも、街灯や照明が点灯したらぜんぜんダメですから。
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ほえー。
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ルクス自体は、簡易的な測定器でユーザー自身が測ることも可能ですけど、ランプのルクスを測るとなると、デフォルトが0ルクスでないと測れないのです。
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つまり真っ暗な空間が必要。
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……なかなか難しい話でしょう? 実際のところ、車検場で測るというのも難しい話です。
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車検のときは、テスターとかで測るんじゃなくて?
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ヘッドライトテスターを使って(流用して)、その他灯火類の明るさを測定しようと思えばできなくはないんですけど、それもちょっと難しいですね。
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その他灯火類の300カンデラって、ヘッドライトに比べるとあまりに明るさの数値が低すぎるのです。
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あー。
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ヘッドライトはヘクトカンデラ測定しています。
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単位が違うんですね。
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そうですね。1ヘクトカンデラ=100カンデラなので、例えば3ヘクトカンデラ(300カンデラ)の次は4ヘクトカンデラ(400カンデラ)ですから、大雑把すぎるのです。
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なるほど。
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カンデラを測るというのは、言うほどカンタンではありませんね。
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しかし、そうなると、IPFの100カンデラというスペックも本当なのかなぁ〜と……
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いやいや、ウチは配光試験室で測ってますから!! もちろんマックラにしてね。
✔ カンデラ=ルクス×距離×距離(※距離の二乗)
ヘッドライトテスター
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF(http://www.ipf.co.jp/)企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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