電装DIYの知識
防水ギボシ端子の正しい使い方と、間違った使い方
普通のギボシ端子は非防水で、車外での使用は基本的にNG。車外で配線を脱着可能な状態でつなぐには「防水ギボシ端子」を使うとよいのだが、まだその存在を知らない人も多い。そこで防水ギボシ端子の正しい使い方を解説。間違った使い方も知っておこう。
普通のギボシ端子は防水ではない!
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ギボシ端子を使っている人はたくさんいると思いますが、ギボシ端子は車外で使うのは基本的にNG。しかしこのことは、あまり知られていません。
●レポーター:イルミちゃん
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普通のギボシ端子は、防水ではありませんので。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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特に、水のかかる場所(グリル裏や腹下など)はマズイ。
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車外の配線を、脱着できる形でつなぎたい場合には「防水ギボシ端子」を使います。
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防水ギボシ端子は、新型なので存在を知らない人も多いと思いますが、どう違うのでしょうか?
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防水といっても、端子自体は普通のギボシ端子と同じなんです。違うのはスリーブ。
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軟質素材のスリーブが密着することで、水が入るのを防ぐ仕組みです。
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へぇ〜。
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エーモンの防水ギボシ端子は、スリーブの違いで2種類が用意されています。
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スリーブが赤いほうの防水ギボシ端子は、太線用になっています。
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配線の太さによって、使う種類が違うんですね。
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ギボシ端子自体は、もともと0.5スケア〜2スケアまでの太線にも対応しているんですが、スリーブのほうは配線の太さに応じて使い分けているんです。
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これはなぜかというと、スリーブが密着することで水の浸入を防ぐ仕組みだからです。線の太さが合っていないと防水になりませんので。
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そういうことか〜。
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密着性を重視しているので、例えば0.5スケア用のスリーブに対して、2スケアではキツくて入らないのです。
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では逆に、太めのスリーブに0.5スケアを通してしまうと……
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隙間ができてしまうので、防水になりません。
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なるほど。配線の太さに合わせて、正しく選ぶ必要があるんですね。
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正しく組み合わせれば、密着して隙間がないことが分かります(↑)。
防水ギボシ端子メスと、そのスリーブ。
緑スリーブの防水ギボシ端子
Amazonでも販売されているエーモン 防水ギボシ端子セット(3343) 0.5〜0.85スケアの配線コードに適合する。
赤スリーブの防水ギボシ端子(太線用)
Amazonでも販売されているエーモン 防水ギボシ端子セット(3344) 1.25〜2スケアの配線コードに適合する。
右から0.5スケア、0.75スケア、1.25スケア、2スケア。
防水といっても「水没状態」はNG!
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防水ということは、水中で使ってもいいんですね♪
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いや、それはダメですね。どういう使用シーンを想像しているんですか?
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防水って、どのくらいまで大丈夫なんでしょう?
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IPX3相当の防水性です。具体的には、水中とか大量に水がかかる場所では使えないのですが、雨がかかる場所、というレベルなら問題ありません。
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アンダーLEDなどの腹下配線で使うとすれば、雨の日はバシャバシャ水がかかりますが……そういう状況は?
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車外や腹下の配線に使うのには、問題ない防水性能です。常に水に浸かっているような状況はNGですけど、車ではそういう場所もないですよね。
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アンダーLEDの配線接続に使えるなら、あとはどんなシーンであっても大丈夫そうですね。
防水ギボシ端子ではダメな場面もある
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アンダーLEDで思い出しましたけど、ひとつ注意点があります。
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なんでしょう?
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防水ギボシ端子は、あくまでも0.5スケア以上の配線コードでしか使えません。
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それはギボシ端子と同じ、ですよね。
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そうですね。従来のギボシ端子と同様ですが、つまり0.2スケアなどの細線には使えないのです。
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フムフム。
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例えば腹下にテープLEDを貼って、アンダーLEDとして使おうとした場合、LEDには細線が付いていることが多い。そういう場面では使えないのです。
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ムムム……そんな時はどうするんですか?
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その場合は、細線にも対応している「防水ワンタッチコネクター」を使います。
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配線の太さを無視して使わないように注意が必要ですね〜。
Amazonでも販売されているエーモン 防水ワンタッチコネクター 接続用(2892)
細線の場合は、防水ギボシ端子はNG
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あのぉ〜、中塚研究員。
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なんでしょう?
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細線のときは「防水ワンタッチコネクター」を使うということですが、ギボシ端子みたいに脱着できませんよね?
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そうですね。防水ワンタッチコネクターは、端子でいうところの圧着端子みたいなもので、一度つなげたら脱着はできませんね〜。
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じゃあ防水で、脱着可能で、細線にも使えるコネクターは?
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その場合は、「防水カプラー」というのがありますよ。
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ただし、これは逆に0.2スケアの細線専用になりますけどね。
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へぇ〜。
さすがエーモンは何でもありますね〜。 -
防水カプラーは配線コードを2本つなげるので、プラス線とマイナス線をいっぺんに抜き差しできますね。
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0.2スケアの細線なら「防水カプラー」、0.5スケア以上あるなら「防水ギボシ端子」ということですね〜。
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そうですね。「防水」+「脱着可能」が条件だと、そういうことになりますね。
一度つないだら抜けない
Amazonでも販売されているエーモン 防水カプラー2極(2891)
つまり、整理すると、こうなります(↓)
配線の太さに合ったものを選ばないと、防水端子でも防水にはならないばかりか、接触不良の原因になりますよ〜
>>> 「防水ギボシ端子の正しいかしめ方(付け方)」の記事も参考になります。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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