純正LEDの修理
プロがやっているLED打ち替えの裏技〈2012チップLED編〉
LEDを打ち替えて純正LEDパーツを修理する技を、プロのLED打ち替え職人に聞く【純正LEDの修理】シリーズ。今回の打ち替え例では、かなり小さい〈2012チップLED〉をあえて使っているのだが、その理由とは…
エルグランドの光るスカッフプレートが球切れして、LEDを打ち替え
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プロのLED加工者が実際に行っている、LED打ち替えの裏技を紹介します。
●レポーター:イルミちゃん
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これはE52エルグランドのLEDスカッフプレートなんですが……
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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ELGRANDの文字が光るんだ。
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そうなんですがLEDが部分的に切れて、明るいところと暗いところで差が出ています。
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あ〜。……これも、球切れ修理の案件なんですね。
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はい。過去に3台ほど同じ修理をしているので、定番なのかもしれません。
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まあ純正LEDテールだって純正ハイマウントストップランプだって純正ポジションランプだって切れるんだから、光るスカッフプレートも例外ではない。
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修理するために分解すると、基板が出てきます。
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これじたいがLEDテープのように見えますが、とても細長い基板なんですね。
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本来は7個のチップLEDが付いていますが、そのうち3個が不点灯になっていました。
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この切れたLEDを、新しいLEDに交換する修理だ。得意の打ち替えですね。
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それだけならいつもの話なんですが、純正で付いているのは側面発光のチップLEDなんですよ。
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側面発光……とはつまり、側方に向かって光を飛ばすLEDのことですね。
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さきほどの長い基板に側面照射のLEDが付いていて、アクリル断面方向に向けて照射しています。
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側面照射のLEDで、アクリルの断面から光を入れているのね。
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そういう仕組みです。
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ではLED打ち替え修理でも、側面発光のチップLEDを使うんですね?
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普通に考えるとそうなります。実際、エルパラでも335側面発光チップLEDなどが販売されていますが……
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ただ、この335のチップLEDは、僕の経験上ではあまり耐久性が高くない印象があります。
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ほう?
切れやすいってこと? -
他のチップLEDに比べるとそういう印象を持っているので、この手の修理では、私は違うLEDを使っています。
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他にも、側面照射のチップLEDがあるの?
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いや、このときの修理に使ったのは、2012チップLEDという正面発光のチップLEDです。
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え? 正面発光のLEDを付けたら、横方向にセットされているアクリルが光らないのでは???
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なので、この2012を横向きに(倒した状態で)付けたんですよ。横に向けて光を飛ばすように。
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なにそのウラ技全開のLED打ち替え! そんなのアリなの???
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私はときどきやります。
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でも正面発光のチップLEDを横に倒したら、電極にハンダ付けできないような……?
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ハイ。チップLEDの電極が、少し浮くことになりますからねぇ。
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ハンダが届かないじゃないか。
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そこはハンダをちょっと多めに、山状に盛ることで、届かせているんです。
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ほええ。そんな技があるなら、打ち替えに使うチップLEDは、なんでもいいことになりそうね。
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そうはいきません。スペース的に高さ制限があります。
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ほう…?
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LED自体の高さが出過ぎてしまうと、アクリルに接触してしまうんですね。
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あう。
そっか。 -
それで、倒した状態でも高さを抑えられるチップLED……となると、この2012が使えます。
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とても小さいLEDですもんねぇ。
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2ミリ×1.2ミリサイズなので、「2012」ということですね。
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こんなちっこいチップLEDにも、ピッタリの出番があったのね。
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それでいうと2012は、けっこう使えるLEDなんですよ。
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ほう。
これ以外にも出番があると…?
エルパラでも販売している2012チップLED
3216や3020からのLED打ち替えに2012を使う手も…
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LED打ち替えって、普通には純正で付いていたLEDと同じサイズのLEDに付け替えるものですが……
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ふむ。
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しかし、同じサイズの新しいLEDに打ち替えると、明るくなりすぎることも多いのです。
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昔の純正LEDチップに比べたら、LEDも進化していますからねぇ。
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ということで、あえてダウンサイズさせる手法はよく使うんですが……
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その場面でも2012が使えるんだ!
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そうなんです。純正で3216とか3020あたりのチップLEDが使われていたら「あえて2012に換装する」手はありですね。
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同じサイズじゃないと、ランドのピッチと合わないでしょうが、野本研究員の場合は……
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ランドが届いていなかったら、あえて盛りハンダみたいにすれば、付けられます。
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そんな離れ技を使ってまで、あえて明るさを抑えるっていうんだから、驚きです。
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LED打ち替えで明るくなりすぎないようにする対策としては、そういう手法もある、ということですね。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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