純正LEDの修理
純正LEDポジションランプ(スモールランプ)が球切れしたら、修理はできるのか?
登場から10年以上が経過し、純正LEDポジションランプ(スモールランプ)の球切れ問題が起こりはじめている。最近はライン発光など凝った作りのポジションランプがすっかり定番化。それだけに光源のLEDが切れてしまったら、昔のように「バルブ交換で修理」は不可能。では、どうすればいい?
純正といえど初期のLEDポジションランプは球切れする
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古い車のLEDテールランプやLEDハイマウントストップランプの球切れは、ありがちなこと。DIYラボでも、何度かレポートしておりますが……
●レポーター:イルミちゃん
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純正LEDだって切れる。つまりテールランプ以外の灯体でも、当然起こりうる。
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最近はちょこちょこと、純正LEDポジションランプの球切れ修理依頼が増えて来ましたね。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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ついに球切れの波が、フロント側にも迫ってきた!
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まあ、そうですね。
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そこで今回は、純正LEDポジションランプ(スモールランプ)の球切れ問題がテーマです。
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例えば30プリウスなどは何台か修理しましたが、これも登場してから10年以上経過していますからね(※2009年発売)
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しかも30プリウスは大ヒット車種だから台数も多いし。
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そうなんですよね。だから球切れ車両も多くなっている気がします。
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ちなみに純正LEDポジションランプが球切れしたら、どういう状態になるのか、という点から見ていきましょう。
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こんな感じですね。
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本来は上下のラインが発光しますが、上側のラインしか光らなくなっています。
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光源のLEDが、部分的に切れてしまっている。
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そうですね。ライン発光する純正LEDポジションランプは、導光板に対して複数個のLEDチップが光源として使われていますが、1個でも切れれば部分的にはラインが光らなくなります。
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昔の電球の車だったら、バルブ交換ですぐ直せたんだけど……
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今の車だとポジションLEDが球切れしただけでも、修理するためにはヘッドライトを殻割り(分解)しなければなりません。
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そこで、この30プリウスのヘッドライトを分解してみたところ……
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LEDがひとつ点灯しているのが見えますね。
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本来は2つのLEDで導光板を光らせている構造でしたが、こちらの基板のLEDが切れています。
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それで、下側のラインだけ光らなくなっていました。
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殻割りしないと修理もできない、という意味で、純正LEDポジションランプの球切れはショックですね…。
LEDポジションランプ(スモールランプ)のLED打ち替え修理は難易度高め
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修理はどうやるのでしょうか?
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やることはLED打ち替えです。そこは以前にも解説した球切れの修理と同じなんですが……
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切れた純正LEDを外して、新しいLEDをハンダ付けするんでしたよね。
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ただ、使われているLEDの問題がありまして。
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ふむ?
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トヨタ車を例にすると、ポジションランプで使っているLEDとしては、日亜化学製の3030チップLEDをよく見かけます。
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3030って、ものすごく明るいLEDですよね。確か。
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ですね。ポジションランプ(スモールランプ)の場合は、導光体を通した状態で見ているから実感しにくいかもしれませんが、LED単体で発光しているのを見たら、目にささるほどの明るさですよ。
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眩しッ…。ポジションランプって、こんなにも強力なLEDを使って導光板を光らせていたのか。
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トヨタ系の車で、コイトの基板が入っているタイプのLEDポジションランプだと、3030が使われているケースが多いみたいですね。今まで見てきた限りでは。
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ライン発光するようなポジションランプだと、光源には強力なパワーLEDが使われているわけだ。
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あとは純正LEDウインカーでも、3030のアンバーはよく使われていますよ。
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3030チップLED自体は、LED通販のエルパラでも買えるから入手性は問題ない。
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はい。LEDを打ち替えるにあたっても、3030チップLEDの白を使いました。
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LEDポジションランプでも修理は普通にできる!
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うーん。
普通といっていいかどうか……。 -
ん?
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この3030チップLEDの打ち替えは、やりにくいですよ。とても。
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え…?
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なぜかというと、このチップLEDには側面に足が付いているわけでもありませんので。
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あり。
どこにハンダ付けするの? -
電極はチップの裏面にあります。そもそも人間の手でハンダ付けする前提のLEDではなくて、リフロー前提のLEDなんですね。
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では、どうやって打ち替えるんだろう?
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僕の場合はハンダごてを使ってなんとかしています。
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先にハンダを盛っておいて、チップLEDを載せて、溶かすみたいなやり方しかなさそうだけど……
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そうですね。でも熱が伝わりにくいので、ハンダゴテを両手に持って両側から熱を入れるみたいな、ちょっと強引な付け方をしています。
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以前、チップLEDを外すときの方法として二刀流を教えてもらいましたが……
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今回の3030は付けるときも二刀流で付けるのね。
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強引ではありますけれども、なんとか付けられないことはない、という感じですね。まったくもって正規のやり方ではありません。
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DIYで挑戦しようとする人がいたら、そのあたりも踏まえたうえで、挑みましょう。
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それから打ち替えるときは全てのLEDを打ち替えるようにします。
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切れていないLEDも、打ち替えるってことね。
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そうです。なぜかというと、初期の頃の純正LEDポジションランプの色は、今どきの車の白とは違って、少し黄色味がかった白です。
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ケルビン数でいうと低めのものだ。
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なので、片側だけ最新のLEDの白色を使って打ち替えると、よーく見たときに部分的に色が合っていない、という状況になります。
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わざわざヘッドライトの殻割りまでしているんだし、打ち替えるなら全部打ち替えたほうがいいですね。
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なお3030チップLED同士での打ち替えなので、抵抗などは打ち替えなくても対応できるケースが多いと思います。
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もともと明るいLEDなだけに、抵抗値を変えてまで明るくする必要もなさそうだし。
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そういうことですね。DIYで打ち替えに挑戦する上級者の方以外は、ぜひ〈イルミスタ〉にご相談ください。
日亜化学製の車向けパワーLED、NJSW172CT 「3030」と呼ばれるサイズで、3ミリ×3ミリ。小型だがパワーLEDなので、従来のチップLEDとは比較にならない明るさ(1個あたり155ルーメン)
3030チップLEDで、打ち替え後。
チップLEDを取り外す方法としても有効な二刀流。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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