配線のショート対策
配線むき出しでショートするリスクを回避するための、配線保護術
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配線がむき出しになってショートするリスクと、その回避策を考察。配線保護テープやコルゲートチューブはプロの人がよく使っているイメージがあるが、DIYでもやるべきなのか? これは地味なようで、知るとけっこう重要度が高い話だ。
配線が鉄板に擦れてむき出しになり、ショートするリスク
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車の配線作業時の、配線の保護についての解説です。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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配線の保護?
今日はまた地味な話題だな。●レポーター:イルミちゃん
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ハーネス用保護テープのようなものを巻いたり、コルゲートチューブを巻いたりすることですよ。
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そういえば、プロの人はよくやっているイメージですけど、DIYでもやらないといけないんですかね?
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必須かどうか? と言われたら、場所によるとは思いますが……
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ふむ。
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「なぜやるのか」という点を考えてみましょう。
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えーっと、見た目? 純正配線っぽく見せたい、みたいな。
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いや、それも分かるけど……恐いのは配線コードが鉄板のカドなどで擦れて、被覆が切れることです。
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ムムム……。
そっちね。 -
車は走行中は常に振動しています。鋭利な鉄板に当たった状態だと、常に擦れるような格好になって、次第に被覆が切れるリスクがあります。
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配線コードを覆っている被覆が切れると……内部の導線がむき出しになるね。
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それがもし電源線(プラス線)だったら、車のボディの鉄板に触れた時点でショートします。
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鉄板で擦れてむき出しになったとしたら、即鉄板に当たりますね。確かに恐い……。
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車の場合は鋭利な鉄板部分もたくさんありますから、鉄板で擦れたりする可能性のある場所に配線を通すときは、保護するのが必須です。
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なるほど。そういう意味だったのか~。
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それ以前にまず、LEDやなにかの電装品を取り付けた場合、基本的には純正配線が通っている場所に沿って配線を通すことで、擦れたり挟んだりするリスクは減らせます。
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純正配線に沿って取り回しするのは、見た目のモンダイだけではないのね。
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そうですね。「純正配線の通り道なら問題ないだろう」という意味合いが重要かと。
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なるほど、なるほど。
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そういう視点でDIYで施工した車を見ていると、けっこう危ないな、って思う取り回し例はありますね。
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イルミスタはDIYユーザーも多く出入りしているLED加工専門店なので、野本研究員はいろいろなケースを見ているんですよねぇ。
車外の配線にコルゲートチューブを巻いている。
予備解説
車のボディの鉄板は「マイナス線代わり」に使われていて、バッテリーのマイナス端子とつながっているため。
見た目の観点からは、「後付けパーツの配線を目立たなくするコツ」も参考にしてほしい。
車内の鉄板に注意が必要な、配線の取り回し例
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危ない配線とは、例えばどういうケース?
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例えばダッシュボード内を通した配線です。ステアリングの奥あたりにあるステーの鉄板などは、バリ取りされていなかったりするんですよ。
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鉄板のフチが鋭利だったりするってことね。
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素手で作業していると、鉄板のフチでケガをしやすい場所です。
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素手派の人も、グローブ着用が推奨されるポイントだ。
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その鋭利な鉄板の上を、普通にフリーで配線を通していたりする例も見られます。
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……まあ、施工した人にしてみれば、ダッシュボード内を普通に配線を通しただけのつもりなんでしょうけど。
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そうなんですよね。ダッシュ下に配線が垂れてこないようにと、上側を通しているんです。
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だけど、もしかしたら、切れ味鋭い鉄板に当たっているかもしれないんだ。
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はい。ダッシュボード裏は、鉄板に擦れてショートすることもあり得る場所です。
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見えない場所だし、要注意ですね。
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いっぽうで、フロアマットの下などを通すぶんには、そのままでもいいとは思いますが……
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フロアマット下なら、フロアカーペットとの間。鉄板には触れないから。
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しかし、さらにその下、フロアカーペットもめくって鉄板に沿って配線を通すとなると話は別です。バリがけっこうあります。
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そもそもフロアの鉄板むき出しのところに電源線を通しているなら、保護しないと恐い気がしてきた。
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そうなんですよね。保護する理由が分かっていれば「この場所は配線保護は必須だ」という判断ができるようになるのかなと。
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地味な作業だからスルーされそうだけど、聞いてみると思ったより重要な話題だった!
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DIYで配線作業していると「配線が通った! 早くつなぎたい!」っていう気持ちが先行するのは分かりますけどね…
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あ、光った!オーケー! じゃあ内張りを戻そう。
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……っていうのは、マズイですね。
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ではどうやって配線を保護すればリスク回避できるのか。ここからが実践編です。
フロアマットの下に配線を通している。
電装のプロがやっている配線保護の方法についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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