電装DIYの知識
コルゲートチューブ、スパイラルチューブ、配線保護スリーブ。配線保護はどれがいい?
配線保護の定番はコルゲートチューブ。似たアイテムにスパイラルチューブがあるが、両者の違いをここで正しく理解しておこう。さらに、進化版の「配線保護スリーブ」も便利なので合わせて解説。それぞれの特徴を知って使いこなそう。
車外の配線は保護したほうが良いが、どれを使う?
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今日のテーマは「配線保護」です。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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チューブなどを巻いて、保護するという話ですか? プロショップの人がやっているのをよく見ますが……
●レポーター:イルミちゃん
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車内なら配線そのままでも基本的には問題ないのですが、車外で使う場合は、過酷な環境もありますので。
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エンジンルームとか、腹下配線とか?
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車外は雨・風にさらされるし、エンジンルームなら熱にさらされます。車体の下のほうだと、飛び石や融雪剤の問題もある。
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車体だって、下側は錆びてきますもんね。
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ハイ。車もダメージを受ける位ですから、配線は当然劣化していきます。
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そこで「配線保護」。重要な話ですね。
定番はコルゲートチューブを使うこと
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一番ベーシックな配線保護方法は、コルゲートチューブを巻くことですね。
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コルゲートチューブは、純正配線でもよく使われていますよね。それだけに純正っぽいのもメリット。
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エーモン製のコルゲートチューブは、3Φ、5Φ、7Φ、10Φ、15Φの太さがあります。
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配線の本数などに合わせて選べばいいんですね〜。
コルゲートチューブ
エーモン製品名だと「配線チューブ」。いろいろな長さ・太さのものがある。
スパイラルチューブとコルゲートチューブの違いは?
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似たような存在に、スパイラルチューブもありますよ。
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そういえば、コルゲートチューブとスパイラルチューブって、なにが違うんだろう?
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コルゲートチューブはパクっと割って、割り込ませていきます。スパイラルチューブは、らせん状になっているのを巻いていきます。
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この巻き方の違いで、スパイラルチューブのほうは「途中から1本だけ配線を出す」ことができますね。
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なるほど。コルゲートチューブは、途中からの脱出はできませんね。
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結束の用途ではどちらを使ってもOKですが、車外の配線では隙間の小さいコルゲートチューブを使うほうが一般的ですね。
エーモン製品名だと「コイル型配線バンド」
コルゲートチューブは横から入れる
スパイラルチューブは巻き付ける
コルゲートチューブの弱点を補う配線保護スリーブ
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ただ、コルゲートチューブを巻いて保護する場合は、ギボシ端子などの接続端子を使っていると、その部分を覆いにくい。
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だから、こうやって端子を避けて、その前後で固定するのが普通です。
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もっと太いコルゲートチューブを使えばいいのでは? 太いサイズがあるんだから。
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そうなんですが、コルゲートチューブやスパイラルチューブの場合は、一定の太さのままで覆っていきますから、端子の太さに合わせてしまうと、全体的に無駄に太くなりますよね。
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あー。そっか。
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かなり太いチューブを取り回すことになるので、現実的じゃないです。
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確かに。
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だから、配線に合わせてサイズを決めて、端子部分は外に出す、というのが通常の巻き方なんですね。
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上の例は端子も防水ギボシ端子を使っているから、露出していても問題ない。とは言え、気分的には全部覆いたい気はしますね。
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実は、このデメリットを解消する、第三のスリーブがありまして。フッフッフ。
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ムムム。まだ何か隠し持っているな、中塚研究員。分かりやすい。
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「配線保護スリーブ」というのがあるのです。
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また新手の保護素材が出てきたようですね!?
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これは収縮素材を使っていて、ようするに「配線の太さに合わせて伸びる」んです。
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伸びる?
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今までの保護チューブはΦ数が決まっていて、使う配線の本数や太さに合わせて選んでいましたが、配線保護スリーブはチューブ自体が膨らむんです。
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ほほう。
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さきほど、コルゲートチューブのラインナップは、3Φ、5Φ、7Φ、10Φ、15Φがあると言いましたが、配線保護スリーブはサイズで言うと、3Φ〜9Φくらいの範囲で伸縮するんです。
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細い部分と太い部分が混在していても、1本でまとめて保護できるってこと?
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そうなんです。端子を使っている部分も含めて、覆うことができます。これが最大のメリットです。
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なるほど。メッシュ状になっているのか〜。
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入れる時は、シャクトリ虫のように、こうやって入れていくんですよ。
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細い部分は、ちゃんとスリムに仕上がるのがいいですね。
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付け加えると、配線保護スリーブはメッシュ状なので通気性も良い。
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通気性なんて、必要なんでしょうか?
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配線コードは熱を持ちます。たいした発熱ではありませんが、チューブで巻けば熱がこもりがちになります。
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「配線保護」という地味なテーマでも、水面下で進化しているもようです。
防水ギボシ端子と組み合わせた例。
配線保護スリーブ
エーモンの「配線保護スリーブ」
電装のプロがやっている配線保護の方法についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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