板金塗装をもっと身近に
ミゾに合わせて塗り分け塗装するときの、マスキングの難しさに注意
塗り分け塗装は「どこで塗り分けるか」で難易度が変わる。エアロパーツの場合、エアロの溝(ミゾ)を境界にして塗り分けるのも定番だが、ここで問題になるのがマスキング位置。特に塗膜に厚みが出る色は、注意が必要だ。
エアロパーツに掘ってある溝で塗り分け塗装するのは定番だが…
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塗り分け塗装を考えている人に、なにやら〈ほんだ塗装〉から伝えたいことがあるようです
●レポーター:イルミちゃん
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塗り分け塗装をすると塗料の厚みで段差ができる、という話を以前にしましたが……
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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この問題を回避するために「ミゾのラインに沿って塗り分ける」のは、よくある手法です。
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ミゾ?
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社外品のエアロパーツで、特に塗り分ける前提のデザインだと、ココを塗り分けの境界線にするといいよ~っていうラインでミゾが掘ってあったりするんですよ。
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フムフム。
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あるいは、バンパーにモールなどの別部品が埋め込んである場合は、そのモールの周囲がミゾ(隙間)になっていたりします。そのほうが見た目にも高級感があるというか。
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実際には埋め込みではなく一体のパーツだとしても、周囲にミゾがあることで、別体パーツっぽく見えるように演出してあったり。
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言われてみれば……ペタっとくっついているより、周囲にミゾがあったほうが見た目がいいね。
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そうそう。これを利用して、ミゾのラインで色を塗り分ける塗装方法は定番なんです。
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なるほど、なるほど。
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ただ、ミゾを使って塗り分けるときに「どこまでマスキングしてどこで塗装を切るか」が問題になります。
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どこって、ミゾで……でしょ?
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「そのミゾのどこで塗装を切るか」という、細かい話なんです。
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どういうことなんでしょう?
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ミゾの形状にも、いろいろあります。四角だったり、V字だったり。
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なるほど。
それで…? -
四角いミゾだったとして、「A」「B」「C」のどの位置で塗装を切るのか、という違いがあります。V字だったら「D」でいいかもしれませんが。
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こ、細かい話だなァ。虫メガネで見ないかぎり、分からないのでは?
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いやいや、そんなことはない。ミゾが1ミリ程度ならどこで切っても見え方に差はないかもしれないけど、ミゾの幅が3ミリあったら、見え方は違ってきます。
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そうなんだ。
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で、ここでは仮に「B」地点で、塗装を塗り分けたいとしましょう。
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図解ではミゾの底の右側のカドが、塗り分けの境界線。
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その場合は「B」地点を目がけてマスキングテープ(ラインテープ)を貼る。これは、まあまあ難しいです。一番下まで貼れているかどうかが、上から見て分かりにくいし。
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ミゾが細いからね……。
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例えばですが、ミゾの幅は2ミリ・深さ1~2ミリみたいな世界です。
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でも、やるんだ?
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もちろん。塗り分け塗装では普通によくやっていますし、そんなの日常業務です。
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さすがプロだ!
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違うんですよ。
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……あん?
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マスキングテープ(※正確には、塗装を切るためにラインテープを使う)を貼るのはいいんです。問題はマスキングを貼るときではなくて、剥がすときなんです。
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む…。
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難しいのはここから。「B」で切るとしたら、塗料がこう入ることになります。
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「B」地点や「C」地点で塗装を切る場合には、塗膜が厚いと、キレイに切ることが困難になります。
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あー。
そういうことか。 -
「A」地点から「B」地点に向かって貼ったマスキングテープ(ラインテープ)を剥がしながら、キレイに塗装を切るのって難しいんですよ。
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確かに、ちょっと無理ありますね、これ。
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マスキングで塗装を切るときに失敗したらどうなるかは、前にやりましたよね。
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キレイに塗料が切れないと、境界線がゲジゲジになるという……
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ミゾの底のカドを境界線にしようとすると、そういうことが起こりやすくなります。
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「B」や「C」地点を境界線にしようするのは、止めたほうがいい?
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いや。そうは言ってません。というのも、「色」などによっても変わってくる話ですので。
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何色に塗るかで何が違うの?
ミゾの断面形状
塗膜が厚くなる3コート塗装などは注意が必要
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ガンメタや黒などはトマリが良い色で、重ね塗りの回数が少なくて済み、塗膜が薄く塗れる。この話をしたことはありますよね。
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さらにクリアを吹かないマットカラーならば、もっと有利であると。
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マットガンメタやマットブラックが、塗り分けに向いているんですよね。
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そうです。
今回の話にも同じことが言えるんです。 -
ナルホド。
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仮にマットブラックの塗り分けだとしたら、さっきの「B」地点や「C」地点を境界にする塗り分けも、まあなんとかなります。
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ホー。
そうなんだ。 -
しかし何回も重ね塗りしないといけないトマリが悪い色や……あるいは「3コートパール」だとしたら、白・パール・クリアを重ねるので、塗膜が厚くなります。
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ムムム。
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イメージ的には、塗料に厚みがあると、こういう状況になっていきます。
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これでは、塗装がうまく切れないのです。ラインテープを剥がすときがコワイ。
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なるほどねぇ。
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こうなってくると、キレイに塗装が切れずにゲジゲジになる可能性が高くなります。
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それは本多研究員がやったとしても…?
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そうです。ですので、塗膜が厚くなる色……トマリの悪い色(白など)や、3コート/4コートの塗装などで、この場所での塗り分けは避けたほうが無難です。
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てゆーか、それなら、そもそもミゾで塗り分けるときは、全部「A」地点で塗り分けるようにすればいいのでは?
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塗装を切る、という意味では確かにそのほうがキレイに切りやすいですね。上っ面だけで切れますから。
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ふむ。それならば、なんでわざわざミゾの底で切ろうとするのか、と。
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今回の話だけだとそう思うかもしれないけど、そうはいかないケースがあるんですよ。
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