板金塗装をもっと身近に

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エンブレム塗装依頼で、対応してもらえないリクエスト（塗り方）もある

エンブレム塗装を、持ち込みまたは郵送で板金塗装屋に頼みたいと考えている人向け。エンブレムの塗り分けや部分塗装は、できないタイプのものもある。わりと多いケースなので紹介しておこう。

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  エンブレムの持ち込み（郵送含む）塗装依頼をする人が増えている中での、注意点シリーズその②です。

  ●レポーター：イルミちゃん



✔ その①は「エンブレム塗装を（郵送などで）板金屋に依頼するときの注意点」参照。

>>>リンク先で詳しく読む。

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  今日は「塗装依頼に対応できないケースもある」点について、触れておきたいと思います。

  ●アドバイザー：ほんだ塗装 本多研究員

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  対応できないとは、つまり「このエンブレムは塗れません」ってこと？

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  絶対に塗れないのではなくて、「リクエストされた、その塗り方では塗れない」という意味ですね。

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  フムフム。

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  例えば、このトヨタマークを例にしましょう。


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  これはGR86のトヨタマークなんですが、一見すると黒ベースのところにトヨタマークのエンブレムが載っかっているように見えますよね。

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  ふむ。

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  しかし実際には、手で触ると表面はフラットな構造です。ようはクリアコートされた状態なんです。


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  あ、ホントだ。一体構造で、透明なドームに包まれているような感じですね。

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  この手のエンブレムで、「黒い部分だけは残して、メッキの部分だけ塗ってください」という依頼をされるケースがあるんですが……

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  ……。

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  その塗り方は、マスキングを貼ってできなくはないけれど、クオリティが低くなるのが明らかなので、できませんとお断りしています。

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  マスキングするっていっても、上の透明なドームにしか貼れないし？

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  そうなんです。仮にマスキングして塗ったとしても、ナナメ横から見たら見えてしまうでしょうし、明らかにクオリティの低い仕上がりになります。

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  「それでもいいから塗ってほしい」と言われても…？

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  その人がどの程度までが許容範囲なのか、というのは人によりますが、まず塗り手にはそれが分からないし……

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  まあ、頼んでいる本人にもイメージできていない可能性が高いですね。

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  その人が想像している以上にクオリティが低くなる可能性もあると考えると、お金を頂いて仕事として受けることはできませんよね。そもそもまったくオススメできない塗り方だし。

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  「残念ながらこのエンブレムで部分塗装はできません」ということにしかならないか。

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  分解できるエンブレムなら、対応できるんですけどね。

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  そういえば以前にスバルのエンブレムで、分解して塗り分け塗装していたケースならありました。



「エンブレムが分解できる構造なら、塗り分け塗装する手もある」参照。

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  バラせない構造のエンブレムでは、部分塗装や塗り分けは対応できません。全面塗りならできますけど。

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  しかし、今回の例に出てきたクリアコートされたトヨタマークで全面塗装なんてしたら……？

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  表面の透明部分すべてに塗料がつくので、文字やマークが消えてしまうことになります。

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  では、このエンブレムをマットブラックに塗装しようとしたら……

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  マットブラックの円盤になるだけです。もはやトヨタマークではない。

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  ということは、ようするに塗装ができない？ 部分塗装もダメだし全面塗装もダメなんだから。

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  いや。スモーク塗装やキャンディ塗装のように、透かすタイプの全面塗装は別です。

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  なるほど。
  その手は残されるんだ。

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  いっぽう、ニッサンのエンブレムを例にすると、こういうパターンもあります。


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  これは表面はフラットではなくて、NISSANの文字の部分だけがヘコんでいるケース。

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  この場合は、表面フラットなさっきのトヨタマークと違って、全体を塗装しても文字が消えるわけではありません。

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  段差があるから。

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  そうそう。マットブラックに塗装したとしても、NISSANの文字の形は見えます。

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  フムフム。

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  そういう塗装方法ならいいんですが、このNISSANの文字だけは黒のまま残して、メッキのベース部をボディ同色にしたいというようなリクエストもあります。

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  ヘコんでいるところをマスキングして……

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  無理ですね。マスキングする部分が細かすぎるのは、僕らのような板金屋で対応するのは無理です。

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  チマチマした仕事が得意な本多研究員なら、できなくもない気がするんですけど？

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  エアブラシで文字を描けるような職人の人なら、そんな塗り分けも可能かもしれませんが、それにしたって数千円で頼めるレベルの仕事ではなくなってきますよ。

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  確かにね。
  大変な労力がかかりそう……

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  非常に細かい文字のマスキングなどは、物理的には時間をかければ不可能ではない話だとしても、けっきょくそれが工賃に帰ってくるので、現実味はないのです。

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  1個何千円という単位でエンブレムを塗装してくれるお店を探している人が多いでしょうからね。