板金塗装をもっと身近に
板金屋からもらう「余った塗料」は、現実的に補修に使えるのか?
パーツ塗装を頼んだ板金屋に「余った塗料」をもらっておけば、補修の際に重宝するという話がある。実車の色に合わせて調色した場合は、なおさら貴重だ。しかし、単純に「余った塗料」をもらっても、現実的には補修に使えない。その理由は…
「余った塗料」をもらっても、「お守り」にならない!?
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「ほんだ塗装」では、パーツ単体の持ち込み塗装をお願いするユーザーがたくさんいますが……
●レポーター:イルミちゃん
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このお店に塗装依頼をすると、DIYユーザーにとってはありがたい、無料サービスがあります。それがコレ(↓)
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パーツを塗装したときに、余った塗料ですね。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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記念にプレゼントしているのです。
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……いや。
「記念」ではなくて、補修用ね。 -
分かってますよぉぉ。
そんなことは。 -
例えば、ブレーキキャリパーを塗装したケースで、後からホイールを脱着しているときに「リムをキャリパーにぶつけて塗装が部分的に剥がれる」などは、よくあるので。
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絶対ぶつけたくはないけれど、同色の塗料があると安心感がある。
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実車の色に合わせて調色した場合などは、なおさらかなと。
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確かにね。そこだけ市販の塗料で塗っても、絶対に色が合わないもんね。
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そのようなわけで、ほんだ塗装では余った塗料をプレゼントしているのですが……
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ありがたい。
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ただこれ、実は「余った塗料」ではないんですよ。
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……あん?
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他の板金屋さんに対して「余った塗料ください」って言う人がいても困るからフォローしておきますけど、リアルに余った塗料なんてユーザーに渡してもしょうがないんで。
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ど、どういうことでしょうか?
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僕らプロは、塗装するときにはガンで吹きますよね。
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ガンで吹く塗料は、硬化剤を混ぜたあとのものです。
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ふむ?
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塗料を混ぜて色を作ったあと、シンナーを入れて、硬化剤を入れたものを吹いているのです。
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ということは、どういうこと?
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硬化剤が入っているので、容器で小分けにして持って帰っても、2~3日もすればカチカチに固まっているかと。
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なにぃ。
意味ないよソレ。 -
だから、正確に言うと、「余った塗料」なんてもらっても仕方ないんですよ。
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どういうこと?
配ってるのは本多研究員じゃないかッ!
ガン塗装用の塗料は、そのままでは筆塗り補修用には使えない
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ユーザーさんに渡す塗料は、硬化剤を入れる前の段階で別にしておくのです。
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あ~。そうすれば、カチカチにならずに保存が利く!
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しかし、硬化剤を入れる前の塗料を渡せばいいのか、っていうとそう単純でもない。今度はシャバシャバ過ぎる。
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ん!?
シャバシャバ? -
ガンで吹く前提の塗料は、シンナーを混ぜて、粘度を落として、シャバシャバにしています。
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ようするにプロの人が使う塗料をそのままもらっても、水っぽい状態なんだ。
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それを筆塗りしようとしても、何回塗ってもなかなか色がつきません。
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筆で塗るには薄過ぎると。
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シルバーなどの薄い色だと、なおさら塗りにくいかと。
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……なるほど。
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しかしDIYユーザーが自分で補修するとしたら、現実的には筆塗りですよね。
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そりゃそうだ。
ガンなんて持ってないし、場所もないし。 -
ならば、もっとベトベトした粘度の高い塗料がほしいわけです。
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ふむ。
何か方法が? -
シンナーを大量に入れる前の塗料を、先に小分けにしておけばいいのです。
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ホホウ。
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しかしシンナーを入れる前だと、それはそれでベトベトし過ぎなので、小分けにして取っておくのは「少しだけシンナーを混ぜた状態」ですね。
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そのあとで、ガン塗装用に適正なレベルまでシンナーを足して、硬化剤を入れて、本番の塗装を吹いているのです。
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そのために、シンナーを二段階に分けて投入するのか。
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そう。色は同じでも、ガンと筆塗りでは、シンナーの比率がぜんぜん違うから。
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ようするに、単に「余った塗料がいらないからあげる」なんていう話ではなくて……
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正確に言うと「余った塗料」ではありません。「色の配合が終わって、シンナーを本格的に混ぜる前の塗料を別にしておく」ということです。
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こだわっているなァ。
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この方法なら、筆塗り補修用の塗料として現実的に使えるかと。
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普通の板金屋で、そこまで面倒なことをしてくれるかどうかはさておき。
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まあ、ほとんどの人は、受け取ったあとどこかにしまいこんで、そのままでしょうけどね。
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とはいえ、自分で筆塗り補修ぐらいできるよ、というDIYユーザーにとっては、地味だけど重要な話と言えます。
シンナーは塗装後に蒸発し、塗料だけが残る。
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電話でもメール相談でも、最初に、「DIYラボを見た」と言えば、「塗装代」や「取り付け工賃」が10%オフになる。「パーツの持ち込み塗装」の料金交渉も柔軟に応じてくれる。
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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