板金塗装をもっと身近に
ブレーキキャリパーなど、車の部品を塗装するときのコツ
車の部品を塗装するとき、プロの板金塗装職人は、どのようにやっているのか。ブレーキキャリパー塗装を例に、塗装のコツを教わった。塗料を吹くときの部品の配置・プライマーや密着剤を使う意味など、DIYで行う自家塗装の参考になる点も多い。
どの方向からでも塗料が吹けるよう部品を設置
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「ブレーキキャリパー塗装は、足付けをしっかりやらないと剥がれる(後編)」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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足付けが終わったら、いったんマスキングを剥がします。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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そのうえで、再びマスキングし直します。
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これが本番の塗装用のマスキングです。やり方は前回の通りです。
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最初のマスキングで、そのまま塗ったらダメなの?
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足付け作業をしているうちに、マスキングも汚れますからね。そのまま塗って、汚れが塗装面などに付着したら大変です。
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そうか。
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マスキングをやり直すのは手間がかかる作業です。でも、ここでも、手間は惜しまないことが大切。
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なるほど。
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では、実際に塗装してみましょう。
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というわけで、ほんだ塗装の塗装ブースへ。
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ブレーキキャリパーのようなパーツ(部品)をキレイに塗装するときのコツはまず、どうやって設置するかです。
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設置!?
なんのこと? -
台の上にブレーキキャリパーを「ポン」と置いた状態では、部品の底面が塗装できないでしょう?
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ああぁ!
気づかなかった〜!! -
……。
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塗ってる途中で、ひっくり返す……?
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触らないでください。
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イヤだなぁ。分かってますよ。……では、どうするの?
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「浮かす」しかないですよね。
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浮かす?
どうやって? -
例えば細いワイヤーなどを使って、このように(↓)吊るす方法などが考えられます。
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おお。
ナルホド! -
この時に、どの角度でも吹きやすいように、高さを考えておくのもポイント。
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高すぎると上から吹きにくいし、低すぎると下から吹きにくい。
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そうですね。実際に吹くときの身体の動きを考えて、高さを決めます。
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なるほど。
部品塗装の参考になる話だ。 -
それから、吊るすにしても「最終的に車に取り付けたときに、見えない(見えにくい)側で吊るす」のも大切。
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見える側を塗りやすくする、ということか。
こうも吹けるし
こうも吹けるのがベスト
プライマー・密着剤などを吹いておけば安心
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ブレーキキャリパー塗装が剥がれないようにするには、「足付けが一番大切」。それは前回言った通りですが……
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足付けなら、完璧にやってありますよ。
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万全の状態にしておくという意味では、さらにアルミ対応の密着剤を使います。
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なにこれ?
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密着剤やプライマーとは、ようするに塗料を密着させるための接着剤みたいなものです。
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へー。
塗料にも接着剤があるんだ。 -
例えば、同じ車の部品でも、エアロパーツの塗装だったら使いません。足付けがしっかりできていれば十分です。
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フムフム。
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でも、エアロパーツの塗り分けの時は使います。
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どう違うの?
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エアロパーツの塗り分けでは、塗装の境界をテープで切らないといけない。
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このとき端までしっかり塗料が密着していないと、「ピリピリ」と色までいっしょに剥がれることになる。恐い場面なのです。
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剥がれたら、泣ける場面。
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だから、念のため、プライマーも吹くわけです。僕は特に慎重な性格ですので……。
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なるほど。
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今回塗るブレーキキャリパーは金属ですから、樹脂用のプライマーではなく、アルミ対応密着剤を吹いておきます。
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ようするに金属用のプライマーみたいなものか。
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ハイ。エアロパーツの開口部のアミ(ネット)を塗るときにも、コレを使いますよ。
✔ 左は樹脂パーツの塗装前に使うプライマー。右はアルミ対応密着剤。
シュー
小さな部品の塗装といえど、塗り急がない
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そして、いよいよ塗装開始。
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塗装で失敗しないためのコツとしては、一気に塗らないことです。
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と言いますと?
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今回のブレーキキャリパー塗装でも、1回目の塗装としては、このぐらいしか塗ってません。
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まだ、うっすらと下の色が透けて見えますね。
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1回の塗装で吹く量はこれぐらいです。時間的にインターバル(間隔)をおいて、また塗り重ねていくのです。
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それはなぜ?
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いっぺんに塗料を吹きすぎれば、タレるからです。
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タレ防止か……。
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だからといって、完全に塗料が乾燥するまで間をおいたら時間を空けすぎです。
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間をおいているうちに乾いてしまったら?
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完全に乾いてツルツルになってしまったら、重ねる塗料の付きが悪くなってしまいます。
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なんかタイミングが、難しいな。
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「完全には乾かない」ぐらいのうちに、次の層を重ねていきます。
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インターバルを挟みながら数回塗り重ねるうちに……だんだん濃くなってきました。
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最後にクリアを吹いて、できあがりです。
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これで、レクサス純正オレンジキャリパーの再現ができました~。
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ところで今回は、プロがスプレーガンを使って塗装しているので、あくまでも参考程度。一般DIYユーザーに、塗装ブースの設備はないしね……。
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缶スプレーを使った自家塗装のコツは、別の機会に解説しましょう。
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DIY塗装方法については、そのときに詳しくやります。
シュー
シュー
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ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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