板金塗装をもっと身近に
ブレーキキャリパー塗装は、足付けをしっかりやらないと剥がれる(後編)
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塗装が剥がれないようにするためには、下準備である足付けが大事。この「足付け」は、どんな方法でやるのか。ここでは板金塗装職人が実際にやっている、足付けの一部始終を取材。一般的には、ほとんど目にすることのない作業だ。
ブレーキキャリパーのマスキング方法
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「ブレーキキャリパー塗装は、足付けをしっかりやらないと剥がれる」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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ここからは実践編です。ブレーキキャリパーの足付け作業を、実際にやってみましょう。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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一般的には、ほとんど目にすることのない作業です。
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まずネジ類を取る。
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ネジを取るのは、ネジまで塗りたくないから。ここは、本多研究員のこだわりの一つでしたね。
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そうです。ネジを取ってしまえば、ネジには絶対色は付かない。
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でも、そうするとネジ穴に塗料が入りますけど?
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マスキングテープを筒状に丸めて、ネジ穴をマスキングしておきます。
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こんな方法があるのか。……でも、それならネジをマスキングすればいいのでは?
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ネジが入っている状態だと、キャリパー側の穴のフチまでキレイに塗れるとは限りません。
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あー。細かい話をすれば、そうですね。装着したら見えないところまでキレイに塗るのも、本多研究員のやり方。
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筒状のマスキングテープを差し込んでおけば、ネジ穴には塗料は入らない。そしてネジ穴直前のフチまで、キレイに塗れます。
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なるほどね。
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それから、キャリパー本体とは別体になっていて色を付けたくない部分があれば、そこもマスキングしておく。
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オイルが入っているところに塗料が入ったらダメなので、ココ(↓)は当然、マスキングします。
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ここから足付け作業の開始ですね。
マスキングの準備ができた
ブレーキキャリパーの足付け作業方法
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ブレーキキャリパーは汚れているので、パーツクリーナーやシリコンオフを使って油分や汚れも取りながら、同時に表面に傷を付けていきます。
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手ごわそうな汚れです。
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ワイヤーブラシのようなものでゴシゴシ掃除しながら、足付けをしていくのです。
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ホホウ。
掃除しながら細かい傷が付いていくんだ。 -
汚れやサビも削り取れるので、明らかにキレイになりますよ。
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ブラシをかける前とかけた後を比べると、違いは歴然! 足回り部品が、こんなにキレイに。
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大きいブラシが入らないところは、手磨きで掃除します。
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地味な作業が続きます。
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ブレーキキャリパーはゴツゴツしているので、かなり時間がかかります。
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細かい部分の足付けって、大変ですね。
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この足付けを抜かりなくちゃんとやらないと、塗装が剥がれるか、そもそもキレイに塗れません。弾いてしまったりするので。
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足付けできていない部分だけ、塗料が弾かれてしまう。
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そうなんです。「部分的に色が止まらない」状況になり、ムラのようなものが生じる原因にもなります。
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剥がれやすいだけでなく、そもそもキレイに塗れないってことね。
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ちなみに純正部品でも、ブレーキキャリパーぐらいだとそういうムラはあったりはします。部分的に透けていたり。
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まあ、でも、ほんだ塗装がそれでヨシとはしないもんね。
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ブレーキキャリパー塗装は特に、足付けで完成度に大きな差がつきますので。
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ところで……。
カップに用意した、この液体はなんですか? -
業務用のシリコンオフです。パーツクリーナーより強力ですから、途中からはシリコンオフを使っていきます。
まずパーツクリーナーを吹き付け……
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あのぅ。もうかれこれ、数十分はノンストップでやってますけど……
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今回のブレーキキャリパーの例だと、1個あたり1時間くらいかけて足付けしてます。
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そんなにか!
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足付け作業は、時間をかけてでも丁寧にやることが大切なんです。
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この調子で両側やったら、それだけで2時間かかりますが……。
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2時間で済むならいいほうです。複雑な形状の部品だと、マスキングと足付け作業を朝から始めて、塗装できるのは夕方なんてこともよくある話。
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ひいい。
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塗装にかかる時間は数十分ですけどね。
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塗るほうがオマケ……みたいな。
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そのくらい、足付けが重要、ということです。
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おお。
すっかりキレイになった! -
足付け前の中古ブレーキキャリパーと比べると、ぜんぜん違いますよ。
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それにしても……。
塗る前にここまでやるとは。 -
このくらい足付けできていれば、ホイールを当てたりしない限り、塗装が剥がれることはほとんどないです。
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