太い配線(太線)の接続に使えるギボシ端子の存在は、知っておいて損はない
ギボシ端子には、太い配線の接続用もある。車のDIYで定番的に使うギボシ端子と比較すると、登場頻度は少ないものの、必要なときは来る。2スケア超の配線の接続に、普通のギボシ端子の代用は不可。太い配線用のギボシ端子を使うしかないのである。
「ギボシ端子」と「防水ギボシ端子」のほかにも、ギボシ端子がある!?
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車業界における標準的な接続端子、と言えばギボシ端子ですが……
●レポーター:イルミちゃん
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意外と浸透していない、防水ギボシ端子はさておき……
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……。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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実はエーモンが、スタンダードなギボシ端子と、防水ギボシ端子のほかにもう一種類、ギボシ端子を隠し持っているのをご存じでしょうか?
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……いや、べつに隠してません。
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第三のギボシ端子!
今日はその、秘密を暴きます! -
……それって、これのこと言ってるんですよね。
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スクープだ!!
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……いや、これも昔からある商品ですね。
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地味な端子の話だから、盛り上げようとしているのに、いちいち水を差さないでください。
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……。
普通のギボシ端子
防水ギボシ端子
Amazonでも販売されているエーモン ギボシ端子セット 後入れスリーブ(3306)
3スケアまでの極太線に対応するギボシ端子
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でも、見た目は普通のギボシ端子と似ていますが、なにが違うのでしょうか?
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カンタンに言うと、太い配線(太線)用のギボシ端子ですね。
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ホホウ。
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普通のギボシ端子は、0.5スケア~2スケアまでが適合範囲です。
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この太線用ギボシ端子の場合は、1.25スケア~3スケアの配線コードに適合します。
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つまり、ギボシ端子の限界を超えてキターーー!
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……まだ、続いているんですね、そのノリ。
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だったらもう、普通のギボシ端子はいらないんじゃない。「上位互換」ってことで。
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……いやいや、話を聞いてましたか? 下は1.25スケア~なんですよ。
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あらま。
定番の0.5スケア線では、使用不可。 -
そうです。だから、〈太い配線用のギボシ端子〉という位置付けなのです。
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それでマイナー過ぎて、今まで出てこなかったんですね。納得。
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……ヒドイ。
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でも、ちょっと疑問なんですが、エーモンの配線コードに3スケアなんてありましたっけ?
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あー、え~っとですね、3スケアの配線コードは売ってないです。
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ないのかッ!!
なんなのそのギャグ!? -
……いや、でも、世の中にはあるし、エーモン製品でも、3スケア線が使われているケースならありますよ。
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こういう配線をもし途中で切断して脱着可能にしたい、となったら太線用のギボシ端子が必要になるわけですね。
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なるほど~。さあ、盛り上がってきたところで、いよいよ「かしめ方」です!!
✔ スケアってなに? という人は、「スケア(配線コードの太さ)の選び方」参照。
3スケア線の例
【Amazon.co.jp限定】エーモン リレー付電源ケーブル (2049)は、バッ直の定番。メインの電源ケーブルは、3スケアの太線が使われている。
太い配線用のギボシ端子のかしめ方(付け方)
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まずは普通のギボシ端子と同様、電工ペンチを用意します。
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かしめ方(付け方)は、普通のギボシ端子と違うのでしょうか?
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ちょっと違うところがあります。まずは配線コードの被覆を剥きます。
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3スケアの配線コードなら、そのサイズに合った電工ペンチのワイヤーストリッパー部で剥き取ります。
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次は端子の圧着ですね。
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ギボシ端子の内側のツメが芯線(導線)に、外側のツメが被覆にかかるようにする。そこは、普通のギボシ端子と同じです。
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まずは、芯線にかけたツメを、電工ペンチの「1.25-2.0」の穴でつぶして圧着します。
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そして被覆にかけたツメは(大きいので)、電工ペンチの「3.0」の穴で圧着します。
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……ふつうのギボシ端子と、同じ手順のように見えますが。
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スリーブをまだ入れてません。
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あー、中塚研究員、最初に入れるの忘れてるぅ!
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いや、このギボシ端子は、端子を付けた後からスリーブを入れるんですよ。「後入れスリーブ」と言います。
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……なんだか、ズルイ感じがしますね。後出しスリーブ?
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いいえ。これで正しい手順ですので。後入れスリーブ、です。
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オス端子も同じ手順で付ければOKです。
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一般的に2スケアまでがDIYで扱える限界とされていますが、これを知っていれば、3スケア線でもまあなんとか扱えるようです。
定番の電工ペンチ
ここで使用しているのは、【Amazon.co.jp限定】エーモン 電工ペンチ(1452)
✔ 上写真は普通のギボシ端子。通常版は「ギボシ端子の正しいかしめ方(付け方)」参照。
こうなればOK
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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