電源取り出しの疑問
ルームランプ連動の配線に電装品をつなぐと故障の原因になる?(後編)
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全ドア連動フットランプを作りたいが、ルームランプ連動の配線を使うと、車両側コンピューターへの影響が気になる!? という人は、カーテシランプの配線を使う手はどうだろう?
今の車はカーテシランプもBCMにつながっている例が多い
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「ルームランプ連動の配線に電装品をつなぐと故障の原因になる?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は「ルームランプのドア連動線に大量の電流を流すと、故障の原因になる」という話をしました。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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そこで「目的がドア連動フットランプの後付けなら、ドアカーテシ線を使うのはどうか」というのが今回の話題ですが……
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しかし、質問者の方が乗っている60系ハリアーは、カーテシランプもBCM(コンピューター)が制御しているんです。
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ルームランプの配線のみならず、ドアカーテシ線もBCMにつながっている……。
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ハリアーの場合は、カーテシランプ配線の分岐ならリスクがない、ということではないんです。
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後付け電装品をつなぎ過ぎれば、けっきょくコンピューター故障トラブルの元か。
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そうですね。ルームランプの配線から取るのと、同じような問題が出てきます。
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……う~ん。
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ただし、ここで言うカーテシ線は、カーテシランプの配線だけではなく、ドアスイッチの配線も含まれてきます。
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ドアスイッチの裏につながっていて、ドアを開けたときにアースに落ちる配線ですね。
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一般的には、これもドアカーテシ線と呼ばれる、ドア開閉に連動する配線です。
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昔の車の構造では、ドアスイッチはカーテシランプにつながっていたので、どっちにしても同じ配線でしたが、さきほど申し上げた通り、ハリアーなどはカーテシランプがBCMにつながっているので事情が違います。
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しかし、ドアスイッチ側の線も、けっきょくBCMにつながっているんでしょ?
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ただ、ここに後付け電装品のマイナスをつなげた場合には、その電気がBCMに流れるわけではありません。(※そのままボディアースに流れる)
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ほお。……ということは、ここなら大量の電装品をつなげても大丈夫?
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いいえ。
そうはなりません。別のリスクがありますので。 -
……と言うと?
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ここの配線はとても細いんですよ。
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ムムム。
確かに細線ですね。 -
今の車は、ドアスイッチからのドア開閉の信号をBCM(コンピューター)が受けて、それからBCMが出力して、各ランプを光らせる構造になっています。
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フムフム。
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ドアスイッチ線は単純にドア開閉の信号を拾うだけの線なので、ほとんど電流が流れない。結果的に、かなり細線が使われているのです。
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そこに、後付け電装品のマイナス線をつなぐと……
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配線のキャパを超える心配があります。発熱などのリスクが出てきますね。
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…そういう心配があるわけね。
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ドアスイッチの配線が細いのは、ハリアーに限らずです。ドアスイッチの配線が、直接カーテシランプにつながっているような構造の車であれば、太いんですけどね。
※ 近ごろの車は、ルームランプの配線がBCM(コンピューター)につながっているため。
✔ BCMとは「ボディ・コントロール・モジュール」の略で、ようするにコンピューター。
✔ トヨタ車・ニッサン車・ダイハツ車などは、助手席グローブボックスの奥にあることが多い。
✔ カーテシランプが付いていなくても、一般的にドアスイッチの線を「ドアカーテシ線」と呼ぶことがある。これはもともと、ドアスイッチがカーテシランプのオンオフに使われていたため、その名残り。
✔ 近ごろのコンピューター制御の車はドアスイッチとカーテシランプは直接つながっていない(BCMを経由する)。
ルームランプ連動(ドア連動)にする現実的な方策は…
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ルームランプやカーテシランプの配線はBCMにつながっているし、ドアスイッチ線は細線過ぎる。では、ドア連動フットランプは、どの配線を使えばよいのでしょう?
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リスクを全く取らずに……ということなら、ドアスイッチ線から取って、リレーをかませる方法があります。
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ほお。
リレーですか。 -
ドアスイッチの配線は、あくまでもリレーを動かすためのトリガーに使って、電装品のメイン電源は別ラインを流れるようにするのです。
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同じやり方をルームランプのドア連動線でやろうとしても、パルス信号が入っているのでできません。じわ~っと点灯・消灯する回路には、普通のリレーは使えない。
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チャタリングが起こるパターン。
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カーテシランプの配線も、ルームランプと同様の可能性が高いですね。
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なるほど。
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しかし、ドアスイッチの配線には普通のリレーを使えますので。
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この方法ならBCMに影響なく、後付け電装品を付けられますね。
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その代わり、ルームランプ連動のように、フットランプをじわ~っと点灯・消灯させることはできません。
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「パッ!」と点灯、または消灯するフットランプにしかならない。
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それから全ドアに連動させるためには全ドアから配線を集める必要があるので、手間がかかる。
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作業が面倒なのか〜。それはDIYでは、無視できないデメリット。
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……という意味では、ドア開閉時に光るLEDのフットランプ程度の消費電流であれば、プラスもマイナスもルームランプ線からの分岐がいいと思います。話が戻りますけど。
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フットランプだけなら、消費電流が小さいから?
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そうですね。
使うLEDの種類にもよりますが。 -
例えば、よくフットランプ増設に使われるエーモンの3連フラットLEDだとすると、1個が60ミリアンペアで……
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4席フットランプでも、合計240ミリアンペアですね。
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それなら問題はないと思います。
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でも、BCMはブラックボックスなんでしょう? 電流制限の実態も分かりませんが。
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それでも、ある程度は流せるマージンが取られています。なぜなら純正ルームランプも、フロント・リア全部まとめて配線がつながっていますし、少しは余力も必要です。
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フムフム。
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そもそも、壊れる電流値より小さいヒューズを入れます。ハリアーの場合、それが7.5アンペアです。
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そうは言っても……純正ルームランプ類で、すでに7アンペア使ってるかも?
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いやいや。そんなにヒューズ容量がギリギリというのは考えにくい。普通に考えて設計上のマージンを取りますから。
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なるほどね。
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だから200~300ミリアンペア位の消費電流アップで、BCMが壊れるというのは考えにくいのです。
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そういうことか~。
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ただ気持ち的にリスクを完全回避したいとすれば、リレーを使ってドアスイッチ線を使うやり方になるかと。
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結論は、そのどちらか!
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もうひとつパターンを挙げるとすれば、後付けの電装ユニットを使う方法もあります。
✔ リレーの使い方は、「リレーとは? 〈使い方〉と〈回路のしくみ〉を初心者向きに解説」参照。
イルミスターを使えば、リスク無しでルームランプ連動にできる
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後付けの電装ユニット?
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例えばコムエンタープライズには、〈イルミスター〉というキットがあります。
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どういうキットなんでしょうか?
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スモールオンとドア開閉に連動させる形で、フットランプを光らせるキットです。
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かつ、スモールオンで走行中と、スモールオンでドアオープン時は、色を変えられるようになっています。
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フムフム。
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で、なぜここでイルミスターを紹介するかというと、電源線以外は、全て信号線として取得するだけだからです。
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ルームランプの配線にもつなぐの?
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はい。しかしこのキットは、フットランプ用の電源をそこから取るわけではないので、純正配線に追加で流れる電流はごく僅かです。
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そうか。こういうユニットをルームランプの配線につなぐ分には、BCM故障の原因にはならないんだ。
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ただし、今回の質問者の方がやろうとしている「単色のドア連動フットランプ」に使うには、ちょっとオーバースペックになってしまいますが。
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どれも一長一短あるので、あとは各自の判断になってきますね。
✔ 詳しくはコムエンタープライズのイルミスター参照。
配線から常時電源を取り出すときのリスクについては他にもあります。下の動画(YouTube)の内容もチェックしておくことを強くオススメします(DIYラボ編集部)
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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