オーディオのQ&A
フロントスピーカー付属のパッシブネットワークが不満…?
フロントスピーカーの音が不満。音が良くない原因は、付属のパッシブネットワークが足をひっぱっているからでは?……そんな疑惑に対する回答。音の不満を解消するには、どうすればいいのか。
パッシブネットワークのせいで音質が悪くなるケースはあるの?
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今日は、読者の方から頂いた、カーオーディオの悩みについて回答していきたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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ようするに「フロントスピーカーの音に不満があり、その原因はパッシブネットワークにあるのでは?」ということなんですが、どうなんでしょう?
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う~ん……。僕の考えでは、これって、パッシブネットワークの問題なのかな? という疑問がありますが。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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そもそも、ソコではないのでは……と。
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スピーカーのメーカーが付属させているネットワークなので、それのせいでスピーカー性能が低下しているという風には、僕はあまり考えませんねぇ。
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なるほど。
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もちろん、パッシブネットワークにも性能差はあります。安価なスピーカーだと収縮チューブで巻いた程度のモノもあるし、高級スピーカーになるとお弁当箱みたいなネットワークが付属していますからね。
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内蔵されるコイルやコンデンサーなど、部品の質も違ってきます。
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……だとすると「安物のパッシブネットワークしか付いていなくて、そのせいで音がスポイルされる」とも考えられるのでは?
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しかし、付属のネットワークは、いってみればスピーカーにとっては推奨のところで音の周波数カットを行っているわけですよ。
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そりゃそうだ。
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その周波数カットをアンプ側で行う……というのは、アンプに「ローパスフィルター」や「ハイパスフィルター」が入っていれば可能ですけど……
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じゃあ、ビッグケンさんが言っている方法もできるんですね。
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できますし、それをやることで音の聞こえ方は変わるでしょうが……
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ふむ。
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結果的に、現状で抱えている不満の解決策になるかといったら、それはまた別の話のような気がします。
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そういうことね。聞こえ方は変わっても、音がよくなるとは限らない。
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例えば、この部分。
(↓) -
これって、耳で聴いて判断できるようなことではないと思うんですよ。耳では分からないと思う。
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ふむ。
では、なぜそう感じたんだろう? -
つまり、そのように思い込んでしまっているフシが強い気がします。
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パッシブネットワークが簡素なタイプだったから、「これのせいでは?」と。
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しかし、スピーカーの性能が出し切れないパッシブネットワークを、わざわざスピーカーメーカーが付属品にはしないと思うし。
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じゃあ、悪いのはだあれ? パッシブが足をひっぱっているのではないとすると……
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僕が思うに、「今付けているスピーカーの限界」なのではないかと思います。デッドニングとかは、また別の話ですが。
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……そういうことか。
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そういう意味では、今付けているスピーカーよりも、もっとクラス上のスピーカーに買い替えるほうが、正解のようには思います。
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なるほどね。ちなみに佐伯研究員のオススメは5~6万円クラスのスピーカー、でしたね。
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そのクラスになると、どのメーカーのものを選んでもそこそこ良い音が鳴る、という意味で安心感があります。
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ビッグケンさんのように音質にこだわる人には、そういう選択が現実的なのかも。
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ただ、現状でアンプがあるなら、質問の方法を試してみる手はあると思いますが、やるなら注意点があります。
■ 質問
フロントスピーカーに違和感を感じています。デッキから出た左右フロントスピーカー配線は、申しわけ程度のパッシブネットワークにつながり、ミッドレンジとツイーターにそれぞれ分岐されています。
パッシブネットワークは、ミッドレンジ側は高音カット、ツイーター側は中・低音をカットして、それぞれのスピーカーに音声信号を送っているのでしょうが、そんな立派なパッシブネットワークには見えません。 大した事のないコンデンサ抵抗では少なからずミッドレンジ側にも高音、ツイーター側にも中・低音の信号が流れていて、今一つハッキリしない音が出てきている様に感じます。
そこで考えたのが、フロントスピーカー配線をミッドレンジに、リヤスピーカー配線をツイーターにつなげ、アンプでそれぞれ高音カットと中・低音カットを行えば、しっかりとした音が再生できるのではないか? と考えたのですが、いかがでしょうか?
質問╱ ビッグケンさん
少なからずミッドレンジ側にも高音、ツイーター側にも中・低音の信号が流れていて、今一つハッキリしない音が出てきている様に感じます。
※質問者╱ZEROさんのメール・一部抜粋
付属パッシブネットワーク以外の手段で「音の不満の解消」を試す場合の注意点
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アンプ側にフィルターがあるとしても、ツイーターの音を何キロヘルツで切るのか……という問題点があります。
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ツイーターは、高音以外の音が流れたら壊れる。そんな繊細な面があるんでしたよね。
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そう。逆にミッドレンジに高音が流れるぶんには壊れる心配はありませんが、ツイーターの場合はリスクがあります。
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では、何キロヘルツで切ればいいのか?
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そこなんですが、何キロまで引っ張れるか(どこまで低い音に耐えられるか)は、ツイーターの性能によっても違うんですよ。
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それはそうだ。
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これは今付けているフロントスピーカーのネットワークの仕様を確認しないといけません。
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そういうことになりますね。
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上位グレードのスピーカーになると、たいていは「パッシブネットワークが何キロヘルツで音を切っているか」の情報が記載されていたりするんですが……
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フムフム。
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比較的安価なスピーカーだと、そのあたりのスペックが公開されていない可能性もあります。
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それが分からないと、アンプのフィルターを使うにしても、どこで切ったらいいの?っていう話になってしまう。
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そうなんです。だからまず「ツイーターが、下は何キロヘルツまで出せるのか」あるいは「付属のパッシブネットワークが、何キロヘルツで切っているのか」を確認できることが条件ですね。
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……でもぶっちゃけ、「そこまでして、それを試すのをオススメしているわけでもない」という……。
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まあ、そうですね。正直、この方法で、音質に対する不満が解消できる可能性は低いと思います。
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今のは間違いなく本音。
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現時点でアンプはなくて、アンプを付けるというのならば「アンプを追加する効果での向上」は期待できるでしょうけどね。
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しかし、それはまた別の話……ですよね。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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