電装品取り付けのQ&A
デイライトにスイッチを追加する配線パターン(配線図)
デイライトにスイッチを付ける場合、配線はどうなるのか? ここでは実際に使う部品をつないだリアル配線図を元に解説。リレーを使うので難しそうだが、順を追って理解していけば十分DIYでも可能。
✔ この企画は、読者のちゃちゃまるサンから頂いた質問が元になっています。
リレーの仕込み作業
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「デイライトへのスイッチ取り付け方法╱必要な部品は?」の続き。材料は前ページを参考にしてください。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は具体的な配線方法です。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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リレーが出てきたことで、ややこしいイメージはありますが……
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ひとつずつ理解していけば、難しいことはありませんよ。まず、4極リレー(今回は防水リレー)には、このように端子を付けます。
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防水リレーはエンジンルームのどこかに設置するので、ギボシ端子も普通のタイプではなく、防水ギボシ端子を使っています。
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あまり周知されていない情報ですが、普通のギボシ端子は非防水です。
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もうひとつ注意点。リレーの赤と黄色は、メイン電源が流れるので2スケアの太線が使われています。
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ふむ。
……それが何か? -
ということは、ここで使う防水ギボシ端子は太線用です。
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なお、ギボシ端子のオスメスの使い分けにも、意味がありますよ~。
解説用に配線コードを短くしたが、実際の製品版ではもっと長い配線が付いている。
リレーとバッテリープラス端子の接続
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電源をバッテリーから取る場合、エーモン4極リレー(防水リレーも含む)の「赤」を、バッテリーにつなぎます。
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エーモンリレーは配線が色分けされているので、こういう時に分かりやすいです。
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ただし、バッテリーに直結するのではなく、この「赤」の配線の先にヒューズホルダーを中継させて、バッテリーにつなぎます。
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リレーからは4本の線が出ているので、残る接続先は3本です。
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リレーの「黄色」はデイライトのプラス線へ、「黒」はボディアース、「青」がスイッチへとつながる線です。
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フムフム。
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つまり、リレーから出ている「青」だけは室内に引き込むので、延長コードとつなぎます。
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ちなみにリレーの「青」は、大きな電流が流れるわけではない(デイライトの電源ではない)のですが、防水ギボシ端子でつなぐ都合上、0.5スケア線を使っています。
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この線が細すぎると、ギボシ端子が使えない。
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ハイ。そしてこの青を延長した配線は、エンジンルーム内の奥にある純正配線の通り道を通って、室内側に引き込みます。
>>> 端子のきほん|参照記事
丸型端子については、「丸型端子の種類と、正しい使い方」 |
クワ型端子については、「クワ型端子でボディアースするための知識」 |
✔ 細い金属製の配線ガイドなどを使って、グロメット(※ゴムキャップのようなフタ)を貫通させる。
スイッチの配線方法
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室内の配線は、この部分(↓)ですね。
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ようするに、増設するスイッチ周辺の配線ですね。
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フムフム。
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今回は、自光するタイプのスイッチを使っていますので、スイッチからは配線が3本出ています。
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「赤」「黄色」「黒」の3本。
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黄色はスイッチ用のACC電源を取り、黒はボディアース。赤はリレーの青(を延長した線)とつなぎます。
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……つまり、配線図にするとこうなる(↓)
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ここではスイッチの「黄」を、延長ケーブル(0.5スケア)経由で、ヒューズ電源とつなげています。
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なお、スイッチの線は細線なので、0.5スケアの延長コードとつなぐときは、接続コネクターがオススメです。
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そしてヒューズボックスから、ACC電源を取る。
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このように配線すれば、ACCオン以降の状態で、なおかつスイッチオンのときだけ、リレーの「青」に電気が流れます。エンジンオフなら流れません。
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空きスイッチパネルへのスイッチ取り付け方法は、下記記事で解説していますよ~。
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最後に、全体の配線図を見ながら、おさらいします。
配線図(全体像)を見ながら、電気の流れをおさらい
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デイライトにスイッチを取り付ける配線図は、全体としてはこうなります。
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この配線図を見ながら、電気の流れをおさらいしておきましょう。
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デイライト用のメイン電源は、リレーの「赤」から「黄」に流れています。
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ふむふむ。
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リレーが電気を通すタイミングは、リレーの「青」に電気が来ている間だけ、です。
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室内に引き込んだ、リレーの「青」が引き金の役割ですね。
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ハイ。その青にスイッチをつないでおけば、スイッチ連動になる、ということです。
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そのスイッチの電源側には、常時電源ではなくACC電源を取っておく。
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そうすることで、スイッチオンのままでもエンジンオフ(ACCオフ)にすればリレーの「青」に電気は流れず、デイライトが消灯します。
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理想的な制御と言えます。
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次にエンジン始動したときには、スイッチがオン状態であればデイライトも点灯します。
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普段はオンのままにしておけば、基本はACC連動デイライトになる、ということですね。
バッ直ではなく元々のデイライト配線を生かせる場合
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なお、ここまではデイライトの電源を新規に取り直すパターンで解説しましたが、他のケースも考えられます。
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例えば?
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純正あるいは社外品のデイライトがもともと付いていて、電源線も通っているケース。
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その場合は、改めてバッ直で電源を取り直す必要はないですね。
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そうですね。まあ、デイライト自体を交換して電流量が増える、というならバッ直で組むのが安心ですが……
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ふむふむ。
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デイライト自体を交換するわけではなく、単に、オンオフ制御としてスイッチをかませたいだけ、ということなら電源線を引き直す必要はないです。
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その場合は、配線図としてはどうなるのか?
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デイライトのプラス線(点灯時に+12Vの電気が流れる線)を切断して、割り込ませます。つまり、こういうことです(↓)
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ほぼ同じに見えますが、違いは……
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リレーの電源を取るところ。「赤」をバッテリーではなく、切断したデイライト線の車両側(つまり電源側)につなぐんです。
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ふむふむ。
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そしてリレーの「黄色」を、切断したデイライト線のデイライト側につなぎます。
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つまり、デイライトのプラス線の途中にリレーが割り込んだ感じですね。
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ハイ。ここでは、バッ直電源ではなく、単にスイッチの容量制限を回避するためだけにリレーを使っていることになります。
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デイライトの電源は、既存のデイライト線から流すんだ。
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そうです。リレーの「青」に電気が流れている間だけ電源を流す、という条件を加えているだけです。
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そしてリレーの「青」に電気を流すタイミングは、後付けスイッチが決めている。
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ハイ。その点は最初と同じ。違うのは電源がバッテリーなのか、既存配線なのか、だけです。
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こういう配線パターンもあるのか~。
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もともと付いているデイライトになんらかの制御(スモールオンで消灯・減光など)が働いている場合は、この配線図のほうが、その制御も生かせます。
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どっちの配線パターンがいいかは、現状のデイライト状況次第ですね。
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ハイ。これからデイライトを取り付けて、その電源を取るということであれば、バッ直で取るのが一番確実! オススメです。
スイッチを選ぶときは「容量」にも注意しないと壊れるリスクがある、という話はDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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