LEDヘッドライトバルブの知識
コンパクトなLEDヘッドライトバルブのデメリットは?
LEDヘッドライトバルブ市場の今どきの主流は、コンパクトタイプのもの。純正ハロゲンバルブに近いサイズに抑えられているメリットは前回学んだが、小さくしたことで生じるデメリットも当然ある。
コンパクトなLEDヘッドライトバルブは寿命が縮む…
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「コンパクトなLEDヘッドライトバルブの、メリットとデメリット」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日はコンパクトなLEDヘッドライトのデメリットについてお話します。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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ここからが重要。
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IPFのバルブを例にすれば、従来モデルには大型のヒートシンク&ファンを付けています。
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これは放熱性を高めるためです。明るいLEDヘッドライトバルブを作ろうとすれば熱の発生量は増えるので、放熱性能はとても重要な要素です。
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ところが、コンパクトなLEDヘッドライトではここまで小さく収まっている。
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こちらは「純正球サイズ」がコンセプトなので、あくまでもハロゲンバルブのサイズ内に収まる最低限のヒートシンクしか付けられません。
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見た目にも、ずいぶんと違いがあります。
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安全のためにいろいろな保護回路が入っていたりもしますが、そういった細かな電子部品のチョイスも代わってきます。ヒートシンクのサイズだけではなく。
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ムムム。
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全体的にコンパクトに設計することが優先。それはヒートシンクを小さくするだけで出来るわけではありません。
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そうなると当然、どこかにしわ寄せがきてしまう……?
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はい。通常モデルに比べると負荷は大きくなります。
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寿命が縮む…?
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そうですね。
まずは寿命に影響が出てきます。 -
いくらコンパクトで値段が安くても、すぐ切れたら意味がありませんが……
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さすがにIPFとしては、そんな製品を市場に投入はできません。コンパクトなLEDヘッドライトバルブでも2年保証は付けていますから。
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え…? 2年保証なら全然問題ないってことでは???
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しかし通常モデル(オールインワンタイプ)のLEDヘッドライトバルブは、IPFでは3年保証を付けていますので。
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そうだったのか。…しかし、コンパクトな設計でも2年保証を付けているあたりはさすがですね。
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コンパクトモデルは負荷が大きいとはいっても、そんな中ではできるだけ無理のないような設計にはしています。
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それだけ聞くと「IPFのモデルを選ぶのなら、コンパクトタイプでも問題ないじゃないか」という気がしますけども……?
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ごく一般的なレベルで見れば、不満はないかなとは思われます。しかし両者の差は「寿命」だけではありません。
コンパクトなLEDヘッドライトバルブは明るさを抑える必要がある
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ヒートシンクが小さいということは、放熱できる熱量は減りますから、電流量も減らさないといけません。
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となると、明るさは……
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当然、通常のモデルと同じ明るさを出すわけにはいかないのです。
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コンパクトなLEDヘッドライトのほうは、明るさを抑えているんだ。
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ハイ。コンパクトでもきちんとした設計で作ろうとしたら、明るさを抑えることになります。
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どのくらい差があるんでしょう?
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ここではルーメン値(※)を基準に比較します。IPFの通常モデル(オールインワンタイプ)のLEDヘッドライトバルブで、H4のハイビームが5400ルーメン・ロービームが3800ルーメンです。
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いっぽうコンパクトな〈Eシリーズ〉のLEDヘッドライトだと、H4のハイビームが4000ルーメン・ロービームが3200ルーメンとなっています。
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それぞれ、減少していますね。
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参考までにハロゲンバルブだとH4ハイビームが2500ルーメン・ロービームが1500ルーメンです。
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つまりコンパクトなLEDヘッドライトバルブを選んでも、純正の電球よりは明確に明るくはなるのね。
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それはもちろんです。
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明るさを求めるのであれば、コンパクトタイプよりも大型ヒートシンクを備えた通常タイプのほうがいいよ、というのはよく分かりました。
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ハイ。
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ただ、ルーメン値だけを比較してみる限りにおいては、コンパクトなLEDヘッドライトバルブを選んでも全然問題はないような気も……
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しかし、単純なスペック上のルーメン値だけでは見えてこない〈差〉もありますよ。
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む?
※ルーメン値は社外LEDバルブでは「左右2本分の合計」で表記されることが多いので、ここでも2本合計の表記にしている。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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