車高調整のQ&A
トヨタ車のリア・ダブルウィッシュボーン式の車高調整方法は…?
ダブルウィッシュボーン(リア)の車高調整のやり方について、読者からの質問。リア・ダブルウィッシュボーン式の車高調整で難易度が高めなポイントや、「こうした方がやりやすい」アドバイスなども含めて、車高調取り付けのプロに聞いてみた。
リア・ダブルウィッシュボーン式の車高調整は難易度が高め…?
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読者の方から頂いた、車高調の車高調整方法についての質問です。
●レポーター:イルミちゃん
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50プリウス・C-HR・30アルファードなどのダブルウィッシュボーン式の場合は、ロアアームとナックルをつなげているボルトは外さないと車高調整できませんね。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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やっぱりそうなんだ。
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ただその前に! ブレーキホースを固定しているボルトも先に外しておかないといけません。そのあとロアアームとナックルのボルトを外す順番です。先にブレーキホースを外さないと、引っ張られてしまいますので。
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なるほど。
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ただ、このタイプの足回りの場合、DIYで車高調整するのはあんまりオススメはしないです。
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へ?
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この手の作業に馴れている人や、自分で車高調を取り付けたような人は別にしても。
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それはナゼなんでしょう?
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ロアアームとナックルを接合しているボルトを抜くのが、一般の人だとなかなか難しいのではないかという懸念があります。
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ムムム……。
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というのも、負荷がかからない角度にした状態でないと、ボルトが抜けないんです。無理に抜くと、ねじ山が潰れるリスクがあります。インパクトレンチなどを使えば、強引に外すことはできるのでなおさら要注意。
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負荷がかかっていない状態でボルトを抜く……ってことね。
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そうですね。やり方としてはジャッキを使ってロアアームを持ち上げて、負荷がかからないポイント(高さ)に合わせてから、ボルトを抜きます。
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なるほど、なるほど。
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ただ、長さのあるボルトなので、抜くのがけっこう大変だし、付けるときも同様に難易度が高めです。
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ちなみに、おっしーさんの心配事の中にあった、そのボルトを抜く時点でアライメントが狂うのでは? という懸念については……
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はい。ボルトを外す時点でアライメントは狂います。このタイプのダブルウィッシュボーン式は、トー角がすぐにズレますね。
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じゃあ、アライメント調整も必要になるってことね。
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まあ、お金がないからやらない、という人はいますけど、やったほうがいいですね。気にする人はやる場面です。
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でも、車高調整する時点でアライメント調整はどのみち必須って、教わった気がするんだけど?
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とはいえ、トーションビーム式のリアについては調整しようがなかったじゃないですか。
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あ、そっか。今はリアの話をしてるんだった。
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それに対して、このタイプのダブルウィッシュボーン式はトー角が調整できるんで、その違いがありますね。
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調整できるのはいいことだけど、余計な出費が増えるという……。
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まあ、そういうことでもありますね。
■ 質問
最近50プリウス後期に乗り換え、車高調を取り付けました。しかしリアの調整方法がよく分かりません。
以前の車はトーションビーム式で、ダブルウィッシュボーン式は初めてなので車高調整が不安に感じます。
また、ダブルウィッシュボーンの車高調整時はナックルのボルトを毎回外さなければいけないようなことが多く、そうなるとアライメントが狂ってしまうのではないかという疑問もあります。
質問者╱おっしーさん
リアの車高調整は、リアバネやアジャスターを外したほうがやりやすい
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それから、リアのバネを外すためには、スタビリンクも外す必要があります。
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バネを外さないと車高調整はできないの?
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うーん、出来ないとまでは言いませんが、アジャスターの位置がかなり調整しづらいと思います。トーションビーム式と違って、少し奥まった位置になるので。
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アーム類も邪魔だし、手を伸ばして車高調レンチで回そうとしても、かなり作業しにくいかと。
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なるほど…。
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自分としては、バネもアジャスターも外してしまって、作業するほうがいいと思います。
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そういえば、トーションビーム式のときでさえ、佐藤研究員は外してましたからねぇ。
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このやり方だと、メジャーを当てて車高を測りやすい。「1センチ車高を下げたい」とか「あと5ミリ下げたい」などの車高調整もやりやすくなります。
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それはそうだなァ。
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奥まったところにあるバネとかアジャスターにメジャーを当てて、5ミリとか測って調整するのはけっこう大変ですからね。
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バネやアジャスターはいったん外したほうがかえってラクですよ、という話なんだ。
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ただし、その場合はスタビリンクも外さないとダメですよってことです。
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なるほど。
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ちなみに、足回りを組み直すときに、このスタビリンクを付け忘れるというのは定番なので注意しましょう。
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……。
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忘れたまま、アジャスターやバネを入れて、ロアアームとナックルを付けて……ってところまでやったあとに、「あ! スタビリンク付けてなかった」という展開は大変ありがちだと思います。
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経験者は語る……というやつね。
写真はアルファードのエアサス装着車。エアバッグの位置がもともとのバネの位置。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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