足まわりコラム
15mmのワイドトレッドスペーサーは定番だが、注意点もある
ワイドトレッドスペーサーの定番サイズは15mm。それはなぜなのか、15ミリがよく使われる理由を初心者向けに解説。また、そこそこ詳しい人も陥りがちな、ワイドトレッドスペーサーの注意点にも言及した。
15mmのワイドトレッドスペーサーが定番なのはナゼか?
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「ホイールスペーサーの厚みは、なぜ5mmが定番なのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日の話題はワイドトレッドスペーサーの定番と、その注意点です。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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ホイールスペーサーは5mm厚のものが定番ですが、同じようにワイドトレッドスペーサーにも定番的な厚みがありますよね。
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そうですね。15mmのワイドトレッドスペーサーあたりが一番よく使われていると思います。
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それはなぜ?
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理由は人それぞれですが、ひとつにはまず、「そのくらいホイールを外側に出さないとツライチに近づけない」っていう仕様の車が多いと思います。
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つまり、15mm以上引っ込んでいるってことか。
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一般的な量販店などで推奨されるホイールマッチングも、普通車の場合はそのぐらいのマージンは取ってあることが多いんですよ。
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そこからツライチにしたいと思ったら、5mmでは全然足りませんね。
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けれど、ロングハブボルトに打ち替えまではしたくない。となれば、ワイドトレッドスペーサーの出番です。
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ただし軽自動車の場合は、現状で5.5Jあたりを履いていると、15mmのワイドトレッドスペーサーを入れたら、ハミ出てしまうケースも多いかも知れませんが。
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軽自動車は「入れる余地があるのかどうか」要注意ですね。
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例えば、5J+45あたりなら、15mmのワイドトレッドスペーサーでちょうどツライチ前後にくることも多いでしょうが……
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そこまで出てきたら、ホイールの干渉問題も問われそうな。
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そうですね。以前にも言いましたが、「15㎜ツラが引っ込んでいるからといって、15㎜出せるわけではない」という点に注意してください。
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ここまでは初心者向きの話ですが、次はそこそこ詳しい人が陥りやすい、15㎜のワイドトレッドスペーサーの注意点です。
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ほう?
✔ 普通のホイールスペーサーと何が違うのか? などの基本的なことは、「ワイドトレッドスペーサーの使い方」参照。
そのホイールの「裏逃げ」は、本当にハブボルトから逃げられるのか? という注意点
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注意点ってなんですか?
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15mmのワイドトレッドスペーサーを入れた場合でも、純正ハブボルトが少し出っ張る状態です。
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ということは、ホイールの裏側に逃げ(凹み)がなかったら、純正ハブボルトの出っ張りを切断する必要が出てきます。
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15㎜のワイドトレッドスペーサーを入れても、純正ハブボルトから逃げ切れないのか。
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20ミリちょっと位出さない限り、ハブボルトは出っ張ってしまいます。
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でも、今どきのホイールならそのへん考慮して、裏逃げがあるとかっていう話では……
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ナイです。
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そうなんだ。
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裏逃げでハブボルトの出っ張りから逃げられるホイールは、半分くらいかな~という感じですよ。感覚的な話ですけど。
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ウッ。
けっこう逃げがないホイールも多いということか。 -
注意点として、パッと見には裏逃げがあるように見えて、実際はハブボルトの逃げにはならないことも多いです。
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なにソレ。
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ようするに、ホイールの軽量化のための「肉抜き」の凹みであって、ハブボルトを意識した「逃げ」ではないケースですね。
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てゆーことは、けっきょくハブボルトが干渉するっていうこと?
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ハイ。ときどきある話なんですが、ワイドトレッドスペーサーを付けたいと言うお客さんが、「自分のホイールには裏逃げがあるから大丈夫」と、15mmのワイドトレッドスペーサーを持ち込んできて……
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……。
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いざ、15mmのワイドトレッドスペーサーを付けて、ホイールを入れようとしたら当たるっていう。
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そうなったら、もうハブボルトを切るしかない?
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そこは人によって分かれますね。「純正ハブボルトを切るのはイヤだ」っていう人もいるので。
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だとすると、持ち込まれた、そのワイトレは付けられませんね。
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そうです。その場合は、取り外して、また持ち帰ってもらうしかないのです…。
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う~ん。その点は、15㎜のワイドトレッドスペーサーを買う前に、よくよく確認しないといけませんねぇ。
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ぱっと見には、裏逃げがあるように見えたりするので、要注意ですね。
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ハブボルトの来る位置がどうなのか、っていう話ですね。
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逃げだと思っていたら、その逃げがテーパー形状になっていて、テーパーの途中の壁にハブボルトが当たる、みたいなケースもよくあります。
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よーく見ないとダメですね。
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20mmのワイドトレッドスペーサーでもちょっとは出たりするので、注意点としては同じです。
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……てことは! いっそ25mmのワイドトレッドスペーサーのほうが……。
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そんな分厚いの入れられる状態の車って、なかなかないと思いますけどね。
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そりゃそうですね。
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ただ、セダンのダブルウィッシュボーン式だと、車高を落とせば落とすほどキャンバー角でホイール頂点が内側に入っていくので、25mmでも入るケースはあると思います。
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純正車高に合わせて社外ホイールを買って、そのあとから車高をベタベタに落としたら、あり得る話です。
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そういうケースを除く、10mm・15mm・20mmのワイドトレッドスペーサーでは、ホイールの「裏逃げ」に要注意ですね。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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