ホイールスペーサーの種類まとめ
スペーサーにはいろいろな種類がある。普通のスペーサーとワイドトレッドスペーサーまでは、足まわりにこだわりがある人にはおなじみだが、それぞれにハブリング付きというのもある。ピッチ違いのホイールを履くための、PCD変換スペーサーも合わせて解説。
普通のスペーサーとは?
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初心者向きに、ホイールスペーサーの種類について整理しておきます。
●レポーター:イルミちゃん
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まずは「もうちょっとだけツラを出したい」という時に使うのが、普通のスペーサーです。一般的によく使われるのは3mmと5mm。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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普通のスペーサーの厚みの種類は、1mm、3mm、5mm、8mm、10mmとありますが、純正のハブボルトのままで使えるのは、ギリギリ5mmまでです。
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では、どうして8mmや10mmがあるのかと言うと……
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5mmを越えるスペーサーをかませるときは、ハブボルトをロングハブボルトに交換するのが前提です。
※「スペーサーの正しい使い方」参照。
普通のスペーサー
ハブリング付きスペーサーとは?
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スペーサーを買うときに、予算に余裕があればハブリング付きスペーサーを買うのがベストです。
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このタイプはハブリング(中央の壁の立ち上がり部分)が付いているので、自分の車のセンターハブ径に合わせて選べば、ピタっと付きます。
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ハブリングのない、いわゆる普通のスペーサーでは何が問題かと言いますと……
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ホイールを付けたとき、センターが出ない(きちんと中心が一致していない状態)可能性があります。
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センターが出ないデメリットは?
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センターが出ていないと走行時にブレが出る。ハンドルもブレたり、ハブボルトにも負担がかかります。
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でも普通には、ハブリングなしを買うのが多数派なんですよね?
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それはハブリングは精度が求められる部品なので、結果的にハブリング付きスペーサーの値段が高いからです。
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なるほど。結論としては予算に余裕があるならば、本当はハブリング付きがオススメということですね。
ハブリング付きスペーサー
ワイドトレッドスペーサーとは?
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ワイドトレッドスペーサーは、その名の通り厚みが出てくるのですが……
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単に分厚いだけではなく、スペーサー自体にホイールを固定するためのボルトが一体化しているのがワイドトレッドスペーサーです。
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ワイドトレッドスペーサーは一番薄いもので10mmから始まって、5mm刻みで何十ミリという厚みのものまでいろいろあります。
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普通のスペーサーと違って、ボルトが延長されるんだからホイールはしっかり固定できますね。
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そうなんですけどスペーサー自体に負担がかかるので、高強度のタイプを選ばないと割れたりボルトが折れたりするリスクがあります。
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ボルトが延長されるからリスクがない、というのは誤解ですね。
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そうですね。それと基本的にワイドトレッドスペーサーは車検NGです(※一部の保安基準適合品をのぞく)
ワイドトレッドスペーサー
ハブリング付きワイドトレッドスペーサーとは?
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ワイドトレッドスペーサーにも、ハブリング付きがありますよ。
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普通のスペーサーにハブリング付き・なしがあるのと同じですね。
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そのぶん高価なものにはなりますが、本来はハブリング付きで、ハブリング自体の精度が高いワイドトレッドスペーサーを使うのが望ましいです。
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別記事の「ワイドトレッドスペーサーの取り付け方法」で使ったのも、このタイプですね。
ハブリング付きワイドトレッドスペーサー
PCD変換スペーサーとは?
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PCD変換スペーサーは、これまでに紹介してきたスペーサーとは目的が違います。
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見た目には、普通のワイドトレッドスペーサーと似ていますが……
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これはピッチの違うホイールを履かせるのが目的。普通車は5穴でPCD114.3が一般的ですが、そうではない車種もある。例えば、5穴でPCD100の車もあります。
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そうではない車種って?
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最近の人気車種の例でいうと、プリウスや86はPCD100なんですよね。
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でもその場合は、5穴でPCD100のホイールを履けばいいのでは?
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そうなんですけど、5穴のPCD100は一般的ではないので、ホイールの選択肢が狭まります。
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好きなデザインのホイールが、PCD114.3しかなかったりするわけか……
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そんなときに、PCD変換スペーサーを使います。4穴のPCD100を114.3に変換するタイプとか、いろいろな変換パターンのものがありますよ。
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ツラを出すためというより、本来履けないホイールを履かせるためのスペーサーなんですね。
PCD変換スペーサー
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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