足まわりコラム
ワイドトレッドスペーサーとロングハブボルトはどっちがいいのか?
DIYラボでは「ワイドトレッドスペーサー取り付け方法」と「ロングハブボルトに交換」を解説済みですが、一体どっちがいいのか? 比較しました
理想のツラまで、あと5mmでは足りない……そんな場合の解決策は2つある。すなわちワイドトレッドスペーサーを使うか、ロングハブボルトへの打ち替えをするか。どちらもそれなりにリスクがあるので、特性を理解した上、自分に合う方を選ぼう。
6mm〜10mm程度、ホイールのツラを出したい時は?
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「3mmや5mmの薄型スペーサーでは、ホイールが希望のツライチにならない!」という時は……
●レポーター:イルミちゃん
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ワイドトレッドスペーサーを使うか、ロングハブボルトに打ち替えた上で8mmまたは10mmのスペーサーを使う手がありますね。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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それって、どっちがいいんでしょうか?
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う〜ん。それぞれに一長一短ある。絶対的にどっちがいいとは言い切れませんね。
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ほほう。
そこのところ、詳しく聞いておきたい気がしますね。 -
まず、15mm以上出すならワイドトレッドスペーサーで決まりですが。
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普通のスペーサーには、10mmまでしかないから?
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そういうことです。悩ましいのは「5mmでは足りないけれど、15mmまではいらない」ケースですよね。
ワイドトレッドスペーサーのメリットとデメリット
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では、5mmでは物足りない場合の解決策は?
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まずはワイドトレッドスペーサーの中では比較的薄い、10mm厚を使う方法があります。
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この方法は、ハブボルトを打ち替えないで済むやり方ですね。
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そうなんですけど、ハブボルトに関して言うなら別の問題があります。
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上は15mm厚の例ですが、それでも出っ張ってしまう。10mm厚なら、さらに5mm多く出っ張ります。
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ホイール側の裏に逃げ(凹み)がなかったら、装着できないパターンですね。
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そうなんですよ。となると、ハブボルトのカットが必要になってくる。
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ウーム。
カットすることのデメリットとしては? -
ワイドトレッドスペーサーを外したら、ホイールが付きません。
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あらま。じゃあ、後からホイールを交換したくなったら……
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ハブボルトを純正に打ち替え直さないといけませんね。
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そういうことかー。
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だから、例えばワイドトレッドスペーサーを付けた状態で、車検に通らないツラ具合だったとすれば……
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それって……「車検に通らないぞ〜」→「スペーサー外そ〜」→「あれ? ホイールが付かないぞ!」
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……という展開になってしまいますね。
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つまりハブボルト交換まではしたくないからワイトレで……と思ったら、結局ハブボルト交換が必要になるってことですね。
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戻すときのことまで考えると、そうなりますね。もっともホイールに裏逃げがあって、ボルトを加工しないで装着できるなら別ですけどね。
純正ハブボルトが出っ張る問題が起こる
ハブボルトが出っ張る分を切る
ハブボルト打ち替えのメリットとデメリット
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5mmでは物足りない場合の、もう一つの解決策です。
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ロングハブボルトに打ち替えた上で、普通のスペーサーの中では分厚い8mmや10mmを付ける手があります。
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この場合も、あとからホイール交換するときに困る?
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ロングハブボルトの場合は、ボルトが出っ張った状態になりますから、貫通ナットを使えばとりあえず一時的に他のホイールを付けることはできますよね。
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なるほど。一時的に、スペーサーを外してもホイールは付けられるんだ。
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ハブボルト打ち替えには工賃がかかりますけど、トータルで考えると、こっちのほうが安く上がるケースもあると思います。
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スパイスでハブボルト交換をお願いした場合、工賃は?
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だいたい1輪あたり3000円位+部品代です。ハブボルト自体は、1本数百円程度のものです。
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思ったほど費用はかからないし、意外とハブボルト交換の敷居は低い?
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ただ、ロングハブボルトも競技用パーツという位置づけ。厳密には、車検NGということになってます。
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そのへんの事情は、ワイトレと似ていますね。
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要するに強度の問題ですよね。強度的に、なんとも言えないところがある。
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でもロングハブボルトに打ち替えた上で、8mm厚とか10mm厚を使うぶんには、ナットはちゃんと付くんですよね?
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ナットは噛みますよ。ただ、力のかかるポイントが根元ではなく外側に移動する。スペーサー未使用の状態と比べて、ボルトが折れやすくなるのは事実です。
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言われてみれば、確かにそうですね。
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スペーサーを入れるということは、けっきょくハブボルトの端っこのほうに荷重がかかるんです。だから薄いに越したことはないですよ。
純正ハブボルトでは付かない8mmスペーサー
ワイドトレッドスペーサーも強度重視で選ぼう
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ハブボルトが折れるリスクなどを考えると、やはりワイドトレッドスペーサーのほうが無難かなぁ?
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ワイドトレッドスペーサーなら折れない、ということではないですけどね。
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……ムムム。
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ワイドトレッドスペーサーは、ナットが噛まなくなるようなリスクはないですけど、荷重がかかるポイントが外側に移動するので、スペーサー自体には負担がかかります。
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タイヤとホイールが外側に行くんだから、それも当然ですね。
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安物のワイドトレッドスペーサーとかをうかつに使うと、強度不足で割れたりしますよ。
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ボルトが折れる、じゃなくて?
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ワイトレ側のボルトが折れることもありますが、スペーサー自体(本体)が割れることもあるんです。
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う〜ん。
けっこう恐い話ですねー。 -
だからきちんとしたメーカー製の、高強度品を使うことをオススメします。
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どちらにもそれなりにリスクがある。特性を理解した上で、自分に合うものを選びましょう。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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