アースを疑え! 第1章
アース不良対策として、アースポイントを「増設」「延長」するという発想
アース不良で電装品が動作しないのはよくある話だが、最近の車では、都合のよいアースポイントが少ない(そもそもネジが少ない)という事情もある。これからはアースポイントの「延長」「増設」という発想が必要になる!?
付けた電装品が動かない! そんな時はアース不良を疑う
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DIYで電装品を付けたけど、動かない。そんなことって、よくありますよね。
アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
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なにこの電装品、壊れてるッ!! なにはともあれ、まずはクレームだっ!!
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
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その順番はおかしい。
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じゃあ、何からやればいい?
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「付けた電装品が動作しない」原因はいろいろ考えられますが、その中でも定番中の定番は、アース不良です。
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アース不良……?
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ようは、アース線(マイナス線)がしっかりアースに落ちていない。電源(プラス)はちゃんと取っていても、アース不良があれば電気は流れません。
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電装品のアース線は、だいたいクワ型端子でボディアースすることが多いですよね。
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しかし、やり方としては分かっていても、現実にアース不良はよく起こります。その原因を探っていきましょう。
✔ ひとくちメモ
電装品はプラスとマイナスを両方つないではじめて動作する(電気が流れる)ものなので、アース不良があると電気は流れず、電装品はウンともスンと言わない。ナビ・デッキ裏のアースも不良が起こりやすい
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例えば電装ユニットを取り付けるときに、よくナビやオーディオデッキ裏から電源を取ったりしますよね。
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ACC電源やIG電源はもちろん、イルミ電源も取れますからね〜。
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で、プラス電源を取るのはいいとして、アースはどこで取りますか?
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せっかくナビ(オーディオ)を外している状態なら、デッキのステーのネジに共締めしますよね。フツー。
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でもデッキ横のステーにクワ型端子を付けると、何かと接触不良の原因になったりします。
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ウソッ!!
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まず、そもそもデッキのステー自体が、車種によってはしっかりアースに落ちないケースもあるし。
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金属製ですけど……ダメなの?
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ステーが金属でも、車体金属とつながっていない例もあります。金属のネジならどこでもいい、ということではありません。
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……なるほど。
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それと、ナビやオーディオデッキを戻すときに、コードに力が加わって、接触不良が起きたりすることもある。
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加えて、ナビやデッキの収まりが悪くなったりします。
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で、強引に押し込むとそれこそ接触不良の原因ですね。
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それとナビやデッキの取り外し作業時に、横に付いているとアース線を引っ張ってしまったりとか……。
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このように、知らず知らずうちに起こるアース不良(接触不良)もあるのです。
ナビ・オーディオ裏からの電源取り出し方法
アースポイントを延長・増設する
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しかしですね、藤本研究員。ユニット取り付けなどでは、ナビ・オーディオデッキ裏でアースを取るのは、けっこう定番ですよ?
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そうなんですけど、本当のことを言えば、この場所でアースを取るのはあまりオススメできません。
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じゃあ、どうするの?
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キックパネル裏やヒューズボックス周辺で、確実にアースポイントとして使えるネジに接続したほうがいいです。
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アース不良が疑わしい場合は、こういったアースポイントに変更してみましょう。
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……うーん。
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あれ、なにか文句でも?
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理想はそうでも、現実的ではないケースもありますよ?
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と言うと?
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例えば、自分で延長コードを用意して端子かしめまでできるなら、そういうアースポイントまで延長すれば済む話ですけどね。DIYでLEDを付けられる人とかは。
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フムフム。
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小型の電装ユニットとかだと、電源の近くでアースを取るのが前提になっていて、そんな遠くまでアース線(マイナス線)が届かないよ〜、というケースもありますよね?
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そういう場合は、アースポイントを「延長」しつつ「増設」するという発想を持ちましょう。
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ほほう。
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「周辺でネジを探す」だとなかなか良いアースポイントがない場合があるので、遠くても確実に落ちるアースポイントを持ってきましょう、ということです。
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どうやって?
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自分でマイナス線を延長できない人は、こういうアイテムがあります(↓)
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電装品側のアース線は、もともと長さが限られていることが多いので、「アースポイントを延長する」感覚のアイテムです。
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ようは、クワ型端子側を確実なアースポイントにつなげておいて、ネジ側を電装品のそばに持っていきます。
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ほー。
なるほど。 -
こうすれば確実なアースポイント(ネジ)を、電装品の近くに持ってこられます。
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この反対側がネジになっているのは……
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製品側のアース線は、だいたいボディアースする前提でクワ型端子が付いている。それをそのままつなげます。
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キックパネル裏やヒューズボックス付近には、マトモなアースポイントとして使えるネジが、たいていの車種にはあります。センターからそこに届くように、120センチの長さがあります。
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なるほどね〜。マイナス線の延長なら分かるけど、アースポイント側を延長してくるっていう発想はなかったなァ。
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マイナス線を延長するには、配線を切ったり端子をかしめたり、といった配線加工が必要になります。
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できる人とできない人がいるし、具材も揃えないといけませんよね。
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アースポイント延長ケーブルは、ポン付けするだけで、アースポイントの見直しができますよ!
キックパネル裏のネジ
DIYライフのアースポイント延長ハーネス
アースポイントが都合のいい場所に来る
電装品を取り付けたときにアース不良で動かない!というのは超定番。アース不良をなくすための方法論については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。ボディアースの基礎知識のおさらいにも最適な動画です!
DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
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