車検の知識

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キャンバー角を付けても車検には通る？

キャンバー角をすでに付けた人はもちろん、これから付けようと思っている人も、非常に気になるのがキャンバー角と車検の話。キャンバー角は、何度までなら車検に通るのか。そもそもキャンバー角を付けた車は車検に通るのか。車検の専門家に取材した。

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  今日のテーマはキャンバー角と車検です。果たしてキャンバー角は、何度までなら車検に通るのかッ？

  ●レポーター：イルミちゃん

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  え〜っとですね、キャンバー角を付けてはいけないという決まりはありません。「何度以上はNG」という保安基準上の線引きも、今のところは存在していません。

  ●アドバイザー：TIC 越川研究員

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  ほー。
  何度でもイイって、意外な気もしますが。

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  キャンバー角を測定して、何度以上だから車検NGです、みたいな基準はないですね。

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  （……てことは、90度とかでも車検に通るの？）

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  ただ、どこかには限界点は存在しますよね。だって、車としてマトモに走れなくなる限界があるわけだから。

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  ……そ、そうですよね。マトモに走れない車が、車検に通るわけがない。

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  例えばキャンバー角が8度付いていても、車検に通る車作りはできます。しかしキャンバー角3度と比べたら、タイヤへの負担（内減り等）は当然大きくなりますよね。

キャンバー角3度



キャンバー角8度



角度の違いについては、「キャンバー角の比較」参照。

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  タイヤの接地面積はキャンバー角がつくほど減りますね。8度だともう、外側は浮いてます。

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  さらに10度を超えるような極端なキャンバー角になると、タイヤはいくらも接地していないことになる。すぐにタイヤの内側がダメになってしまいます。



外側のスリップサインまでは余力があるのに、内側はすでにツルツルの内減りタイヤ。

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  となると、1000キロ、2000キロほどの僅かな走行距離でも、タイヤが保安基準を満たせない状態となってしまうのですよ。

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  あー、そっちの話ですね。ちなみに、タイヤの保安基準っていうのは……、

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  スリップサインが出ているタイヤは車検には通らないし、外側の溝が残っていても、内側の溝がなければ当然NGとなります。

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  結局、別の問題を指摘される可能性が、角度に比例して高まるということですね。

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  次に、キャンバー角を付けるための手段について、ひとつずつ検証してみたいと思います。

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  キャンバー角自体に決まりはなくても、「キャンバーを付けるために交換するパーツ」にはルールがありますからね。

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  まず、キャンバー角を付ける定石としては、車高調のアッパーマウント調整でキャンバー角を付ける方法。



具体的なやり方は、「アッパーマウント調整でキャンバー角を付ける方法」参照。

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  車高調とは、ようするに「コイルスプリング」と「ショックアブソーバー」の交換という扱いです。両者は指定部品なので、車検には通ります。

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  ただし、指定部品とはいっても、保安基準に適合していることは最低条件でしたね。

  ※「車高調は車検に通る？ 通らないケースがあるとすれば…」参照。

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  手軽にキャンバー角を付けられるパーツとして人気がある、キャンバーボルトは車検に通るのでしょうか？



✔ ひとくちメモ

キャンバーボルトは、ショックとナックルアームを固定している純正ボルト2本のうち、1本を交換してガタを作り、ナックルアームを寝かせて固定することでキャンバー角を付けるパーツ。
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  ボルトの交換自体に、改造に該当する要素はないので、車検には関係ないですね。基本的には問題ないです。

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  純正ボルトより細いから問題……などはないんですね!?

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  そうですね。ボルト自体の交換で何かに抵触するわけではない。ボルトが良い悪いって、話ではないですよね。

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  そうなんだ。キャンバーボルトは車検に通る。これは朗報ですね。

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  ただし、保安基準の適否の問題というのは、どの部品にもついて回りますよ。

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  キャンバーボルトで保安基準を満たせない可能性というと、なんですか？

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  うまく締まらないとか、ゆるんでしまうとか、そういうボルトを使っているのはNGですよ。そうでないなら、基本的には問題ありません。

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  さて、車高調やキャンバーボルトでフロントのキャンバー角を付けた車が、リアにもキャンバー角を付けるために行うのがリアアクスル交換。

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  キャンバー角の角度自体にルールはないと言いましたけれど、いわゆるキャンバーアクスルは、そのままでは車検に通りませんよ。



アクスル交換についての基礎知識は、「J-LINEリアアクスルで車高が落ちるしくみ」参照。

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  ええ〜！
  キャンバー角、付けてもイイって話だったのにィ！

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  キャンバー角の問題ではありません。アクスルの交換というのは、改造に該当する部分なので、改造届けが必要なんです。

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  なるほど。
  そうなんですね。

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  いわゆる指定部品扱いではないパーツ、ということです。車高調などの指定部品は「交換しても届け出のいらない部品」ですが、アクスルは違います。

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  ええっと、つまりアクスル交換でリアにキャンバー角を付けた車はどうすればいいかと言うと……、

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  基本的には「記載変更」の手続きが必要になります。キャンバー角だけでなく、ローダウンも要素として含まれると思いますが、「車の高さが4センチ以上変わる改造」の場合は、「構造変更」が必要になります。

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  そのへんは、「〈構造変更〉と〈記載変更〉との違い」も参考にしてくださいね〜。