車検の知識

アーム交換は車検に通るのか？ 専門家に取材

「アーム交換したい。でも車検が気になる」という声が多いので、車検の専門家に取材した。アーム交換した車を車検に通すには、基本的には「記載変更」が必要だが、交換OKの指定部品扱いのアームもある等、興味深い話がいろいろ。

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  足まわりのアーム交換は、車検に通るのでしょうか？

  ●レポーター：イルミちゃん

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  アームは改造に該当するメニューなので、車高調などの指定部品とは違います。

  ●アドバイザー：TIC 越川研究員

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  改造に該当するとは、どういうこと？

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  そのままでは車検に通りません。アクスル交換などと同じで、「記載変更」が必要になりますね。

  ※「〈構造変更〉とは？ 〈記載変更〉との違い」参照。

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  まあ、アームもアクスル同様、重要な部品ですからねぇ。

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  ただしテンションロッドなどの、いわゆるコントロールロッドの類いは別。指定部品なので、交換しても大丈夫。

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  え!?
  アームはダメだけど、ロッドはいい？

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  簡単に言えばそうですね。ただ、その言い方だけだと誤解が生じるかな。例えばスイングアームは、交換してもOKなパーツです。

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  スイングアームはアームじゃないのか。……まぎらわしいなぁ。

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  アッパーアームやロアアームは、改造に該当するアーム交換。スイングアームはコントロールアームの扱いなので、指定部品です。

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  ここでは、J-LINEの30アルファード╱ヴェルファイア用のアーム類を例に、車検の問題を検証していきます。



車高調だけではアームロックして落ちきらない30アルファード╱ヴェルファイア。それを解消するためのアーム交換は、「30アルファードの車高を落としきるJ-LINEアーム登場！」で詳しく解説。

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  まず、分かりやすいところではアッパーアームの交換。長さや形状が変わる場合、記載変更が必要ですね。

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  長さが変わったらダメなのか。でも、アッパーアーム交換の目的って、純正より短いタイプを付けて、キャンバー角を付けたりすることだから……

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  当然長さを変えますよね。だから、記載変更が必要なんですね。

リアアンロックアッパーアーム



詳細はJ-LINEの30アルファード╱ヴェルファイア リアアンロックシステムを参照。

✔ ひとくちメモ

ただし、アッパーアームなら何でも記載変更できるわけではない。

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J-LINEのアッパーアームは、国の検査機関VIA（日本車輌検査協会）で耐圧試験等を受けて、精度や安全性について認定登録されている。それゆえに、必要な書類を揃えることで、記載変更の手続きを取れる。
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  ちなみに、長さ調整式のアッパーアーム等も、長さを変えられる……という時点で改造に該当します。公認取得が必要ですね。

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  次はロアアーム。
  これもまあ、同じことか。

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  そうなんですけど、J-LINEの場合は、ロアアームではなくて、ロアアームブラケットになっていますよね。

リアストロークアップブラケット



詳細はJ-LINEの30アルファード╱ヴェルファイア リアアンロックシステムを参照。

目的は純正ロアアームの干渉防止


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  純正ロアアームの位置を下げることで、ローダウン時の干渉を回避する部品ですね。

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  つまり、この部品を付けても、ロアアーム自体は純正のままで長さも変わっていませんよね。メンバーからナックルアームまでの距離は純正と同じ。

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  ふむ。
  ということは？

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  記載変更や構造変更は、必要ないってことです。

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  ほほう。
  そのまま車検に通るんだ。

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  ただ、もしもダウンブラケット＋αの味付けとして、純正より2センチ伸ばすとか、そういう仕様になっているモノなら改造に該当します。

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  J-LINEの場合は、ロアアーム自体には手を入れない作りだから、問題ないんですね〜。

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  そういうことですね。

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  続いてはスイングアーム。

アンロックスイングアーム



詳細はJ-LINEの30アルファード╱ヴェルファイア リアアンロックシステムを参照。

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  これはさっき言った通り、コントロールアームの類いなので、交換しても車検には通ります。

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  ……ということは、J-LINEのアルファード用アームで言うと、記載変更が必要になるのは意外にもアッパーアームだけ!?

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  そうですね。そしてJ-LINEの場合は、アッパーアームは長さの違いごとに全タイプきっちり耐圧試験などを受けてパスしているので、記載変更は問題なくできます。

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  それさえやれば、完全に合法仕様になるんですね〜。

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  スイングアームは交換してもOKと言いましたが、過去の公認取得で、一箇所だけ難しい問題に当たったことがありました。

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  難しい問題とは？

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  シビックなどのホンダ車の話なんですが、スイングアームが前から長ーく出ていて、ハブ留めからブレーキブラケットまでが、全部一体構造になっているんです。

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  ふむふむ。
  それで？

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  スイングアーム交換であると同時に、ドラムからディスクへのブレーキ交換がからんでくる例だったため、「この場合はブレーキ部品だろう」という扱いになりまして。

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  つまり、改造に該当するんだ。

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  そうです。当然、ブレーキとして問題ないことを証明しないといけません。書類の表記としては、スイングアーム交換だったんですけどね。

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  指定部品のスイングアーム交換だけど、指定部品扱いにはならないこともあるんですね。

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  まあ、この話はイレギュラーなケースなのですが。……ただ、このことに限らず、「改造箇所」だけを見られるのではなく、「改造により影響をおよぼす部分」まで問われるということは、覚えておきましょう。

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  指定部品ならどんな交換でもOK、とは言えないという、いつも越川研究員が言っている話ですね。

DIY Laboアドバイザー：越川 靖
公認車検専門店「TIC」代表。公認申請歴26年のベテラン。「車好きが堂々とカスタムカー・改造車に乗れるように」と使命感を持つ。自身も大の車好き。車検完璧対応のワンオフマフラーを自ら溶接する、職人系の公認車検屋。●TIC（http://www.tic-group.jp/index.html）

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