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塗装済みエアロを買うときの注意点。そのデメリットは…
塗装済みエアロのメリットはネット等で安く買えることだが、デメリットもある。そしてデメリットを知らずに買ってしまう人がそこそこいるので、注意喚起。純正色塗装済みエアロは、買うべきでない人もいるのだ。
塗装済みエアロのデメリットは買う前に知っておきたい
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「ABS樹脂バンパーを切ったり穴を開けたりするときの処理方法」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、塗装済みのエアロパーツを買うときの注意点についてお話しておきます。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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エアロって普通は未塗装品を買うもの、なんですよね?
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そうですね。基本的にはバンパーでもサイドステップでもリアウイングでも、未塗装品を買って車体に仮付けしてから、必要な修正をして、塗装に入ります。
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ただ今どきは、塗装済みエアロをネットで安く売っている業者もたくさんあります。
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あれ? 塗装済みって、エアロメーカーが出している塗装済みではなくて?
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そうではなくて、メーカーから塗装業者が仕入れて、塗装をした状態で販売している業態ですね。
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そういうことか…。
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普通に未塗装のエアロを買って板金屋に塗装を依頼するより、安い値段設定になっているから、ユーザーサイドからするとその点がメリットになりますが……
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だけどエアロパーツって、仮付け前に塗装してしまっても大丈夫なの?
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そこなんですよね。FRP製のエアロだとしたら、オススメはしません。
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その理由をあらためて説明すると……
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FRP製のエアロは、車に取り付ける前に削ったりといった加工が必要なケースが多い。だから塗装前に「仮付け」の作業を行います。
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しかし先に塗装されていたら、削ることができません。
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そのまま付けるしかない。
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そうなると、はめるときに割れる恐れがある。特に塗装済みに多いのはハーフスポイラーやフラップですが、純正バンパーに巻き込むようにハメ込むものは、修正なしでは上手くハマらないことがよくあります。
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ウーム。
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だから特に「ハメ込む」タイプのパーツでは、塗装済みエアロはオススメしません。
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なるほど。
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FRPのバンパーやウイングの場合は、基本的には未塗装品を買ったほうがいいと思いますが、これがABS樹脂の場合は少し事情が変わってきます。
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最近社外品のエアロでも増えてきたという、ABS樹脂ですね。
ABS樹脂のエアロは、ポン付けするなら塗装済みを買う手もありだが…
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ABS樹脂エアロは、社外品であってもフィッティングが良いものが多いです。
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昔ながらのFRPエアロとは違うんだ。
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全部が全部とは言いませんが、少なくともヴァルドやエイムゲインといった有名メーカー製のABS樹脂エアロは、合いが良いのは体験済みです。
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ヴァルドのエアロは、ほんだ塗装でも持ち込み塗装依頼されるケースが多いみたいですね。
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ヴァルドは品質がいいですね。それこそ、仮付けも必要ないんじゃないか?と思ってしまうレベルです。
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それはスゴイ。
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ABS樹脂エアロは、型の状態で90度の角度がバシっと取れていたりするから、フィッティングがいいんです。
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ということは……
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ボディとの色の違いがあまり気にならないなら、塗装済みエアロを買う選択もありだとは思います。安さを重視するのであれば。
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ボディとの色の違いって?
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塗装済みエアロを買うっていうことは、車体との色合わせ(調色)はしないということだから、色は基本的に合いません。
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ちなみに新車に付ける場合は色合わせが必要ないと思っている人もいますが、それも誤解です。
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そんな話もありましたねぇ。
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それから「塗装済みエアロ」として売られているモノも、ピンキリです。
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ムムム……。
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ですので、腕のいい塗装業者が塗装して販売している塗装済みエアロなら、買ってもいいと思います。
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そのへんは下調べしないと分からないけどね。少なくとも値段だけで選ぶのはやめましょう。
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それから、ここからが注意点の本題。ABS樹脂エアロであっても、塗装済みを買ってもいいのは「無加工でポン付けするケース」だけです。
デイライト埋め込みやマフラー穴加工が必要なら、塗装済みバンパーは避ける
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普通の人は買ったそばからエアロ加工なんてしないから、当然ポン付けのはずでは?
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いやいやいや。最近取り付けたヴァルドのリアスポイラーを例にすると、マフラーを取り付ける人は、マフラー開口部を切らないといけません。
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あ。こういうのも「エアロ加工」に含まれるんだ。
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単に切るだけだろうと思っている人が少なくありませんが、ABS樹脂エアロを切ると溶けてバリができる。必ず表面処理が必要になります。
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そうでした。ここで前回の話(※)とつながってくるんですね。
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でも、そんな事情を知らないで、塗装済みエアロとデイライトをセットで買ってしまう人もいます。
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デイライト?
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ヴァルドのオプション扱いのデイライトを取り付けるためには、フロントスポイラーのリップ部を切る必要があったりします。
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切るだけではキレイに穴が開かないので、パテを付けたりサフェーサーを入れたりの処理をしないといけない。
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ということは、塗装済みエアロだとすると……
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切った時点で、修正と再塗装が必要になるわけですよ。つまりまた塗装するってことです。
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また塗装し直すなら、塗装済みバンパーを安く買った意味がなくなる!
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そうですよね。だからといって切りっぱなしでは、クオリティが低くてお客さんは納得しないと思います。だからウチでは断っています。
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まあ、ほんだ塗装がその状態でよし、とはしないしね。
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これが仮に、デイライトが表側からはめこまれる方式で、表側から大きいモノがかぶさることで切り口が隠れる、というのであればまだいいのですが……
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ふむ。
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しかし、ヴァルドのデイライトは裏側からはめこんで、レンズ部だけが表側に出るという方式なのです。
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つまり切り口が見えてしまう。
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そう。切りっぱなしでは、クオリティが一気に檄下がりすることになります。
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塗装済みエアロとデイライトをセットで買ってしまった人からすると、本多研究員がキレイに上手いことくりぬいてくれると思ったんだろうけどなァ。
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それは、FRP製のエアロならまだしも、ABS樹脂エアロでは無理ですよ、ということなんです。
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FRP製なら事情が違うの……?
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FRPの場合はまだ、後から切っても上手くいく可能性もあります。なぜかというと、FRPは削ると粉になるから(↓)
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この点では切り口がきれいに切れるのはFRPのほうです。塗装済みエアロの穴開けは難しいけど、キレイにできる可能性もある。
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ナルホド。
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もちろんFRP製であっても、塗装済みエアロを後から加工するのはリスキーです。あくまでも「ABS樹脂に比べたらマシ」という話です。
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どっちにしても、加工する前提があるなら塗装済みエアロは避けたほうがいいですね。
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そうです。マフラーやデイライトを付けるために穴を開けたいなら、未塗装品を買うのが正解です。
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「デイライト用の穴は、元から開いている」と思い込んでいる人もいるでしょうから、この点は要注意ですね~。
ABS樹脂エアロに穴開け加工をし、表面処理で整えた。
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ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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