古い車のメンテナンス
古い車や中古車で起こりやすい、アース不良という問題
古い車や中古車の「アース不良」に着目。ドレスアップ中古車専門店・シャルマン代表で、中古自動車査定士の資格も持つDIYラボアドバイザー・岡田研究員の視点での、アース不良の話を聞いた。
アース不良は、純正機器にも起こりうる問題
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「付けた電装品がアース不良で動かない」のは、定番的なトラブルです。そのため、DIYラボでもアース不良に言及した記事は多いのですが……
●レポーター:イルミちゃん
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アース不良は、古い車だと、なお注意が必要な問題ですね。これは、電装品の後付けに限らず、ですが。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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後付けに限らない?
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車が古くなると、純正配線の端子類も腐食してきたりするし、ネジのゆるみなども出てきます。
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腐食や錆によって、純正の集合アースポイントが接触不良になって、全体的に不安定になることもありますよ。
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あー。
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例えば古い中古車だと、テールランプが片側だけ点灯しない、といった問題が起きたりするケースもあります。球切れでもないのに。
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……純正機器が、アース不良を起こしてしまう。
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そうですね。古い車だと、腐食の問題がありますからね。海に近い場所に停めていた車なら、錆もひどくなっているでしょうし。
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そうなったら、どうすればいいんでしょう?
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掃除すればいいだけのことです。アースポイントにつながっている端子やネジを掃除して、錆を落とします。
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バッテリーターミナルも粉を拭いたら掃除して取りますが、それと同じノリのメンテナンスですね。
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ただ、純正の集合アースポイントも車のいたるところにありますから、「アース不良がどこで起こっているか」は、機器によっていろいろです。
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かたっぱしからアースポイントを掃除する手もありますが、効率よくマトを絞るなら、下の記事が役立ちますよ。
アース不良│関連記事
✔ 純正アースケーブル自体の劣化、という問題もある。この点については、「アーシング(車)の第一歩は純正アースケーブルの強化」参照。
✔ バッテリー周りが激しく腐食しているほどなら、掃除ついでに劣化したアースケーブルを交換する手もある。詳しくは「純正アース(ボディアース)の強化方法」参照。
✔ アース不良が起こっている場所を絞り込むには、テスターを使った導通チェックが役に立つ。 詳しくは「電気用語の導通とは? テスターでのチェック(導通確認)方法」参照。
アース不良の原因は、もっと大きなところにある場合も……
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アース不良の問題は、事故などで修理している車、板金している車などは、特に注意が必要です。
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なにか因果関係があるのでしょうか?
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一度バラしていますから、それによって接触不良が起こりやすくなっている可能性はあります。
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ムム……。
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ネジの締め忘れがあったり、締め方が悪いとか、そういうところにも原因があったりするし。
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その点は、自分でいじる人にも注意が必要ですね。
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あとは再塗装の問題。例えば車のボンネット・ドア・トランクなんかは、鉄板が2枚重ねてありますが、純正の状態だとすれば、鉄板と鉄板の間は塗ってません。
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フムフム。
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しかし修理している車は、状況によっては、中(内側)も塗装していたりするんですよ。
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裏側にも傷があれば、裏も塗ったりするでしょうね。
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でもそういう修復によって、純正状態ではしっかり取れていたアースポイントが、電気的に不安定になってしまう……というケースもたまにあるんです。
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塗装されたネジでアースは取れないのと、同じ理屈か~。
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そうですね。
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……そもそもアース不良の問題以前に、そういう車を買いたくない気がするんですけど。
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「事故車と知らずに買ってしまう」のは、避けたいですよね。だから僕ら中古車屋も、車を査定するときは、事故車を見分けるために、ネジを外した痕がないかどうかなどをチェックするんですよ。
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なお、シャルマンの岡田研究員は、査定士の資格も持っているプロです。ここからは余談ですが、興味深い話です。
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フムフム。
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ボンネット・バンパー・フェンダーどこも再塗装していなければ、ほぼほぼ前回りが接触しているような事故の可能性は低いのですが……
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なるほど、なるほど。
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例えばもし、フェンダーを再塗装しているようであれば、フェンダーを留めているネジを外した形跡があるかないか、なども細かくチェックしていきます。
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ネジを見てどうするんでしょうか?
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ネジも、一回工具をかけたら色が剥がれますよね。
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そっか。
外したことが分かるんだ。 -
別にネジを外すのが悪いという話ではないですが、「再塗装だけでなく、フェンダーを外した痕もある……ならば、中まで板金している可能性がある」わけで、さらに細かく裏側を見ていきます。
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「純正ネジ」だけでも、いろいろな情報を得られるんですねぇ。
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話がそれましたが、そういう問題を抱えた車では、特有のアース不良が起こるケースもあるんですね。
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しかし、仮にアース不良が原因で大規模修復に気づいても、嫌な話ですね……。
塗膜は電気を通さない
僕らが車をチェックするときは、まず外装で、再塗装している箇所がないかを見るんですね
電装品を取り付けたときにアース不良で動かない!というのは超定番。アース不良をなくすための方法論については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。ボディアースの基礎知識のおさらいにも最適な動画です!
DIY Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンはドレスアップ専門中古車店。車購入後のドレスアップ依頼もプロショップ並にこなすうえに、トラブル対応にめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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