古い車のメンテナンス
クーラント漏れに注意。ラジエーターのアッパータンクに亀裂(ひび割れ)が入る原因
ラジエーターの漏れによるオーバーヒートは、古い車にはあり得るトラブル。漏れの原因としてよくあるのは、ラジエーターのアッパータンクの亀裂(ひび割れ)。そこには明確に理由がある。
クーラント(冷却水)の漏れは古い車だとありがちなトラブル
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夏を前にチェックしておきたい、古い車のメンテナンスの話題です。
●レポーター:イルミちゃん
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古い車に乗っている人は、夏場にオーバーヒートを起こさないようラジエーターの漏れに注意しておきましょう。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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オーバーヒートって、今の時代でも起こるんですね。
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クーラント(冷却水)が漏れているのに気づかなかったら、オーバーヒートまでいきます。15年以上経過している古い車だと、ままある話です。
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……なるほど。
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ちなみに冬でも「暖房が効かなくなってクーラントの漏れに気づく」というパターンは多いですね。
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冷却水が減ると、暖房が効かなくなるの?
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そうです。車の仕組みとして、エンジンの熱を奪った冷却水でヒーターコアに熱を回して、その熱を暖房に利用しているので。
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あ、そっか。
暖房の熱はエンジンの熱なんですね。 -
冬場に「暖房が効かないんです」と言ってくるお客さんは時々いて、その8~9割は、クーラントが入ってない状態になっています。
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漏れているんだ。
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クーラントの漏れは夏でも冬でも起こりますが、夏場はオーバーヒートに直結するので、より恐いのです。エンジンから煙が出ますよ~。
エンジンの後ろ側にあるヒーターホースで、熱を室内側へも送っている。
特にラジエーターのアッパータンクに亀裂が入りやすい。ナゼか?
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さて、そこまでクーラントが減ってしまった原因が〈漏れ〉です。
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どこから漏れたんだろう?
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ラジエータ臭い(クーラントの焼けた匂いがする)ときに、まっさきに見て欲しいポイントが2か所あります。
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ホホウ。
そもそも匂いで分かる自信がないけど。 -
まずはラジエーターのタンク。
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ラジエーターって、冷却水(クーラント)を冷却している部分ですよね?
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それはラジエーターコアね。ナミナミになっている部分。
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冷却ファンが付いていて、ファンで風を当てて、クーラント(冷却水)を冷却している部分がラジエーターコア。
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でっかいファンが、裏側に見えます。
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でも、亀裂(ひび割れ)が入って冷却水の漏れを起こしやすいのはタンクのほうです。
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タンク?
それってリザーバータンク? -
違います。ラジエーターのタンクっていうのは、ラジエーターコアの上下にくっついているんですよ。
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ラジエーターコアの上にあるのがアッパータンクで、下にあるのがロアタンクです。
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ラジエーター本体の上下に、細長いタンクがあるのか!
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仕組みとしては、エンジンの熱を奪ったクーラントがアッパータンクに溜まり、それがラジエーターコアを通過することで冷却されて、ロアタンクに溜まる。
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そういう水の流れか~。
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だから、基本的に下のロアタンクは亀裂が入ったりはしないんですよ。
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なんで?
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だって、ロアタンクに溜まる水は、ラジエーターコアで冷却されたあとの冷えた水ですから。
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あ~、ナルホド!
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それに対して上側のアッパータンクは、エンジンの熱を奪ってきた高温のクーラントが流れ込んでくる部分。だから熱を持つんです。
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いつも高温にさらされるのが、ラジエーターのアッパータンクなんですね。
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そうです。
だからアッパータンクが劣化しやすい。 -
それが、ラジエーターのアッパータンクがひび割れしやすい原因だ。
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昔の車は、真鍮(しんちゅう)とか銅とかアルミなどが使われていたから良かったんですが、今の車は、ほとんどの車種が樹脂でできています。
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ふむふむ。
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もちろん頑丈な樹脂だから、年式が新しいうちは問題ない。でも古くなってくると、劣化しますので。
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カピカピになってくるんだ。
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樹脂が劣化すると、亀裂(クラック)が入ります。すると、そこから少しずつ冷却水が漏れてしまう。
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……で、見るべき注意ポイントは2か所とのことでしたが、もう1か所は?
ラジエーターを腹下側から見たところ。
ラジエーターコアとタンクのカシメ部分も漏れをおこしやすい
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カシメ?
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ようは両者が接合される部分が、カシメてあるんですが……
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ここも、やっぱり樹脂側が弱い。だからカシメ部分に隙間ができて、そこから漏れてきたりするのです。
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原因は同じく、樹脂の劣化だ。
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ハイ。ラジエーター周りの漏れの原因は、この2パターンが圧倒的に多いです。
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古い車にこだわって乗り続けている人は、今スグチェックを!
ラジエーターコアとタンクのカシメも、クーラントが漏れる箇所の定番
クーラントで汚れていたら、まずは掃除してみる
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ちなみに本当にそこからクーラントが漏れているのかを確認する意味では、いったん洗うというのも有効です。
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洗車しても、漏れは直りませんよ?
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そりゃそうだけど、そもそも漏れてなくても、クーラントが付着しているケースはあるんですよ。
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む?
なぜ付着したの? -
吹き返したり、気化したものが溜まったりするからです。あとは、クーラントを入れるときにこぼした、なんていう人もいるでしょうし。
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……なるほどね。
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だから、本当に漏れかどうかを確認する意味で、いったんキレイに洗って、それから様子を見たりします。
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セットで覚えておきましょう~。冷却水は大切ですからね。
DIY Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンはドレスアップ専門中古車店。車購入後のドレスアップ依頼もプロショップ並にこなすうえに、トラブル対応にめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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