走行中に沈み込んでも干渉しないホイールセッティング
この記事は「ホイールとフェンダーが当たらないツラウチの極意」の続きです
付けた足まわりによっても、ホイールマッチングが変わる
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あのぉ〜。前回の話だと、20〜25ミリ位引っ込めるツラウチがJ-LINE流ということでしたね。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。フェンダーの折り返しが15ミリ程度あったとして。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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でも、20〜25ミリってけっこう幅がありますよね。ツラウチにしても、5ミリの差って大きいじゃないですか。
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20〜25ミリと幅を持たせて言ったのは、あえて。「付けている足まわりによって変わるから」なんですよ。
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足まわりで変わる!? それってA社の車高調よりB社の車高調のほうがツラが出せるとか、そういう話……?
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簡単に言えば、そうですね。
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……なんだか今日も、車高の深〜い話が聞けそうです。
停車時のツライチ具合で決めると、走行中に当たる
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当たらないホイールセッティングとは何かと言うと、要するに「走行中に当たらない」ってことですよね。
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まあ、当たるのは走行中ですもんね。
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そうなんです。停車している状態でツラを見ていてもダメなんです。
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とは言え、普通は停車状態でツラ具合をうんぬんする人が多いと思いますが……、
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実際に停車時に見て、「もっと出せませんか?」「出せますよね?」って言う人は多い。
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で、J-LINEのツラは「甘い」って言われるそうですね。
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でも、停車時の状態を見てツラを決めてしまうと、走行中に車体が沈み込んだ時に、降りてきたフェンダーとホイールのリムが接触するんですよー。
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……そんなに違うものですか?
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例えば停車状態で、タイヤにカブっている位の車高だったとするじゃないですか。
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フムフム。
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でも走行中にフルバンプすれば、そこから数センチは下がるということなので……、
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リムツラどころか、完全なリムカブりに突入ですね。
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そう。だから、そこまで下がるのを想定しないとダメなんです。
確かに停車時で見ると、もっと出せそうにも見える
わざとフルバンプさせた状態を調べる
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問題は、走行中にフルバンプしたらどこまで下がるのか? ということです。
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確かに。そこで何センチ沈み込むかで、出せるツラは変わりますね。
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でしょ。
だから最初に言った通り……、 -
車高調によって、マッチングは変わりますねっ!
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そうです。車高調が違えば、どこまで沈み込んでくるかも違うので。
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ホイールが、少しカブった位のところでバンプタッチ。ここで下げ止まる車高調なら、それ以上下がってくる心配はいらないわけですが……、
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その場合は、そこそこをツラを出せそうですね。
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ところが、ホイールのリムどころかディスクまでカブってくるところまでストロークするなら、もっとウチに入れなくちゃいけない。
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……でも、その車高調がどこまで沈み込むかなんて、走行中にバウンドさせてみないと分かりませんよね? どうやって測るの?
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それを調べるために、わざとバンプタッチさせるんですよー。
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わざとバンプタッチ?
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J-LINEでは、バネを抜いて、ノーサス状態にしてみます。するとフルバンプさせたときに、どこまでカブるかを調べられる。
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バネを抜いた状態で、アクスルにウマをかけます。そしてゆっくり、フロアジャッキから降ろしていくんです。
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ほー。
そうすると? -
アクスルが車体側に近づいていって、どこかの時点でバンプタッチして止まります。
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物理的に下げ止まる限界?
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そうです。それ以上は下がることはないので、その状態でもホイールが当たらないようにマッチングを考えれば、走行中に沈み込んでも当たりませんよね。
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J-LINEはこんなことまでやっていたのかッ!
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それと、トーションビーム式は走行中は横方向の振れも大きい。なのでフルバンプの状態で、なおかつマージンが最低3ミリ以上……できれば5ミリ位は欲しいところです。
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そっか。走行中はタテ方向だけでなく、ヨコ方向にも動くんですね。
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こうして煮詰めていくと、停車時のツラを見て、もっと余裕で出せそうに見えるのは当たり前なんです。沈み込めばギリギリになるのです。
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J-LINEのツラは甘い……なんて、超誤解ですね。
バンプタッチ地点(最大の沈み込み量)は、車高調によって異なる
通常の接地状態
仮想のフルバンプ状態
この状況で当たらないなら、走行中も当たらない!
ツラウチのメリットは干渉回避だけじゃない! 次ページで解説します
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