扁平タイヤでリムを傷付けない段差の越え方(20インチ30扁平向け)
段差の越え方を実践取材。20インチ30偏平タイヤを装着したJ-LINEのデモカーで、段差クリアのコツを学ぶ。よく言われる「ナナメに入る」だけではダメ。大事なホイールのリムを守るために、マスターしておきたいテクニックだ。
20インチの30扁平は、段差の越え方にコツがいる
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段差の越え方を、J-LINEに教わります。車高の低い車は、バンパーやエアロを擦らないようにナナメに段差に進入するというのは、広く知られていますが……
●レポーター:イルミちゃん
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扁平率の低いタイヤを履いている車の場合は、「ナナメに入る」だけではダメなんです。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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実はこんな質問(↓)が読者の方から寄せられました。
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というわけで、この記事は、綾里浜っこさんの質問が元になっています。
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35扁平でも注意は必要ですが、30扁平は特に要注意ですね。入り方を間違えると、リムに傷が付きます。実にアッサリと。
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ところでドレスアップカーが履くような30扁平サイズのおさらいですが、具体的には?
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20インチホイールに225/30-20や235/30-20を履くようなケースですね。
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225/30-20とは、こんなに薄いタイヤです(↓)
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これをさらに引っ張り気味に履かせます。ホイールに組み付けると、タイヤはさらに薄くなります。
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う〜ん。
改めて薄いなァー。 -
このタイヤの薄さで、ただ単にナナメに段差に侵入するだけだとどうなるか、見てみましょう。
■ 質問
20インチの30扁平を装着した場合、歩道などの入り方によってはホイールを傷つけやすいとの事ですが、段差のクリヤ術を教えて頂けないでしょうか? ナナメの進入は分かるのですが…。質問╱綾里浜っこ
J-LINEが使っているのは、引っ張りタイヤ向きな ルッチーニ・ヴォーノスポーツ
20インチ9.5Jに225/30-20を組んだところ。他サイズとの比較は「20インチの引っ張りタイヤマッチング」参照。
ナナメに段差に入るのはバンパーを擦らないためで、リムは守れない
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ここから先は、実際の段差の越え方をレクチャーしていきます。
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まず、段差に向かってナナメに進入します。なるべく段差に対して並行に近い角度で進入するのは基本ですね。
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ここまではOKですが、このまま突っ込むのはNGです。
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ナゼでしょうか?
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先にホイールのリムが段差に当たるからですよ。
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このまま行ったらもう、1発でアウトですね。
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一般的によくある、歩道を渡るときの縁石の切れ目の段差なのですが、それでも……。
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20インチの30扁平だと、リムの高さが段差より低くなってきます。しかも引っ張りタイヤだとリムが出ている。
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どうすれば、越えられるんだろう?
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段差の直前では、むしろハンドルを全開切りするんです。
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そしてタイヤから段差に当てるのです。
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まず左前のタイヤを段差に載せたら、再びタイヤを真っ直ぐに戻します。
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あれ?
なぜまた戻すの!? -
車体は段差に対して、並行に近づけた状態で上げるのが基本です。エアロパーツが付いていたらなおさらですし、腹下も擦ったりつっかえやすくなります。
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そっか〜。
タイヤを載せる瞬間だけが例外なんですね。 -
そしてそのままナナメに進んでいくと、そのうちリアホイール(左後ろ)も段差に近づいてきます。
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リアホイールが段差直前に来たら、再びハンドルを全開切りするんです。
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そしてリアも(リムではなく)、タイヤを段差に当てていきます。
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前後とも無事に、のりました〜。
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この段階ではもう片輪が上っているから、エアロパーツ等をぶつける心配はない。縁石の切れ目の幅が足りているなら、そのまま右タイヤも載せていけます。
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ただ、縁石の切れ目(段差)にある程度の長さがないと、この上げ方はできません。
リアも段差にさしかかる
これで完全に段差をクリア
ハンドルを切る、戻す、切るのタイミングが重要
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注意点としては、最初に縁石の切れ目の幅をよく見ておくことが大切です。
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フムフム。
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リアホイールを段差にのせる場面ですが、特にアルファードのような大型ミニバンだと、ドアミラー越しにリアホイールが遠くて見えにくい。
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2度目にハンドルを全開切りにするタイミングが早いと、縁石の切れ目がはじまる直前のナナメになっている縁石(少し高さがある)に、リアホイールのリムを当ててしまいます。
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単にナナメに入ればいい、という問題ではありません。ハンドルを切る→戻す→切るのタイミングが重要なんです。
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なるほどねぇ。
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それと、そもそも「ハンドルが全開切りできるから、こういう段差の上げ方ができる」という点。
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そういえば、もしハンドルが全開切りできない(当たってしまう等)となると、厳しいですよね。
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そうなんです。あとは、ゆっくり入るのも大切。ゴーンっと入っていったら、リムをやってしまいます。
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そっと上げるのは、基本中の基本です。
同じ20インチでも35扁平なら段差越えはだいぶラクになるが…
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同じ20インチの扁平タイヤでも、35扁平だったら? どう変わってくるのでしょうか?
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だいぶ違いますね。油断は良くないんですが、かなり気を遣わずに乗れます。
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ホホウ。
やはり30扁平と35扁平では、けっこう違うんだ。 -
20インチの30扁平だけが、特に気をつけないといけません。
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これは車高を少し高くしても、ラクになるという話ではないですね。
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車高が高くても低くても、今回の注意点は同じです。薄いタイヤの場合はこうやって入らないと、エアロは擦らない車高だとしても、ホイールを傷付けてしまいます。
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今回の問題を見ていると、「やっぱり35扁平にしようかな〜」と思う人が増えそうな気が。
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まあ、実際、アルファードクラスの大型ミニバンでは35扁平のほうが主流ですけど、車高は下げにくくなります。
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それと、そもそも30扁平を使わないと現実的に20インチを履けない車種もあります。
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そういう人はやはり、「リムを当てない段差の越え方」をマスターする必要があるってことですね〜。
225/30-20と225/35-20の比較
同じルッチーニの225同士の比較でも、22ミリの外径差が生じる。詳しくは「20インチタイヤの30扁平と35扁平を比較」参照。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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