インナーカバー(ライナー)にタイヤが当たって穴が開く前に、できること
タイヤとインナーカバー(ライナー)が接触してしまうのは、車高が低い車にありがちなトラブル。当たって擦っているうちに、干渉しているインナーカバーに穴が開いてしまう。そうなる前に、できる対策がある。
インナーカバー(ライナー)にタイヤが干渉するうちに穴が開く
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車高を落としている車で、タイヤがインナーカバー(ライナー)に当たるというのは定番の悩みですね。
●レポーター:イルミちゃん
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そして擦っているうちに穴が開きます。それも定番ですね。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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……何か、手立てはあるのでしょうか?
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穴が開いてからでは、遅いんですよね〜。
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補修というのは無理?
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インナーカバーは薄いプラスチック製の部品なので、補修はききません。穴が開いたら交換するしかないです。
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交換はできるんですね。
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それは純正部品を取り寄せればいいだけですから、もちろんできます。……ただし、車種によってはけっこうな出費になりますよ。
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何万円もかかるとか?
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だいたい1枚が数千円のパーツですが、左右とも交換すれば、1万円を超えたりしますよね。
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ローダウン車にとっては消耗品……それにしては、高いなァ。
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なお軽自動車あたりでは、3000円台とかですね。※金額は車種によります。
インナーカバー(ライナー)に穴が開くのを防ぐ方法
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というわけで、思わぬ出費につながる前に、打てる対策を考えていきます
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穴が開く前にやることとして、タイヤが当たる箇所を特定し、処理できる場所なら処理したほうがいいですね。
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処理とは?
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ヒートガンなどであぶって柔らかくした状態で、押して凹ませるんです。
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カタチを変える!?
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さっき言った通りプラスチックなので、熱であぶれば凹ませることはすぐできます。
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軽く接触する(こする)程度なら、逃げ切れるかも知れませんね〜。
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当たりが減るだけでも、効果がありますよ。
ブオォ
インナーカバー(ライナー)を取っ払うのはやめたほうがいい
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しかし、それなりに多めに擦っている状況(車高)だとすると……少しくらい凹ませても、干渉から逃げ切れるとは限りませんよね?
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まあ、それはそうですね。車高によっては「タイヤのカタチに沿って大きな穴が開く」こともあります。こういう車では、交換してもいずれまた穴は開きます。
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だったら、いっそ取っ払ってしまうほうがいいのでは?
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インナーカバー取っ払いは、やめたほうがいいですね。泥だらけになってしまいますよ。
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でも、どうせ穴が開くんでしょう?
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ちょっとした穴ぐらいなら、放置していたとしても、奥までドロドロになることはありませんが、取ってしまったら全面的に泥はねで汚れてしまいます。
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そっかー。
穴が開いていても、ないよりはマシだと。 -
小さい穴が開いた程度で交換までは現実的ではないと思うので、とりあえずそのままにしておいて……
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フムフム。
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穴の範囲が大きくなってしまったら、そのときは交換したほうがいいとは思います。
こういう車高では回避不能な問題!?
インナーカバー(ライナー)の取り付け位置変更とは?
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あとは、インナーカバーの取り付け位置を変更することもあります。
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あ! 凹ますだけより、そのほうがマージンが稼げそう!?
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いや、こういう技は、おもにタイヤハウスの天井まで切り上げするような車の話なんですよ。
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タイヤハウスの天井を切り上げたのに、インナーカバーの位置が純正のままでは意味がない。そこで切り上げた分だけ、ライナーも上方に持って行きます。これは当然、当たりにくくなります。
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切り上げまではしていない車だと、インナーカバーだけ上にズラすような余地はない?
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それはね〜、もともとスキマがないのがほとんどですよね〜。
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もともと壁に沿って付いているんだから、当然か。
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完全に取っ払ってしまうなら、1センチ位スペースを稼げるかも知れませんが、取ってしまうのは、さっき言った通りオススメできません。
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錆びなどの原因にもなるのでしょうか?
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タイヤハウス内なので、鉄板に表面処理はされています。だからサビサビになるとかいう話ではないんですが、それにしたって泥だらけになるし飛び石もあるし。
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ようするにできる範囲の対策をしておいて、あとは穴が大きくなったら交換を考えるしかない?
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現実的に、そういうことになりますね。
インナー接触・干渉の根本的な見直しは、タイヤサイズ変更
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そもそもタイヤがインナーカバーに接触・干渉している場合の、根本的な解決策は……
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車高を上げる?
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それができる人は、それでいいのですが、車高は今のままで……というならタイヤサイズの見直しです。
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タイヤ外径を小さくするということですね。
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例えば、今履いているタイヤが19インチの235/35-19だったら、それを215/35-19に交換することで、当たりにくくなる。
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同じ35扁平でも、トレッド幅が細くなるほど外径は小さくなる、という話は以前にしましたよね。
※「19インチのタイヤサイズ選び」参照。
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上写真(↑)の比較でいうと、2段階細くすると14ミリも外径が小さくなる、という話でした。
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いつも言ってることですが、車高の低い車にとって何より重要なのはタイヤ選定です。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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