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ホンダ車用パッシングスタートキットの取り付け方法
パッシングスタートキットの取り付け方法・ホンダ車編。マニアックな配線(信号)もあるし、取り出す配線数は多く感じるが、キット開発者に聞いた手順でやれば効率よく付けられる。
パッシングスタートキット・ホンダ用を取り付けるための配線の知識
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「ホンダ車用のパッシングスタートキットが登場」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、パッシングスタートキット・ホンダ車用の取り付け方法を解説していきます。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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ちなみに、トヨタ車での取り付け方法は解説済みです。
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ホンダ車の場合でも、必要な配線(信号)の種類は同じで、以下のようになっています。
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「常時電源」「アース」「IG電源」以外は、DIYではあまり聞き慣れない信号線が出てきますが……
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どの信号線がどこから取れるか、という配線情報さえあれば、難しいわけではありません。順番にいきましょう。
✔ トヨタ車用は「パッシングスタートキットの取り付け方法①╱必要な配線の種類」参照。
取り出す配線(信号) |
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常時電源 |
アース |
スタートスイッチ線 |
フットブレーキ線 |
パッシング線 |
IG電源 |
Pポジション信号線 |
※詳細はコムエンタープライズのパッシングスタートキット ホンダ用参照。
ホンダ車の取り付け方法は車種によって難易度が変わる
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ちなみに、ホンダ車の場合は、車種によって難易度がバラバラです。
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そうなんだ。では、一番カンタンに取り付けできるホンダ車は?
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一番カンタンなグループは、オデッセイ(RC1・2系)・ステップワゴン(RP1~4系)・S660あたり。
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フムフム。
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次いで難易度が低いのが、N-BOX・N-ONE・N-WGN・N-VANといったNシリーズの軽自動車のグループです。
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もっと難易度が高い車種もあると?
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一番工程が多くなるのが、フィット系のグループ(※)です。ヴェゼルなども、この中に含まれます。
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今回はあえてフィットをモデルに、一番工程の多いグループでの取り付け方法を解説していきます。
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他のホンダ車なら、今回よりはカンタンに取り付けできるよ、ってことですね。
※工程が多めのホンダ車グループ
フィット(GK3~6系)、フィットハイブリッド(GP5・6系)、ヴェゼル(RU1・2系)、ヴェゼルハイブリッド(RU3・4系)、シャトル(GK8・9系)、シャトルハイブリッド(GP7・8系)、グレイス(GM6・9系)、グレイスハイブリッド(GM4・5系)
ヒューズボックス周辺で常時電源とIG電源を取る
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まずは運転席周りにあるヒューズボックス周辺から、常時電源とIG電源を取ります。
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電源はヒューズから取るんだ。
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いいえ。ヒューズではなくてヒューズボックス周りの配線から取れるので、ここではその方法を案内します。
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ホホウ。
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まず運転席ドアを開けた状態で、ウェザーストリップ(防水ゴム)を外します。
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次に、ダッシュボード右端のこのパネル(↓)を、内張りはがしなどの工具を使って外します。
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そして、運転席側アンダーパネル全体を、手前方向に引っ張って外します。
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ここまでバラすと、ヒューズボックスまわりの配線にもアクセスできる状況になります。
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その中で、上のほうにあるこのコネクター(↓)から、IG電源が取れます。
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それとは別のコネクター(※写真下の左側のコネクター)からは常時電源が取れます。
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すぐ近くにヒューズがあるけど、あえて配線から取り出しするっていうのが斬新ですね。
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配線情報があれば、こういった電源取り出しも可能になります。
※グレイスとシャトルは、中にあるボルトも外す。
何番ピンのどの色の線なのかは、キット購入者向けの「車種別配線情報」で確認できる。つまり取り付け時に検電テスターで調べる必要はない。
ハンドルコラム内でパッシング線を取り出す
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次はパッシング線の取り方。
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パッシング線ってナニ? と思う人も多そうですが……
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これは、パッシング動作をしたときに信号が流れる配線(※)のことです。
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そんな線をどこで捕まえるのかと言うと……
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ハンドルコラムカバーを開けた内部です。まずはハンドルコラムカバー下のネジ(またはクリップ)を外します。
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内張りはがしなどを使って、コラムカバーの上半分を外します。
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次に、ハンドルを切った状態で見えるネジ(↓)を外しましょう。
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同様に、反対側にもネジがあります。反対方向にもハンドルを切ってみましょう。
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左右のネジを取ったら、コラムカバーの下半分を外します。
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コラムカバー内には配線がたくさん通っていますが……
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ライトスイッチ裏につながっている、このコネクター(↓)に配線するんです。
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こちらのコネクターを通過しているのは、パッシング線だけでありません。アースも同じコネクター内の配線から取れます。
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ちなみにパッシング線は単に分岐で取り出すのではなく、いったん切断して、双方をパッシングスタートキットの配線とつなぎます。
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ここまでの作業で、常時電源・IG電源・アース・パッシング線が取れました。
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次はメーター裏での配線作業です。
※ プラス線ではなく、パッシング時にアースに落ちて0Vになるマイナスコントロール線。
配線の位置・色などは車種により異なるので、キット購入者向けの「車種別配線情報」で確認しよう。
メーター裏のスマートECUで、残りの信号を取り出す
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メーター裏ではなんの信号を取るのでしょうか?
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ホンダ車(フィット系グループ)のメーター裏には、スマートECUというコンピューターユニットがあります。
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フムフム。
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そこにつながるコネクターの中から、スタートスイッチ線(複数あり)・フットブレーキ線・Pポジション信号線などがまとめて取れるのです。
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ホホウ。
残りの配線作業が、ぜんぶメーター裏で片付く! -
そういうことですね。まずはメータパネルを内張りはがしなどで取り外します。
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そして、下写真の3箇所にあるネジを外します。
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ネジを外したら、メーターを引き出します(↓)
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途中でメーター裏のコネクター(↓)を抜いてから、メーターを完全に取り外します。
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メーター裏にはスマートECUがあります。まず最初に左右ネジ(↓)を外すと、スマートECUを手前に引き出せるようになります。
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スマートECU本体には、A、B、Cとコネクターが並んでおりますが……
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中央のBコネクターから「スタートスイッチ線のプラス・マイナス」と「フットブレーキ線」が取れ、左のCコネクターで「Pポジション信号線」が取れます。
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この時点で、冒頭に挙げた信号線と電源がすべて取れたことになります。
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やり方はひとつではありませんが、ホンダ・フィット系グループの車種にパッシングスタートキットを付けるなら、今回の手順が効率的だと思います。
※ただし、グレイスは除く。グレイスの場合は、グローブボックス裏にスマートECUがあるので、そこで取る。
写真はフィット・ヴェゼルの場合。
配線の色などは車種により異なる。キット購入者向けの「車種別配線情報」で確認できる。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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