ヒューズの疑問
ヒューズをロックするツメのある車種は、どうすれば電源取り出しできる?
ヒューズから電源を取り出したい。しかしヒューズをロックするツメがあるヒューズボックスで、ツメがジャマでヒューズ電源が付けられない…と困っている読者からの質問。電装のプロに対応策を聞いた。
ツメがジャマでヒューズ電源が付けられないヒューズボックス
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読者の方から頂いた、ヒューズからの電源取り出しに関する質問です。
●レポーター:イルミちゃん
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なお「ヒューズにロック用のツメが付いている」というのを、国産車ではあまり見かけないので、画像を送ってもらいました~。
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■ベンツのヒューズボックス〈photo by スプリンターヤマサキ〉
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問題のツメとは、こういうところ。
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ちなみにスプリンターヤマサキ調べによると、国産車でもデミオ(の一部?)はヒューズボックスにツメがあり、同様に電源取り出しで苦労している人がいるようです。
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欧州車では見かけますね。国産車ではあまり見かけませんが、そういう例もあるんですね。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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このツメがあると何が問題かと言う点をフォローしておくと、例えばヒューズ電源などを使って電源取り出ししようにも、コードが干渉してしまいます。
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なお、ツメの位置はいろいろなパターンがあるようです。電源側とか角とか……。
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おそらく電源取り出ししたいヒューズは「電源側にツメがあって、ヒューズ電源が付けられない」状況だと思いますが……
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そのようですね。
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対策品はちょっと探してみた限りでは見つからなかったので、私なりに思いつく対応策をいくつか述べてみます。
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それでは対応策を聞いてみます。その①は?
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例えば、取り出したいヒューズの電源側にツメがかかっているとしましょう。
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フムフム。
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この場合「電源側に取り出しコードが来る向き」だとヒューズ電源が付けられないのは分かりますが、逆向きにすれば付けられる可能性はないでしょうか?
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ヒューズ電源の向きを逆にするってことね。
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「電源側にツメがあってヒューズ電源が使えない」今回のケースでは、逆向きにしてみる手もあると思います。
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逆向きでも干渉して差し込めないケースだったら…?
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ツメを削ってしまう方法もありますね。これは、そういう加工に抵抗がなければ……という話ですけども。
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ツメを削って、ヒューズが取れたりしないのかな。
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普通には取れることはまずないと思います。ツメがあるからといって、特にヒューズの差し込みがゆるいな……と感じたことは、少なくとも私が見た中ではなかったですね。
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なるほど。そのへんはまあ、いちおう実車でも確認してからやるとして……
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とはいえ、車両側を加工してしまうことに抵抗のある人も多いので、積極的にオススメする方法ではありませんが。
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スプリンターヤマサキさんの性格までは分かりませんが……そういうのはイヤだ、という場合は?
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そうなってくると、次に考えるのはヒューズ側を加工することでしょうか。
■ 質問
ヒューズをロックするツメのある車種での電源取り出し
ヒューズボックスに、ヒューズをロックするツメがある場合の電源取り出し方法について、対応できる市販品や、自作する場合はこの様にしたらよい、というようなアドバイスがあれば、頂けないでしょうか?
常時電源とACC電源を取り出したく、ヒューズボックスの該当箇所は平型ヒューズです。(素直にバッ直で取れという話ですかね……)
車は、メルセデス・ベンツのW907スプリンター(316)です。
質問者╱スプリンターヤマサキさん
予備解説
ヒューズから電源取り出しする場合に「電源側」がいいのか、それとも純正ヒューズを通過したあとの「電装品側」から取ったほうがいいのか、という点についてはそもそも論争があって、双方にメリット・デメリットがある。
少なくとも、電源側からでないと電源が取れない、ということはない。
ヒューズを加工して電源を取り出す方法もあるが上級者向き?
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難易度は上がりますけど、市販のヒューズ電源を使うのはあきらめて、自分でヒューズを加工しておこなう電源取り出し方法もあります。
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ヒューズを加工?
どうやるの? -
カンタンに言えば「ヒューズの端子に、電源取り出し用コードをハンダ付けして、その先に別途ヒューズも付ける」ということですね。
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ヒューズ電源コネクター的なものを自作するんだ。
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この場合、ツメに干渉しないように取り出しコードをハンダ付けするわけです。
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確かにDIYユーザーの中には、ヒューズ電源コネクターを自作する強者もいますね。
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ただし、ヒューズを加工して電源取り出しする方法は、DIYでやるとすると難易度は高めです。
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なにが難しいのでしょう?
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平型ヒューズなら、まだサイズが大きいからいいんですが、ミニ平型や低背になると、まわりの樹脂部分にハンダごてが接触して溶けてしまったりします。
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あー。ヒューズが小さいとタイヘンそう…。
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ただ、質問者の方が電源を取り出したいヒューズは平型なので、大きいほうではあります。
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それにしても熱を加え過ぎると、ヒューズが溶けて切れてしまいます。
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ハンダごての熱が伝わって切れてしまったりするわけか。
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そうですね。当てすぎるとそういうことになります。
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熱のかけ具合に注意ですね。かといってちゃんと付かないのはもっとダメだけど。
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なので、純正ヒューズではなく、別に市販ヒューズを買ってそれで試されるほうがいいでしょうね。
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なるほど。
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それから、取り出し線の先にはヒューズを付けるのは必須です。
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市販のヒューズ電源と同じような構造にするんだ。
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さらに、純正の電装品の影響が出ないようにするために、ヒューズボックスの空きスロットに付けて電源取り出しする方法もあります。
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ちょ、ちょっと待った! 空きスロットから電源取り出しするのはNGって言ってたじゃないですか!
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基本的にはそうなんですけど、この場合はわざとヒューズを飛ばしてしまってから付けるんですよ。
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ヒューズを飛ばす…?
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ヒューズの向こう側には、電気が流れないようにするためです。
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その先の純正回路がどうなっているか分からないから、うかつに電気を通してはいけないって話でしたもんね。
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そうです。だからヒューズ本体は飛ばした状態で、電源側の端子に配線コードを付けて電源を取り出し、その線の先に別途ヒューズを付けます。
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それならいいの?
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いい方法とは言えませんが、もともと入っている純正ヒューズを触らずにやるとしたら……の苦肉の策みたいな感じの提案ですね。
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確かに車両に元々付いていたヒューズは触らずに済む。
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そういうことですね。自作の場合はリスクもあるから、純正電装品のヒューズを避ける手もありかなと思いまして。
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てゆーか、それならどうせヒューズを飛ばすんだから、ハンダ付けするときに熱を加えすぎて飛んでも、いいってことになりますね?
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……まあ、そうですね。樹脂は溶かさないように。
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空きスロットの話は横においておくにしても……市販ヒューズ電源が干渉するなら、干渉しないものを自作する手もあるってことですね。
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ただこの方法はハンダごても必要だし、器用さも必要でしょうから、万人向けのやり方とは言えません。
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ふむ。今回はイレギュラーケースでの対応策ですので、回答もイレギュラーな内容になっております。
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それ以外だと……あとはもう、配線から電源取り出しする方法に切り替えるほうがいいかもしれませんね。
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ヒューズはあきらめる。
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例えば質問者の方が送ってくださった画像を見ても、ヒューズボックス横にたくさん配線が通っていますよね。
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例えばこのあたりからテスターで常時電源とACC電源を調べてみてはどうでしょう。
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先に示した方策が全滅した場合は、配線から電源を取り出しましょう、ということになりそうです。
平型ヒューズ
エーモンのヒューズ電源を例にしても、電源取り出しコードには必ずヒューズが付いている。ここは重要。
ヒューズから電源を取り出すのは定番ではありますが、定番だからといってデメリットがないわけではありません。はじめてヒューズから電源取り出ししようとしているなら、下の動画(YouTube)の内容もチェックしておくことを強くオススメします(DIYラボ編集部)
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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