板金塗装をもっと身近に

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クリアマーカーのオレンジ塗装は奥が深い

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クリアマーカーをオレンジ塗装したい、という一件の依頼から始まった〈実験〉レポート。そもそもオレンジ色のマーカーなら、社外品がいろいろある。なぜわざわざクリアのマーカーを買い、板金屋に頼んでまでオレンジ塗装をしたいのか。わかる人にはわかる系統の話。

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  最近ユーザーの方から、なかなかに難しい塗装依頼を受けたので、実験をすることにしました。

  ●アドバイザー：ほんだ塗装 本多研究員

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  ほう…？

  ●レポーター：イルミちゃん

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  トラックに取り付けるマーカーなんですけどね。もともとはクリアレンズで、中にオレンジのバルブが入っている。

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  このクリアマーカーを塗装するんだ。


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  これがスモーク塗装だったら定番的な話ですけど……

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  何色がリクエストなんでしょう？

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  オレンジに塗装したいということなんです。いうのもコレ以外の他のランプ類は、昔の純正のオレンジっぽい色らしくて。

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  なるほど。
  オレンジに統一したいと。

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  で、このお客さんは最初、社外品のオレンジマーカーを購入したんですよ。

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  え？ それなら塗装する必要はないはずでは？？？

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  ところが、届いた社外オレンジマーカーの色は、本人が希望していたオレンジとは違って、赤寄りのオレンジだったのです。

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  赤寄りのオレンジ……ではダメなんだ？

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  この人の理想は昔の純正マーカーっぽい黄色寄りの、黄土色っぽいオレンジレンズなんです。

色のイメージの違い


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  あ～。マニアックだけど、言いたいことは分かりますね。オレンジといってもいろいろだ。

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  社外品で購入した「赤寄りのオレンジ」のマーカーでは、他のランプ（純正色）とぜんぜん色が合わないらしくて。

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  なるほど、なるほど。

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  社外オレンジマーカーでは、昔の純正っぽい色がなかったから「こだわるなら、クリアマーカーを買って塗装してもらうしかない」と考えたようです。

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  それでほんだ塗装に依頼がきたんだ。

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  ただ、このように色合いまで指定してのクリアオレンジ塗装は、僕もやったことがありません。なかなか難しそうな。

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  ……え？
  大丈夫なの？

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  レンズのスモーク塗装やキャンディレッド塗装なら、DIYラボでも紹介しているように日常的にやっています。

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  そもそもですが「あえて純正風オレンジに塗装したい」というリクエストは珍しいんだ。

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  そうですね。久しぶりにクリアレンズのオレンジ塗装と聞いて、ひとつ思い出したのが……

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  ふむ。
  何でしょう？

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  10年以上前、社外ランプ類で「何でもかんでもクリアレンズ」が流行ったときに、あえてオレンジにしたくて、市販のこういうスプレーで塗った記憶があります。



10年以上前に買ったという、クリアレンズのオレンジ塗装用スプレー。

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  おお、こんなのもあるんだ。だったらこれを使えば……

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  ただ、これは赤寄りの濃いオレンジになってしまうんですね。

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  そっか。
  世の中そんなに甘くはない。

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  今回のリクエストのような、微妙な色合いを実現しようとしたら、普段から僕らが使っている塗料を調色して色を作るしかありません。

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  そういえば以前にも、調色データ非公開のレクサス純正風オレンジとか再現してましたよね。

レクサス純正キャリパーのオレンジに合わせて調色している例。



「塗装の色合わせ（調色）方法。プロのコツ」参照。

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  調色しての色合わせなら、いつもやっている仕事だから大丈夫ですね。

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  しかし、それをクリアマーカーレンズに吹くとなると話は別ですよ。

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  どういうこと？

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  だって、単に希望の純正風オレンジになればいいという話ではないからね。

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  え？ 純正風の黄土色っぽいオレンジを調色して、塗ればいいんじゃないの？

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  いやいや。これはマーカーなんだから、光を透過しないといけない。

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  あ、それもそうだね。

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  光が透過できるように、塗料は薄めに塗ります。その上で色も合わせないといけないわけです。

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  ……なんか難しそうな気がしてきた。

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  分かってもらえたようで。

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  でも引き受けたんですよね？

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  希望の色合いのオレンジになるかどうかは保証できませんでしたが「それでもいいからやってほしい！ここまでが限界！とプロに言われたら、そこで納得するから……」と説得されたので、受けることにしました。

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  その熱意には、応えるしかありませんね。職人を動かすのがウマイ人だ。

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  そこで、下敷きを買ってきて実験することにしました。

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  下敷き？

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  だって、いきなり本番のマーカーを塗ってしまってから剥がすのはダメなので。

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  そういうことか。

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  クリアの樹脂に塗ったときのオレンジの色合いをチェックするなら、透明の下敷きみたいなものがいいかなと。

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  透明の下敷きが、試し吹きの実験素材だ。

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  下敷きに吹いて色見本を作って、お客さんに写真を送って見てもらおうと考えました。

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  やったことがない塗装の依頼は、むしろ本多研究員の職人魂に火をつけたようです。純正風の黄土色マーカーレンズ塗装、上手くいくのでしょうか？