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クリアマーカーレンズのオレンジ塗装で、古い車の純正風を再現するには…
クリアマーカーをオレンジ塗装して、あえて古い車の純正オレンジ風にする〈実験〉レポートの続き。車のボディカラーと違って決まった色レシピがないため、まずは色を作るところから。塗装のプロはどうやって理想の色を調色するのか。
クリアマーカーのオレンジ塗装に使えそうな色を探す作業から
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●レポーター:イルミちゃん
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前回解説したような事情で、あえて古い車の純正オレンジレンズ風に、クリアレンズを塗装します。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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目指す理想のオレンジは、黄色寄りのオレンジというか、黄土色に近いイメージですね。
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まずは候補になりそうな色を3つ選んでみました。なお、ほんだ塗装が使っているのは関西ペイントの塗料です。
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左から「パーシモンエロー」「レバノンエロー」「ライプオレンジ」。原液でまんまオレンジの名称が付いた塗料もあるんですね~。
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そうですね。でも今回の理想の純正風オレンジに近い色で絞るとすると「パーシモンエロー」と「レバノンエロー」の2つかなと。
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ほほう。
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口のところに付着している色を見ると、だいたいイメージの違いが分かってもらえると思います。
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あ、ホントだ。「ライプオレンジ」は赤に寄り過ぎている感じがする。
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これがもし、最初から「ライプオレンジ」だけを見ていたら、これをベースに詰めていこうと考えるかもしれないけれど……
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ふむ。
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しかし隣に黄色系の塗料を並べると、見方が変わります。
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オレンジという名前が付いた塗料より、むしろ黄色系のほうがイメージに近い。
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このように、まず複数の候補を比較しながら「どっちの色の方向性が、目的のオレンジに近づけそうか?」を判断します。
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なるほどぉ。それで黄色系の塗料も、候補として選んでいるんですね。
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はい。黄色系の2つは、クリア塗料の中にちょっと混ぜた場合に、純正レンズっぽいオレンジカラーになるのではないか? と予想します。
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この段階では、あくまでも本多研究員の予想、です。
色のイメージの違い
純正オレンジマーカーに近い色を再現
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次に、色を混ぜるクリアを用意します。3色のクリアオレンジを作るので、3カップですね。
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あらかじめ色の名前を書いてあります。
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そして、それぞれの塗料をクリアに混ぜます。
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クリアとオレンジの割合はどうなっているんでしょう?
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クリアを100とすると、各オレンジは5%の混ぜ具合にしています。
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クリアに対して色をちょっとだけ、みたいな配合ですね。
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これをクリアレンズの代わりに用意した、実験用の透明下敷きに吹いてみました。
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それぞれ元の色のままでクリアレンズに吹いたら、こんな感じの色になりそうってことね。
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塗った下敷きを1枚ずつ見ていると、それぞれ調色で詰めていけそうにも見えますが……
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ふむ。これはあくまでもベースだからね。
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しかし並べると「こっちは赤い」「こっちは黄色い」というように、全然違っているのがよく分かります。
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この違いをみながら、どの色をベースに調色していけばよいかの方向性が考えます。
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何色か試し吹きをしたのは、そのためね。
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僕としては一番使えそうな気がしたのは、今回は「レバノンエロー」ですね。
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確かに、現時点で一番近い色かも。
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「パーシモンエロー」は黄色が濃すぎて、マーカーレンズに塗るには透明感がないし。
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言われてみれば「レバノンエロー」のほうが、透明感ありますね。
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そういう意味でも「レバノンエロー」をベースにしたほうが良さそうです。
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フムフム。
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……ただ、とはいえ「レバノンエロー」もこのままではさすがに黄色っぽ過ぎる。
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ふむ。
どうしましょう? -
この状況だけ見ると、レバノンエローには、もうちょっと赤みがほしいところです。
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そうかも。
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いっぽう、ライプオレンジのほうを見ると赤が強すぎて、逆にちょっと黄色がほしい、そんな感じに見えませんか?
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そうですね。
そんな気がする。 -
だったら、この2つを混ぜたら、いいセンに来るんじゃ無いかと思ったんです。
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なるほど。
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そこでこの2色をミックスさせたらどうなるか? の実験をしてみることにしました。足してできたオレンジがコレです。
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あ! このミックスカラーはかなりイメージに近い。
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ここで参考までに、市販の〈オレンジマーカー塗装用の缶スプレー〉とも比較してみると……
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こちらは前回言っていたように、赤よりのオレンジですね。社外マーカーオレンジ的な感じ。
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さっき調色したミックスオレンジと比較してみると、まさに純正マーカーと社外マーカーのオレンジの違いと似ていますね。
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本当だ! やはりミックスオレンジのほうが、古い車の純正オレンジレンズっぽい。
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つまり、方向性としては今の調色で間違ってはいない、と言えます。
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正解に近づきつつある。
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ただ、近いオレンジ色になってきたのはいいんだけど……ここからが重要なんですよ。
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ほう…?
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ここまでの実験でもうひとつ分かったこととして、比較用に塗った缶スプレーは、クリアレンズを塗るためにメーカーが開発しただけあって、やっぱりスゴイんですよ。
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と言うと…?
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薄いんです。
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一番濃いオレンジに見えますけど?
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いや、そうではなくて、透明度がある中にもしっかり色が付く、というカンジなんですよ。
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ホー。
透過率が高いんだ。 -
そうなんです。それに対して、通常の塗料をクリアに混ぜて吹いた色だと、色がつく=透過率がどんどん下がる、ということ。
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なるほど。
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その点、クリアレンズを塗るための専用塗料はスゴイな、ということが分かります。
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感心しているけど、今回は色にこだわりがあって、調色した塗料を使うしかないんだから……感心している場合ではありませんよ?
ライプオレンジ
レバノンエロー
パーシモンエロー
缶スプレー(※参考)
比較用に吹いた市販のオレンジマーカー塗装用のスプレー。
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