板金塗装をもっと身近に
透明度を保ちつつクリアマーカーをオレンジ塗装する難しさ
古い純正風のオレンジマーカーが欲しいが、市販のマーカーの色味がイメージに合わない…から始まった、クリアマーカーのオレンジ塗装〈実験〉レポート最終回。調色で理想的な純正風オレンジは作れたが「光を透過させるオレンジ塗装」には、さらに技が必要で…
オレンジ塗装の透明感を上げつつ、希望の色合いにするには…
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「クリアマーカーレンズのオレンジ塗装で、古い車の純正風を再現するには…」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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ここまではいいセンで、純正風オレンジに近づいてきたと思います。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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でもここからがミソなんです。
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ほう?
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目的の色合いにはなったけれど、レンズに塗装するには、もっと透明感がほしいのです。でないと光の透過率が低くなるから。
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塗装の透明感を出すのって、どうやるんだろ?
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ここから、実験は次の段階になりまして…
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どっちもオレンジですが、微妙に違いますね。
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これ、ベースはさっき作ったミックスオレンジで、色としては同じオレンジなんですよ。
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でも右のほうが濃く見えますけども…?
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違うのはクリアの量です。もともとのオレンジはクリア「100」に対してオレンジが「5%」だったところを、「2.5%」に減らしてみました。
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左の薄いほうのオレンジは、クリアの割合が多いんだ!
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クリアの割合を多くして、透明度を上げている。
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狙いとしてはそういうことです。
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……でもそうすると、せっかく近づいていた理想的なオレンジ色が薄くなってしまうんじゃないの?
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そうですよね。ちなみにこの時点では、両者ともに5回重ね塗りをしてできた色です。
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「5%」を5回重ねたのと、「2.5%」を5回重ねた色の違いなのね。
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つまり、オレンジの色合いを揃えるために、「2.5%」のほうはもっと重ね塗りの回数を増やさないといけないわけです。
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「2.5%」で「10回重ね塗り」すれば、同じオレンジ具合になる……?
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理屈ではそうなります。実際にそこまで重ねるかどうかは、塗りながら判断するとしても。
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でも「5%」を5回重ね塗りするのと、「2.5%」を10回重ね塗りするのは、結果的に透明度も同じことになるんじゃないの?
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……と、思うじゃないですか。でも実際にやってみると違うんですよ。
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ホー。
その結果は? -
「5%」の5回塗りより、「2.5%」の10回塗りのほうが透明感を保てるんです。
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へぇー、そうなんだ!
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例えば、これとは逆の発想で、もっとオレンジを濃くして重ね塗りの回数を減らすとどうなるか。
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どうなるの?
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クリアの中のオレンジの点々が、目についてしまったりします。
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テンテン…?
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混ざりきっていないような、イメージですね。
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ふむ。それはつまり、クリアの中に混ざるオレンジは少ないほうがいいってことね。
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そうなんです。その代わり色合いが薄くなるから、そこは重ね塗りの回数でカバーしていきます。
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そういうことかぁ。
レバノンエローとライプオレンジを混ぜて作った、ミックスオレンジ(右)
※クリアを100とした場合のオレンジの割合
クリアレンズのオレンジ塗装は成功したが、塗膜が厚くなるのはデメリット…
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これまでの下敷きを使った「実験塗装」をまとめて比較してみると……
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この中でいうと、やはり右から2番目の「2.5%ミックスオレンジ」が、今回目指している純正オレンジマーカー風の色合いに近いんです。
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確かに!
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調色できて透明感を保つやり方もつかめたので、あとは本番での重ね塗りの回数で調整します。
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本番の塗装では、色を見ながら重ね塗りの回数を調節して……最終的に7~8回は重ね塗りしたかなという感じ。
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フムフム。
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そのあとさらに、クリアを3回程度重ね塗りして仕上げました。
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いいところに来たのではないでしょうか…! 塗ったというより、塗る前の純正状態にしか見えない。
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ただしこの塗り方のデメリットを言えば、それは重ね塗りの回数が増えることです。仕上げのクリアも入れると、10回以上重ねていますので。
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クリアオレンジ塗装の仕上げにも、やっぱりクリアはいるんだ?
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クリアは必要ですね。クリア無しだと、どんどん色が褪せてくるから保護の意味で必要です。
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なるほど。では重ね塗りが多くなるのも仕方ない。
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これは塗膜が厚くなるので、ラインテープなどで塗装を切る必要があるタイプのパーツには不向きと言えます。
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部分的にマスキングするのは難しい?
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そうですね。レンズ部分だけの状態にできて、丸ごと塗装できるパーツならいいと思いますが「枠の部分だけはマスキングが必要」といった部品だと、塗装がキレイに切れない可能性が高まります。
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細かい注意点はあるようですが……完成したところを見ると、まさに純正風オレンジマーカー!
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「古い純正風オレンジで塗ってください」って言われたのは今回が初めてだったんですが、上手くいって良かった。
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スモーク塗装やキャンディレッド塗装に加えて、またひとつ塗装のバリエーションが増えましたね。
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市販のオレンジマーカーの色味では満足できないときには、ご相談ください。
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Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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