貼りモノDIY
ラッピングシート(フィルム)水貼りの極意
ラッピングシート(カーボンフィルム)の水貼り方法の続き。カーボンシートと車の屋根の間に吹き付けた水を、ヘラで押し出すとシートが貼れるのだが、作業にはいくつかコツがある。湾曲した場所にラッピングシートを貼ると生じる「ツノ」の消し方もガイド。
ヘラで中性洗剤入りの水を押し出しながらカーボンシートを貼る
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「ルーフラッピング水貼りの極意」の続きです。
●DIYラボ レポーター:イルミちゃん
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とうとう、カーボンシート(ラッピングフィルム)が屋根にのっかりました〜。
●アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
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このあとどうするんでしょうか?
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というわけで、位置決めができる。
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なるほど。
まだ微調整可能なんですね。 -
位置が決まったら、貼っていきます。
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しかし、中性洗剤のせいで自由に動く(すべる)状況で、どうやって固定していくのでしょうか?
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ヘラを使って、外側方向に水を押し出しながら貼っていきます。
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間に水があるからくっつかないけれど、水がなくなればくっつくという理屈ですね。
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おお〜なるほど。
ヘラでこうやって貼っていくのか〜。 -
しかしルーフの場合は面積が大きいので、部分的に貼っているうちに、まだ貼っていないところが乾いてきます。
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あれ、藤本研究員。こっちのほう、シワのままくっつき始めてますけど……
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あかん!
どないしよッ!? -
このように、乾いてきたらカーボンシートをめくって、改めて中性洗剤入りの水を吹き付けます。
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こうして、本貼りまでの時間稼ぎができます。
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おお〜。
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このように、援護射撃してくれる人がいるとありがたいですね〜。
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さすがハセ・プロ営業マンだけあって、スーツ姿に霧吹きボトルがよく似合います。
この段階では、ボディとカーボンシートの間に中性洗剤が入っているので、まだシートを自由に動かせます
特別講師:ハセ・プロ 伊藤さん
シュッシュッ
シュッシュッシュッ
※ 実際の作業は、汚れてもよい服装で行ってください。
カーボンシート(ラッピングフィルム)を貼り出す前に、水も用意しておく
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中央付近から、平らに貼れてきましたよ〜。
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ところでカーボンシートを貼り始める前に、できれば最初から「中性洗剤入りの水」のほかに、「真水(普通の水)」も用意しておくといいですよ。
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真水?
それはなんのため? -
シートを貼り出すと、今度は逆に中性洗剤の成分がジャマをして、くっつきにくい場面が出てきます。
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くっつかないように、中性洗剤をつかっていたわけですからねぇ。
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くっつける時は反対に、中性洗剤の成分を抜く(薄める)といいのです。
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くっつきにくい時は、真水を間に吹くことで、カーボンシートを接着しやすくなります。
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つまり洗剤を流し出すイメージ。
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そうです。
その役割が、真水(単なる水)ですね。
くっつかないところは真水を拭く
ラッピングシート(フィルム)の“ツノ”はどうやれば消えるの?
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ところで屋根に限らず、車のボディは“湾曲”していますから、水とヘラだけで貼るのは限界があります。
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……と言いますと?
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湾曲している面に対して、平面的なカーボンシート(ラッピングフィルム)を貼っているので、余りがシワとなって出てくる。
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こういうスジ状のシワを業界用語で“ツノ”と言いますが、中盤戦、このツノがなかなか消えなくて苦労するかもしれません。
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ムム。
どうすれば消せますか? -
貼る方向にシートを引っ張って、テンションをかければ伸びます。その状態でスキージ(ヘラでならす)すれば、基本的には消えていきます、が……
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フムフム。
引っ張って伸ばしつつ、ヘラでならす。 -
ラッピングフィルムが固いと、引っ張ってもすぐ戻ろうとするので、ドライヤーで温めながらやるのがコツ。
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ただし、ツノの尖ったところを温めてつぶすのではなく、シート全体を温めながらやります。ピンポイントで熱を加えるのはダメ。
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ドライヤーを動かしながら、あくまでも全体的に温める。
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そしてルーフラッピングの場合は、ピラーからフェンダーに向かってナナメに引っ張るイメージですね。3方向に広げるように、引っ張っていきます。
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1方向から引っ張っているだけだと、また新たなツノが出てきてしまう。
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な〜るほど。この場面も、温め係がいてくれたほうが良さそうです。
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ところでドライヤーではなくヒートガンを使うのは、絶対NGとまでは言いませんが、局部的に熱が集中してかかるのでやめたほうがいいです。
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ただ、藤本研究員のドライヤーは、ちょっとパワーが貧弱過ぎるかも。
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ほっとけ!
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それにしても車の屋根って、平らなようで全然平らではないから、意外と難しそう。
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湾曲面はね、ムリに伸ばして貼るとカーボンの目がビヨーンって伸びてしまったりする失敗もありがち。
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あ〜。
経験者は語るってやつですね。 -
あ……いや、そうではなくて……
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ちなみに、湾曲面とか円形状に対してのシートの追従性が良くないと、曲がらないからカーボンの目がビヨーンって伸びてしまったり、裂けたりしやすいんです。
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では、藤本研究員が前に使っていたカーボンシートの品質が悪かったのかも知れませんね。
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……。
中央付近は貼れてきたものの……
ブオォォォ
✔ ハセ・プロ製のカーボシートは柔軟性、追従性の良さもポイントのひとつ。
剥がれにくいラッピングのために
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形になってきましたね〜。
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けど、このフチの部分がなかなか上手くくっつかんな〜。
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洗剤成分が残っていると剥がれの原因になるので、また水を吹いて、ドライヤーで温めて、水を飛ばすといいかも知れません。
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最後に押し出した水分は、不織布みたいなもので拭き取ると、よりいいですね。水分が残っているとくっつきにくいので。
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カーボンの目が変形することなく、とてもキレイに貼れました〜!
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ルーフブラック完成〜!!
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なお、ラッピングをやるときは、作業場の温度が20度〜28度くらいが良いと言われています。
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伊藤さん、その話、今さら過ぎる……。
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なお、今回は10度前後の寒〜い冬に作業しました。皆さんはもっと考えてやりましょう。
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それ、まるで私が何も考えていなかったかのように聞こえるけど……
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はい。
おしまい!
こんなときは水を吹き……
ドライヤーで水を飛ばしながら……
洗剤成分を押し出す
貼れたらカット
DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
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