カッティングとラッピングの違い
カッティングとラッピングは、シールを貼るという点では似ているが、使う素材(フィルムシート)も異なる。どう使い分けていくのがいいのか、初心者向けに両者の違いを解説していく。
カッティングシートとラッピングフィルムの違い
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カッティングとラッピングって、どっちも貼りモノですよね。違いがよく分からないんですけど……、
●レポーター:イルミちゃん
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ラッピングは包む。カッティングは小さくカットしたものを貼る。大きな違いとしてはまずそこですね。
●アドバイザー:トライ研究員
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ルーフやボンネットなどの大きい面積を貼るからか、ラッピングのほうが大技というイメージがありますけど。
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本質的には大小は関係なくて、小さいパーツでもラッピングは使えますけどね。
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このハンドルの色替えは、カッティングシートではできないんですか?
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いや、できますよ。カッティングシートでラッピングすることも、できることはできます。
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やっぱり違いが分かりにくいなァ。
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ドアノブをカッティングシートで包むことはできるんだけど、持ちの問題が出てくるのです。カッティングシートは薄いし、めくれやすい。
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フムフム……カッティングシートのほうが薄いんだ。
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明確に薄いです。だから手で触れる場所で使うのには適さない。
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ラッピングフィルムは厚いんですね。
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ゴム感というか、厚みと弾力感があります。見た目は同じカーボン柄だとしても、触ったら違いが分かります。
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そっか。やはり違うモノなのか。
小技でラッピングを使った例
ラッピングフィルムは収縮率が高い
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どちらも塩ビ素材を使っているという点は同じなんだけど、塩ビの材質とかグレードの違いで収縮率が違うんですね。
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収縮率……つまり伸びる・伸びないの違いですね。
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そうです。ラッピングフィルムは大きな面積に対して施工することを想定しているので、よく伸びる。
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貼るときは、伸ばしながら貼るんですよね。
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対してカッティングシートは伸びない?
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カッティングシートも熱を加えれば少しは伸びますが、それをやると同じように熱を持ったときに元の形に戻ろうとするので、はがれの原因になるのです。
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ようするに伸ばして貼るものじゃないんですね。
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そうですね。それにカッティングは伸ばすと色が薄くなりますから。
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なるほど。伸ばして貼るラッピングフィルムと、そのまま貼る前提のカッティングシートなのか。
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反対に、ラッピングフィルムをプロッターに突っ込んで、ステッカー自作することも実はできるんだけど、それを窓に貼っておくとあとからめっちゃ縮むんですよ。
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そんな実験も経験済みですか。
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ラッピングフィルムは熱で収縮するシート。だからそうなる。対してカッティングのほうは収縮性がない。貼ったら、ほぼそのままの形が維持できます。
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だからロゴステッカー作りは、カッティングシートのほうを使うべきなんですね。
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そうです。それに対してさっきのドアハンドルは曲面なので、伸ばしながら貼るほうがキレイに仕上がる。
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それとドアハンドルは、手で触れるから強度が欲しい。その意味でも厚みのあるラッピングのほうが向き。
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なるほど、そういう使い分けをしているのかー。ラッピングって小物パーツにも使えるんですね。
ラッピングは伸ばしながら貼る
伸ばしながら貼るので曲面を貼りやすい
カッティングシートでボディラッピングできたら安上がり?
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素材費用としてはカッティングシートのほうが圧倒的に安上がり。だからコストを抑えるために、カッティングシートをボディに貼ってラッピングする手がないわけではないけれど……、
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へぇ、そんなこと可能なんだ。
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ただ、大きい面積だと伸びないカッティングシートで施工するのはめちゃくちゃ難しいです。
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でしょうね。出来たらある意味スゴイ技術。
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それとカッティングシートは薄いので、ボディに使うと見た目にはカーボン調などにできても、触ると質感の違いで分かってしまいます。
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カッティングシートによるラッピングだと、バレてしまうんですね。
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作業性の面でも、質感の面でも、ボディに対してはやはりラッピングフィルムを使うほうが無難ですね。
DIY Laboアドバイザー:平崎寅偉
現役DIYユーザーで、カッティングからヘッドライト加工、ガルウイング加工までなんでもこなすオールラウンドDIYヒューマン。DIYと言えどもクオリティが大切!を信条としており、説明の細かさはラボ研究員中でも随一。なおDIYラボ創立メンバーの中では唯一のユーザー出身。
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