ステッカー自作は「手切り」と「プロッター」のどっちがいいの?
ステッカー自作の方法、「手切り」と「プロッター」を比較。手切りのメリットは、プロッター(機械)を買わなくてもできること。一方プロッターのメリットは、ステッカー自作の前半の工程で、圧倒的にラクができる。なお後半の工程(裏側マスキング→不要部分の剥がし→転写→貼り付け)は、どっちでも同じだ。
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ステッカーを自作するときは「カッティングプロッター」を使う方法と、「人間の手切り」で作る方法があります。
●アドバイザー:トライ研究員
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どう違うんですか? なんとなくはわかるけど、よくわかっていないカモ……。
●レポーター:イルミちゃん
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両者の作り方の違いを、簡単に説明しましょう。
手切りでステッカーを自作する手順
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手切りでステッカーを自作する場合は、まずロゴデータを紙に印刷しますよね。
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次にロゴデータのコピーを、ノリでカッティングシートに貼り付ける。
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そして紙の上からロゴのラインに沿って、切れ込みを入れていきます。
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カッティングシートは、「裏側の台紙を切断しない程度の深さ」で切り込むのがポイントですね。
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このあたりの切り方のコツは、「手切りでステッカーを自作する方法 第2回」で詳しく紹介しています。
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カッティングプロッターを使った場合は、ここまでの作業がショートカットできる、ということですね。
ロゴデータを印刷する
カッティングシートに重ねる
直線ラインはスケールを当てて切る
曲線はカッティングを回転させつつ、フリーハンドで切る
カッティングプロッターを使うと、ステッカー自作前半の工程が楽になる
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まず「カッティングプロッターでできること」をおさらいします。
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カッティングプロッターは、ロゴデータを専用ソフトに読み込んで、「そのまま印刷するような感覚で」カッティングシートをカット(切れ込みを入れる)します。
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ここまでの作業が機械任せ……というのが、手切りとプロッターの違いです。
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あれ? でもまだ、ステッカーが完成したわけではないですよね?
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もちろん。ここからは、手切りもプロッターも共通の作業に入っていきます。
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そういうことか〜。プロッターでできるコトがよくわかったぞ。
専用ソフトを使う
自動でカッティングシートを切る
もう切れているので、すぐ剥がし作業に入れる
ステッカー自作 工程の後半はどっちにしても同じ
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全ロゴラインの切れ込みが入ったところまでが、ステッカー自作工程の前半。「今ココ!」(↓)の場面です。
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続いて工程の後半です。カッティングシートの裏側全体に、マスキングテープなどを貼っておきます。
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マスキングテープを裏面に貼る目的は?
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特に手切りは、ところどころ裏側のシートの台紙まで切断してしまっている部分があるので、文字がバラバラになるのを防ぎます。
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そして表側。ロゴ文字だけを残して、不要な部分を剥がします。
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次に転写用のリタックシートを貼りますが、値がはるのでマスキングテープで代用することもできます。
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そして貼る場所に対して、位置決めをします。
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ちなみにここでは写真撮影時にナンバープレートに貼る、化粧プレート用のステッカーを作っていますよ。
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位置が決まったら、リタックシートorマスキングシートにいったんロゴを移して…
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目標の位置に、貼り付けます。
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そしてマスキングテープを剥がせば…
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ステッカーが貼れました!
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ここで、ステッカー自作の工程をザッと振り返ってみると……、
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「手切り」と「プロッター」、どちらにせよ「ポン!」とステッカーが完成するわけではないんだ。
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プロッターは、あくまでも前半のカッティングを切る作業を省略できるマシン、ということですね。
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なるほど。でもプロッターのほうが機械だから、上手に切れるんですよね?
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う〜ん、そこは人間と機械、両者ともにメリット・デメリットがある。「プロッターを使ったほうが絶対的にイイ」ということではないです。
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ほほう。
人間の手切りのほうが、いいこともあると? -
もちろんありますよ。
ロゴだけが残った
リタック代わりにマスキングテープを貼る
(※)作例(↑)DIYLaboのロゴは、車のシルエット部分が2色使い。色分け部分を作るやり方は、「ステッカー自作連載|第4回|手切りでステッカーを自作する方法」参照。
プロッターにも苦手なラインはある!?
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プロッターを使うメリットは、直線や曲線など、きれいにロゴデザイン通りに切ってくれるところです。
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手切りは、ウマイ・ヘタが出そうですよね。
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とはいえ、プロッターにも苦手なところはありますけど。
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え、機械のクセに苦手とかあるんだ。カワイイとこある。
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機械なのでラインの切り出しはキレイ。でも例えば縦と横のラインがクロスすべきところが、完全にクロスしていなくて、つながったままだったりとか。
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DIYLaboのロゴステッカーを作ったときにも、そういうクロス箇所は多数ありましたね。そういえば。
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それと切り始めるスタート地点が、ビミョウにズレることがある。それによって、やはりズレは起こったりします。
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もしかして、けっこうアバウト?
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ズレといっても、1ミリもズレるわけではなく、それ以下のコンマ単位の話なんですが。
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ステッカーのデザインには、影響ないレベル?
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そうですね。つながるべきラインがつながっていなくて、切り離せなかったりとか。そういうレベルの話ですね。
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それでいうと、人間の手切りだってズレますよね?
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とはいえ、実際に目で見て切り始める手切りは、スタート地点は確実に押さえられる。これは手切りのメリットと言えます。
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なるほど、なるほど。
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プロッターの精度は、言ってしまえばこれはお金次第な面もあって、どこまで高精度なカッティングプロッターを買えるかにもよりますけどね。
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当然ながら、高いモノほど精度がいいんでしょうね。
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でもDIYユースで、そんなに高いの買う人いませんよね。
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ステッカーを作って、こそっとサイドビジネスをたくらむ人ならともかく……
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……まあ、普通はそこまで高くないカッティングプロッターを買うと思います。でもそのレベルには、精度があまり高くないものもあります。
手切りで完璧な直線は難しい。スケール必須
クセを知れば、プロッターはもっと便利な道具になる
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例えば「Y」の字の、谷になる箇所なども、プロッターは苦手です。
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Yの谷って……どのへんが難しいんですかね?
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先に切ったラインのすぐそばを切るときは、周囲の接着している面積が減っているので、切っているうちに周囲が引っ張られて剥がれたりします。
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それは、手切りでも同じコトでは?
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手切りなら接着面の面積が大きいほうから刃を走らせて、ストレスを与えずに切っていく、とかできます。
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ほほう。どっちから刃を入れるか、1本ずつ考えて切っていると?
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そういうことです。でもそれがわかっていれば、プロッターでも「意図した順に切るように、データを分けて作る」とか、そういう応用技も可能ですけどね。
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なるほどね〜。
機械も人間の使いこなし次第か。 -
プロッターを買えば、全て機械マカセでOK、ではない。でも一番面倒な作業を、自動でやってくれる助っ人と考えれば、かなり便利なのは確かです。
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結論として、一般DIYユーザーはプロッターを買ったほうがいいのか、買わないほうがいいのかは…。
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製作の頻度によるでしょうね。
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1年1〜2回しか、ステッカー自作しないのなら?
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買わないほうがいいと思いますね。確実に割高だと思う。
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プロッターがオススメなのは、どんなケース?
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大量に作る人とか、あとは文字だけでなく絵柄を入れたステッカーを作りたいなら、プロッターは強力です。手切りは、面倒過ぎてあり得ない(^_^;)
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あ♡それいいなぁ。
絵柄ステッカー。 -
絵柄のステッカーは、お店に頼む場合も費用が高め。30センチ×15センチ位でも2000〜3000円位かかったり、デザインが複雑だと5000〜6000円の例もありうる。
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そういうステッカーを、友達のぶんまで大量に作るとなると…
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プロッターを買っても、すぐにモトは取れるでしょうね(^^ゞ
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というわけで、「モトが取れるかどうか」を各自で考えてみましょう〜。
DIY Laboアドバイザー:平崎寅偉
現役DIYユーザーで、カッティングからヘッドライト加工、ガルウイング加工までなんでもこなすオールラウンドDIYヒューマン。DIYと言えどもクオリティが大切!を信条としており、説明の細かさはラボ研究員中でも随一。なおDIYラボ創立メンバーの中では唯一のユーザー出身。
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