ノイズのQ&A
バックカメラにノイズがのる場合に、原因を絞り込む方法
バックカメラのノイズの悩み。ノイズがのる原因を特定するのは難しいのだが、原因を切り分けて絞り込むことは可能。ここでは具体的な切り分け方法を解説するので、できることからやってみよう。
ルームミラー型モニターに映したバックカメラ映像にノイズがのる!
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読者の方から頂いた、バックカメラ映像のノイズの悩みに答えていきたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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DIYラボのノイズ担当と言えば! ビートソニックのワタナベ研究員です。
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ノイズって本当に嫌ですよね。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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さあ、原因はなに?
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「コレです」と言えたらいいんですが、いつも言っている通り、ノイズの原因は特定するのが本当に難しいです。
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まあ、そうですよね。
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質問者の方が言っているように、原因を切り分けながら、絞り込むしかありません。
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ふむ。ペクちゃんもそのへんは理解されています。
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で、具体的に切り分ける方法ですが、これから解説することは、順番に試すという意味ではありません。
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そうなの?
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この場合は、すでに車両へのインストールがなされているため、順番うんぬんより、実際に作業しやすい順序で行ってください。
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そのほうが、攻め方として効率がいいんだ。
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そうですね。あとは環境によって試行できることと、できないことがあると思いますので、できることからやっていきます。
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ノイズ原因の特定は地道な作業だから、そういうのも挫折しないためのコツと言えそうです。
■ 質問
バックカメラを取り付けたのですが、映像にノイズがのります。
車はスバル・サンバーV-KS4(平成3年式)で、モニターはルームミラー型モニターです。
バックカメラはバックランプから電源を分岐して取り、他の配線と同じ右後方から出し、本来ならば車体下を這わせると思うのですが、車体下をのぞいたらとても困難に見えたので、荷台の上を這わせて、運転席ドア上から引き込み、サンバイザー裏でモニターと接続しています。
ルームミラー型モニターは、ヒューズボックス(ACCラジオ)から電源を取り、アースはハンドル下で取っています。
製品自体は安価なモノではありますが、製品レビューでは特にノイズが乗るような記述は無かったので、原因は私の接続環境ではないかと思っています。原因の切り分け方法等ありましたら、教えてください。
質問╱ペクちゃん
ノイズ原因が「電源配線系」かどうかを調べる方法
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電源配線系に、ノイズの原因があることは多いです。そこで、電源・アースの取り位置を変えてみる。
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実は、ペクちゃんも補足で、「アースが疑わしいのでしょうか?」と言っておられますが……
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そうですね。おっしゃる通り、アースの位置や電源の取り位置(取り方)は、ノイズに大きく影響します。この作業のみで、ノイズが激減する可能性もあります。
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なるほど。
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それと電源配線系でもうひとつ試してほしいのが、「電源を同じところから取る」こと。
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なんのことですか?
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今回の質問内容によると、ミラーモニターとバックカメラ、それぞれの電源をとっている位置は車両の前と後ろで分かれるため、電位差が大きいかも知れません。
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そんなのも、ノイズの原因になりうるのか。
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そうなんです。そこで、ミラーモニターとバックカメラの電源を同じ場所から取る、ということを試したいのです。
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フムフム。
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暫定的に、バックカメラの電源も同じところからACC電源(※)を取って、試してみましょう。
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でも、もしそれでノイズが消えても、バックカメラの電源は、ACC電源のままというわけにはいきませんよ?
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もちろんそうです。しかし、別のACC電源から取ることでノイズが消えるのであれば、それを電源として使いつつ、リレーを使ってリバース信号に連動させる手がありますので。
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あ~、そういうコトね! リレーを使うなら、電源の場所は自由に変えられますね。
✔ バックランプから電源を取るのが定石だが、中には最終的にバッ直で電源を取るまでノイズが消えなかったケースもあるという。
※ バックカメラの電源は、実際にはリバース信号に連動させる必要があるのでバックランプから取るのが定番だが、ここではノイズ原因特定のために、3者の電源を揃えてみる。
ノイズ原因が「映像配線系」にあるかどうかを調べる方法
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まず、可能ならバックカメラの映像を別のモニターに映してみる手があります。
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そのココロは?
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別のモニターにカメラの映像を映し、ノイズがのらないことをチェックするんです。
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もし、別のモニターでもノイズがのったら?
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ノイズの原因がバックカメラ側、もしくはケーブルにあることが分かります。
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ミラーモニター側は、無罪ってことか。
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同じような手法ですが、今使っているルームミラー型モニターに、別の映像を入れてみる手もあります。
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ええっと、別の映像っていうのはつまり?
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何でもいいのです。別のカメラやポータブルDVDプレイヤーなどの映像をミラーモニターに映したとき、ノイズがのらないことをチェックするんです。
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ノイズがのったら……
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今回のノイズはバックカメラ側ではなく、ミラーモニター側に原因があると絞り込めます。
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映像ケーブルの途中でノイズを拾っている可能性があるため、そこをチェックする方法です。
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そういえばバックカメラで使われるRCAの映像ケーブルは、ノイズが混入しやすいっていう話でしたね。
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そうなんです。映像ケーブルの取り回しに、原因があるケースが多いです。
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とはいえ、一番後ろのバックカメラから取り回しているから、どの時点でのってくるのか、一番特定が難しそうな箇所ですが……。
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ですよね。そこで、映像ケーブルを空中配線でモニターまで伸ばしてみるのです。
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空中配線?
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そうです。車両の純正配線と距離を離して、映像ケーブルを空中に浮かせたまま、バックカメラとモニターを接続してみるのです。
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な、なるほど。
大胆なチェック方法だな。 -
このときのノイズの具合をチェックします。
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フムフム。
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空中に配線を浮かせた場合と、見えないところに配線を隠した場合に明らかな「ノイズの差」があれば、配線を通す場所がノイズの原因です。
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ナルホド。
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空中配線でノイズがなくなるか、減るなら、車内の配線の取り回しを変更します。
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原因が配線の取り回しだと分かってしまえば、その後の作業は無駄にはなりませんね。
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そうなんです。ちょっとずつ取り回しを見直すのも大変だし、そもそも配線が原因なのかどうかも分からない状況なので。
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まずは映像ケーブル全体を、まとめてチェックする方法ですね。
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そういうことです。
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これは、できれば別の映像ケーブルを用意してやれば、すぐできるし、作業の無駄を生みませんね。
次は、原因が「映像配線系」にある場合の、原因の切り分け方法です
バックカメラの映像を別のモニターに映してみる
何でもいいので、他のモニターを活用してみる。
ルームミラー型モニターに別の映像を入れてみる
✔ 例えばDVDプレーヤーの映像出力(黄色)を、モニターにつないでみる。
映像ケーブルを、空中配線でモニターまで伸ばしてみる
✔ 通常は(当然ながら)バックカメラの配線は隠して取り回す。純正配線、電源線などと近い場所を通すことになるので、ノイズがのる原因になる。
最初からノイズフィルターを使うのはオススメできない
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ひとまず、ここまでのことを試して頂きたいと思います。その結果によって、その後の処置も変わります。
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あの~?
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なんでしょうか?
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今回ナゼか話題に出てきませんでしたが、ノイズフィルターという手もあるのでは?
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ノイズフィルターを配線の間に入れるのも、ひとつの手法ではありますが、完全にノイズが除去できるとも限らないため、はじめにノイズフィルターを使うことはオススメできません。
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そうなのか〜。
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「ノイズそのものの原因を探る」のが先ですね。
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というわけで、ペクちゃんには、まずはここまでの原因切り分けを(順不同で、できそうなものから)試して頂きたいと思います。
こういうパーツもある
ビートソニックのビデオノイズフィルターVF1。映像ケーブルにノイズがのっている、と分かっている時は有効な対策。
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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