LED自作のQ&A
LEDを4個直列で組みたいけれど、4の倍数にならない列はどうする?
読者の方から頂いた、シーケンシャルウインカー自作の疑問に答えていきたいと思います
■ 質問
「シーケンシャルウインカー自作教室(第5回)」を拝見しまして疑問があります。ウインカー用のLEDは、直列は4つまでが望ましいとのことですが、「きれいな長方形で作成できる例はほぼない」と示した作例(※上写真)では、15列のLEDが並列で並べられていて、向かって左の5列が7つの直列、続いて6列と7列目が6つの直列になってます。この場合はどのようにされたのでしょうか?
質問╱TKさん
4個直列の繰り返しでも、複雑なデザイン(配列)は可能
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現在連載中の「シーケンシャルウインカー自作教室」を読んだ方の、ごもっともな質問です。細かいところまで見て頂いて、ありがとうございます。
●レポーター:イルミちゃん
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あ〜、これはまさに今後の連載で説明しようと思っていたことですね。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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そうなんですけど、せっかくスピード感溢れるツッコミでしたので、先に答えてもらおうと思いまして。
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なるほど。確かに鋭い読者の方ですね。
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まず話を整理します。野本研究員は、「ウインカーを作るときは(5個直列でもいいけれど)4個直列が望ましい」と主張していましたね。間違いありませんか?
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ハイ。そうです。
(……なんで尋問ノリ?) -
で、それに沿って、分かりやすいシーケンシャルウインカーの例として見せてくれたのがこの作例。
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全列が4個直列で組まれているのが、誰の目にも分かりやすいですね。
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しかし、これはあくまでも説明用のデモであって、実際のウインカーはこんなカタチでは作れません。
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というわけで、最後に実例として見せてくれた基板はこうなっていました(↓)
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ここでTKサンは疑問に思ったわけですね。「ぜんぜん4個直列じゃないのでは?」と。
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なるほど。
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野本研究員が言っていることは、あきらかにムジュンしているッ!!
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オモテから見る分には、そう見えますよね。
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あん?
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この基板も、4個直列で組んでおります。
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ええ〜? 本当ですかソレ??? (ウソがバレて、引くに引けなくなっているんじゃなくて?)
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7個直列じゃないのコレ?
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黄色・橙色のLEDは2V前後ですから、5個直列まではいけます。しかしそれを超えた直列は、車の電圧(12V)ではNGです。
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じゃあ、4個直列と3個直列を組み合わせている……という話ならまだ分かるけど。
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そういう組み方もアリですね。でも一番いいのは、全部のLEDの直列数を揃える組み方なので、この基板は全部4個直列です。
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クイズですね、コレは。
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基板をウラから見ると、こうなっています。まず1列目に注目です。
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実際の直列は、この黄色でつないだ通りになっています。
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なんかズルイことやってる!
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ズルではありません。LEDの回路を作る時は、頭を柔らかくして、「どうすれば全部4個直列にできるか」考えるんですよ。
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パズルゲームのような。
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で、1列目は7個しかないから、2列目の最後のLEDを巻き込んで、4個直列を2つ作っているのです。
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しかし、そうなると、2列目は残りが6個しかありませんよ?
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そうですね。
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では、さっきの手で、3列目のLEDを巻き込むとか?
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いいえ。この基板の3列目は、シーケンシャルウインカーの第2ブロックに当たるので、3列目のLEDは巻き込めません。2列でカタを付けねば。
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となると、けっきょく2列目は3個直列×2で処理するしかないような……
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そこで登場するのが、「捨て玉」という発想です。
オモテ面
ウラ面
1列目と2列目のLEDだけで拡大したところ
2列目のLEDまで巻き込んで、4個直列にした
LEDの直列数を揃えたいときに使う「捨て玉」テクニック
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シーケンシャルウインカーの自作に限らず、最初に決めた直列数の通りでは、うまく組めないというケースはどうしても出てきます。
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そうですよね〜。
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シーケンシャルウインカーの場合は特に、ブロック分けして回路を組むので制限が多い。
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今回のがまさにそのパターン。そもそもLEDの総数が4の倍数とは限らないし。
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こういう場合は、オモテ側に並べきれない余りのLEDを、ウラ側で光らせておくんですよ。
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ふおお〜。
こんな技アリか〜。 -
2列目は、3個+捨て玉1個の4直。これを2回連続でやったのです
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なるほどねぇ〜。オモテから見えるLEDが全てではない、ということか。
ウラ側にもLEDを付けて、4個直列にしていた
LEDの直列数を変えない方がいいのはなぜか
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場合によっては、1個だけオモテで光らせて、3個は全部捨て玉、なんていうケースもあり得ます。
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なんかもったいなァ。それならLEDの直列数を減らして、それに合わせて抵抗計算すればいいのでは?
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もちろんそれでもいいですよ。ただ、「直列数を変えないほうが理想」と言っているのには、理由があります。
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そう言えば、その理由を聞いていなかった。
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例えば抵抗値を変えながら、4個直列、3個直列、2個直列と組み合わせていったとしますよね
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そうそう。
それならムダがない。 -
その場合、それぞれの列で抵抗計算しているとはいっても、僅かに条件が違うので「電流の流れやすい列」「電流の流れにくい列」の差が出てきます
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ほほう。
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そのため、厳密に言うと、列によって明るさに差が出る可能性があるのです。
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そういうことか〜!
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特に、抵抗計算したときの前提となっている電圧(※12Vの2割増しの14.4Vで計算するのが定石)を、下回ったときです
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車の電圧は、けっこう不安定だという話がありましたね。
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そうです。電圧が降下したタイミングで、LEDの明るさにバラつきが出る可能性があります。
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だから直列数を変えないで、条件を同じにしておきたいんですね。
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そういうことですね。ただ、今言っていることはビミョウな差ですので、気にしないのであれば、抵抗値を変えながら直列数をミックスさせてもいいんですよ。
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オール4直の「捨て玉」は、こだわる人向けの話ですね。なんか職人っぽい。
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なお直列数をミックスさせながら作る場合は、3個用に用意した抵抗を、4個の列に使ってしまったりしないように、注意が必要です。
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オール4直なら、そもそもそういうミスは起きない!
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ハイ。同じ抵抗で揃えているほうが、買うときも、使うときも、ミスは起きませんよね。
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LEDの直列数を揃えた方がいい理由、納得です。
オール4直なら、全ての列の明るさがキレイに揃う
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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