LEDのVf値と抵抗計算
チップLEDでパーツを自作するにあたって、電流のマージンはどの程度必要か?
チップLEDの電流のマージンはどのくらい取ればいいのか? 例えば20ミリアンペア流せる砲弾型LEDだと「2割程度のマージン」で15ミリアンペアの電流量になるように抵抗計算したりするが、電流をより多く流せる明るいチップLEDの場合は?
砲弾型よりも大きな電流を流せるチップLEDはたくさんあるが…
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「LEDの抵抗計算で安全マージンを取るほど、LEDは暗くなってしまうのでは? 問題」の補足です。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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最大20ミリアンペアの電流が流せる砲弾型LEDの場合、マージンを取って「15ミリアンペア程度の電流量になるように抵抗計算する」というのは分かりましたが……
●レポーター:イルミちゃん
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はい。
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例えば50ミリアンペア流せる明るいチップLEDだとしたら、電流のマージンはどう考えたらいいのでしょうか?
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あー、なるほど。
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2割程度マージンを取るとしたら、40ミリアンペアくらいの電流値で抵抗計算すればいいのかな。
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うーん。50ミリアンペアものLEDだと、別の要素も出てきます。現実、2割のマージンでは厳しいと思います。
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むむ。
別の問題とは…? -
例えばチップLEDを密集させる配置で使うとしたら、2割程度のマージンでは、熱の影響でLEDが切れやすくなるでしょうね。
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チップLEDを使ってなにかパーツを自作するとしたら、1個なわけないし。
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そうですよね。敷き詰めるようにして使うことも多いんじゃないかと。
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だとすると…?
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もとが明るいLEDなのを考えたら、50ミリアンペアの半分の25ミリアンペアとか、そのくらいで計算しておくのがいいでしょう。
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え。5割もマージンを取るの???
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LEDに流せる電流はもっと多いとしても……けっきょく熱の問題を考えると、20ミリアンペアくらいが限度でもあるんですよ。
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熱対策で、そこまで電流を抑えて抵抗計算するのね。
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そうですね。LEDには電流を流せるとしても、電流量に比例して熱はどんどん増えます。
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ふむ…。
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放熱状況が計算に入っていて、例えばヒートシンクのような放熱機構も設けてあって、しっかり放熱できているというのなら別ですが。
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自作LEDパーツで、そこまで考えて設計するのはなかなか難しいでしょうね。
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はい。車のLED加工などでは、大型のヒートシンクなどを付けられるスペースがそもそもなかったりするし。
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ですよねぇ。
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「このLEDには何ミリアンペア流せるから、そこからマージンを取って……」というような、LEDのスペックだけを根拠にした抵抗計算では、難しい面があります。
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そう考えるとLEDのスペックを、スペック通りに受け取るのも問題がありますねぇ。
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そういうことです。
明るい=熱も多いのです。 -
明るいLEDなら、少ない電流でも明るいのかなと期待したくなりますが……
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徐々に進化はしていますよ。しかし発光効率は、そんなに劇的に増えたりしませんので。
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現実的には、明るさを電流値で稼いでいるのね。
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基本的には、明るいLED=電流が流せるLED=熱が多く出る、ということです。
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明るいLEDはけっきょく放熱がシビア。
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「明るいLEDチップをたくさん搭載したLEDバルブが、熱ですぐダメになる」というのはよくある話ですけど、その原因がまさにそれなんです。
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そういえばLED加工者である〈イルミスタ〉の野本研究員は、150ミリアンペアも流せるLEDを使いながら、30ミリアンペアくらいで運用していましたが……
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野本研究員は、お客さんの車が相手なので特に安全策を取っているのでしょうが、そういう手法のほうが安心できるのは間違いないですね。
チップLEDを使ったLEDパーツの自作例。
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