LEDのVf値と抵抗計算
LEDの抵抗計算で安全マージンを取るほど、LEDは暗くなってしまうのでは?問題
LEDに流す電流は、マージンを考えて抵抗計算するもの。しかしマージンの度合いによって、LEDが暗くなるのが心配。そこで20ミリアンペア流せる砲弾型LEDで実験。10ミリアンペア・15ミリアンペア・20ミリアンペアと、流す電流を変えて明るさの差を目視チェック。違いはどのくらい出る?
LEDの抵抗計算を3パターン試して、実際の明るさを比較してみた
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「LEDのVfの表記に幅がある場合は、どの数値を元に抵抗計算すればいいのか?(検証編)」の続き。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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LEDに流す電流にはマージンを取りましょう、というのは平川研究員が毎回言っていることではありますが……
●レポーター:イルミちゃん
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はい。
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でもなぁ。20ミリアンペア流せる砲弾型LEDに対して、15ミリアンペアならまだしも、場合によっては「10ミリアンペアで計算すると安心」とまで言われると……
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不満があるようですね。
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マージンを考えすぎると、いっぽうで「LEDが暗くなるのではないか?」という懸念も出てくるのでは!?
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特に車でLEDを使う人達からは「負担のない範囲でなるべく明るくしたい」という声をよく聞きますね。
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そもそも今回の企画のネタ元・質問者の金乃字さんも、こう言っていました。
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これについてはどう考えますか?
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しかしLEDというのは、電流を減らしても「減らしたなりに暗くなる」わけでもないんですよ。ここはぜひ、知っておいてもらいたいところ。
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ん…?
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同じ砲弾型LEDで、10ミリアンペア・15ミリアンペア・20ミリアンペアと流す電流を変えてみて、どのくらい明るさに差が出るのかも実験してみましょう。
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ほう。電流を変えながらの、明るさ比較実験。
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そうです。まずは今回使うLEDのVf(LEDの電圧)を実測で調べてみたところ2.8Vでした。
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それを元に10・15・20ミリアンペアの電流が流れるように3パターンの抵抗計算をして、3つの抵抗を用意します。
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明るさの差を見るために、抵抗値の違う3種類の抵抗を使うんですね。
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で、実際に光らせてみると……
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見ての通りです。見た目にはほぼ変わらないんですよ。
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ほう!……いや、しかしよく見ると、真上(正面)から見た光は、20ミリアンペアが一番強くは見えますが?
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写真で見るとそういう差があるかもですが、肉眼ではほとんど差が分かりませんでした。
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あー。
そうなんだ。 -
カメラは高性能だから差が分かりますけどね。目で見たときの違いはほぼ分かりません。
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10~15ミリアンペアが、意外なほど健闘しているわけですね。
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次に、この3つのLEDで「照らしたときの明るさ」を比較してみます。
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こうするとさすがに、左側の10ミリアンペアが若干薄い(暗い)のが分かります。
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少しは差が出たわけか。
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20ミリアンペアのほうが、光が当たっているところが少し青っぽくぼわっと見えますが、これは光が強い部分ですね。
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じゃあ、やっぱり20ミリアンペアがいいじゃないか!
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皆さんが求めているのが、この比較写真でいうところの20ミリアンペアだというのは分かります。
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ふむ。
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しかし、こうやって3つを並べて、しかも至近距離で白い面に当てている状態で比較して、はじめて明るさの違いがなんとか分かる程度ですよ?
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むう…。
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実際に15ミリアンペアと20ミリアンペアの違いは、肉眼ではほぼ分からないです。10ミリアンペアだとさすがにちょっとは暗くなったかな、と分かるかどうかのレベル。
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こんな至近距離で白い面に当てる……用途ではないしね。
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そうなんです。しかも今回は比較しているから微妙な差に気づきますが、単体でひとつずつ点灯させたらまず分からないでしょうね。
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それはそうだ。1個ずつ見せられるクイズだったら、当てられる気がしない。
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いっぽうで、電流値を抑えるほど熱は少なくてLEDには優しい。
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そう考えると10ミリアンペアは半分しか流していないのに、それほど暗くなっていない…だとするとコスパがよいですね。
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そうなんですよね。反対にこの程度の明るさの違いで、切れやすいリスクを積極的に取る意味は薄いと言えます。
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つまり無理に20ミリアンペア流す必要は……
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まったくない、と言えます。砲弾型LEDはメーカー側も15ミリアンペア位を推奨しているところが多いです。
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そうなんですね。
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実験の結果を見ても、15ミリアンペアくらいを狙うのがいいところだな、と言えます。
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そこからの誤差で、もしも10ミリアンペアに近づく方向に転んだとしてもそれはそれでいいでしょうと?
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20ミリアンペアに近づくよりずっといいと思います。
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確かにね。
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とはいえ「やはり10ミリアンペアだと少し暗く感じる。それはイヤだから、せめてきっちり15ミリアンペア流れるようにしたい」というのであれば、LEDのVfを実測で測ってから抵抗計算しましょう。
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「Vf値の誤差」という要素をなくせれば、だいたい抵抗計算通りの結果になることは、前回の実験で分かりましたからね。
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そういうことですね。「マージンを取りつつギリギリの明るさを求める」なら、実測するのが一番確実です。
”マージンを取りつつ、できるだけ明るくしたいと思うので迷うところです。
※金乃字さんのメールより、一部を抜粋
LEDの点灯確認に使うテスターを使って電流を流しながら、サーキットテスターで電圧を測定。
Vf2.8Vの砲弾型LEDを単独で光らせるので、電源は5Vを使用する想定。
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