メンテナンスのコラム
タイヤの空気圧チェックのやり方。エアゲージの誤差との付き合い方
タイヤの空気圧チェックの正しいやり方。エアゲージを自分で買ってセルフチェックする際には、知っておきたい注意点がある。またDIYで、それなりに精度の高い空気圧の点検を行う方法も解説。
タイヤの空気圧チェックは冷えた状態で行うのが基本
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「タイヤの空気圧点検・補充は〈どこで〉やればいいのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、タイヤの空気圧チェックのやり方と、その注意点についてです。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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そうそう。
空気圧チェックの注意点も教わっておかなくては。 -
まず走行直後は、空気圧が高く出てしまいます。タイヤも熱を持っていて、熱で空気も膨張するので。
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指定空気圧、あるいは自分なりの設定より高めになっていたら……空気を抜いてしまうかも!?
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しかし、そこで空気を抜いてしまうと、冷えたときには空気圧不足になります。
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ダマされた……。
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本当に作業ミスで空気を入れ過ぎた可能性があるなら別ですけど、そうでないなら、基本的には抜かない方がいいですね。
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では、高速道路をガンガン走ってきて、立ち寄ったガソリンスタンドで空気圧を測るのは……ビミョウな面がありますね。
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通常は家の最寄りのガソリンスタンドで、出発直後に点検・補充するほうが望ましい。一番いいのは、タイヤが冷えた状態で空気圧チェックすることです。
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理想を言えば自宅で、走り出す前に自分で測るのがベストか。
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まあ、タイミングとしてはそうですね。
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エアゲージなら安いモノもあるし、空気圧チェックくらいはDIYで……
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ただし、エアゲージを買って自分で空気圧をチェックするなら、それはそれで注意点があります。
✔ 高速道路のSAで空気圧点検したい状況なら、せめてゴハンを食べたあとにする。
冷えていることを確認
エアゲージの誤差は、どこまで気にするべき問題か?
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簡易的なエアゲージだと、それなりに誤差があることも多いです。
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そんな!
それ、困るんですけど? -
エアゲージの精度には差があるものなんです。サーキットを走るような人達だと、かなり精度が重要。「精度の高さ」を重視して、高級なエアゲージを使いますからね。
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そういうのは、いくら位するの?
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精度が高いエアゲージだと、2~3万円するのもありますね。
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ひええ。
佐藤研究員が使っているエアゲージはおいくら? -
確か1万円くらいで買いました。
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それにしても高価だな……でも、街乗り一般車の空気圧チェックなら、多少誤差があっても許容範囲なんでしょう?
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う~ん。それは誤差のレベルと、タイヤ&ホイールセッティングのシビアさによる話ですね。
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引っ張りタイヤだとしたら……
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ホイールをインチアップして、扁平タイヤを履いていたり、引っ張りタイヤになっているなら、エアゲージの誤差は無視できない話になってきます。
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サーキット走行までしないけど、これはこれで空気圧管理がシビアですもんね。
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実際、よくある話で「セルフのガソリンスタンドで、自分でいつも空気圧チェックしてるから大丈夫」という意識高い系のお客さんの車でも、測るとけっこう少なかったりするんです。
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それがエアゲージの誤差ってこと?
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ガソリンスタンドにある備え付けの空気入れも、誤差はあったりしますから。
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まあね。無料で貸し出ししている空気入れに、高い精度を求めるのも無理ありますね。
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しかし一般車は問題なくても、ドレスアップカー&チューニングカーは、誤差問題も気にしたほうがいいですね。
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でもなぁ、エアゲージに多少の誤差があったところで、「ああ、これは誤差があるな」って気づきようがありませんよね?
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そうですね。
分かりませんね。 -
てことは、ソコを考え過ぎてもどうしようもなくない?
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対策はありますよ。愛用エアゲージをひとつ持って、誤差だけを事前に確認しておく方法です。
DIYでもそれなりに精度の高い空気圧チェックを行う方法
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DIYで空気圧チェックする人は、使う頻度からしても、そんなに高価なエアゲージを買うのは現実的ではないですよね。
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うんうん。
低予算のコースがいいです。 -
だから、安いモノを買って、誤差だけを事前に確認しておくのがオススメです。
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どうやって誤算の確認なんてするの?
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カンタンですよ。まず一度、ディーラーでもショップでもいいので、プロにきちんと空気圧の点検・補充をやってもらうんです。
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扁平タイヤや引っ張りタイヤなら、高めの空気圧を入れていると思いますが、なんであれプロにベストな状態を作ってもらいます。
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ふむふむ。
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そして、その直後に「自分のエアゲージで、どのくらいの値が出るのか」測定しておくのです。
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自分のエアゲージの場合は、いくつにすればいい、って覚えておくんだ。
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ただ、それでもエアゲージは、使っていくうちに誤差が出てくる。だからこそプロは機器を校正(※)に出したり、定期的に買い替えたりしているので。
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じゃあ、さっきの方法をやっても、またズレてしまう?
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だから定期的に同じ手法で誤差を測って、「ああ、誤差が大きくなっているな」って、それを計算に入れた上でダマしダマし使う手はあります。
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なるほど。
それなら現実的にできる方法だ。 -
それと、エアゲージは精密機械なんで、落とすとズレたりします。扱いは慎重にしましょう。
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間違っても、エアゲージを工具箱に放り投げたりしてはいけません。
※「校正」とは
定期的に検査に出して、誤差を補正する。トルクレンチなどの測定工具でも同じ。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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