引っ張りタイヤの空気圧が下がると、何が起こるのか?
引っ張りタイヤには高い空気圧が必要。ところで逆に、空気圧が下がってしまうと、何が起こるのか? 特にキャンバー角を付けている車がマズイのだが、引っ張りタイヤとキャンバー角は、ほとんどセットとも言える仕様。このリスクは知っておこう!
ショルダーが地面に付いたらアウト
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前回は、「引っ張りタイヤの空気圧は何キロがいいのか?」について教わりましたが、今回はそのつづき。
●レポーター:イルミちゃん
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引っ張りタイヤの空気圧が下がってくると、何が起こるのか? です。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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……何が起こるんでしょう?
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キャンバー角を付けている車が、特にマズイんですよ。
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つまり、引っ張りタイヤとキャンバー角を両方やっている車ですね。これは実際、セットでやっている人が多いとは思いますが……、
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キャンバー角が付いていると、空気がしっかり入っていても、タイヤは内側しか接地していないような状態です。
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だから、内減りしやすいんですよね。
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ですね。そこでさらに空気圧が下がってくると、トレッド面ではなくて側面のショルダー部分が地面に付いてしまうんです。
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……そうすると?
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ブロックのあるトレッド面と違って、ショルダーはゴムの減り方が尋常でない。この部分で走ってしまうと、タイヤは一瞬でダメになります。
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タイヤがすぐにダメになってしまうんだ。
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それも一瞬。そうなっていることに気づく間もなく、バーストする危険があります。
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……それは恐い。遠征時トラブルの筆頭でしょうね。やはり最初の空気圧をキープするのが必須なんだ。
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とはいえ、最初に3.5キロ入れたとして、それが3キロまで減ったらそうなる、というほどのものではないです。
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0.5キロくらいなら、減っても大丈夫?
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何キロまで下がったらそうなるよ、というのはハッキリとは言えません。でも2キロを切って、1キロ台とかになっていたらそれはマズイ。
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……それって、ずいぶん放置してますねぇ。
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でも、最初にタイヤを組んだあとは放置になっている人、多いですからねー。
8度のキャンバー角のタイヤ接地具合
空気圧低下でタイヤが外れるってどういうこと?
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引っ張りタイヤの空気圧が下がってくると、タイヤが外れるとも言いますよね?
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う〜ん。
でもソレは、よっぽど減っている状態での話ですね。 -
ちょっとでも減ったら、外れるんじゃないかと心配で……、
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タイヤのビードがホイールのミゾに上がりきっている状態なら、基本的にはタイヤは外れないです。外そうとする力を加えないと、外れない。エア漏れしていれば別ですが。
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そういえば……タイヤ交換のときも、空気を抜いただけではタイヤは外れませんね。
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空気が抜けても、ビードがはまっていますからね。ただ、「空気が減っている状態」でなおかつ、外れる方向の力が加われば、そのときは外れる可能性がありますよ。
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外れる方向の力?
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例えば駐車時にハンドルを思いっきり切る場面とか、段差に突っ込んだとか。
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なるほど。単に空気が減っただけではなく、そこでトドメを差すわけですね。
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中に空気がパンパンに入っていれば、ビードも踏ん張れていた。でも空気不足で内圧が下がった状態で、内側方向に入り込んでしまえば……これは外れます。
タイヤを外すには、ビードを落とそうとする力が必要
乗る前はタイヤを「見る」クセを付けよう
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引っ張りタイヤを組む前は、「こんなに細いタイヤを履いて大丈夫?」とか「こんなに引っ張っていいの?」と心配する人は多いんですけど……、
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客観的に見ると、確かに。
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そう言っていたわりに、組んだその後は空気圧を見ない人が多いんです。
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ああ。
なんか、分かる気がしますね。 -
でも本当は、そこを一番心配してほしいんですよ。空気がない状態で走ってしまうことによるトラブルが、一番多いんです。
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なるほど。ではどの位の頻度で、空気圧をチェックしたらいいでしょうか?
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乗る前には、毎回タイヤを見るのが一番です。
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ええ〜!!
毎回、空気圧チェック? -
いや……そこまで言っても誰もやらないと思われるので、とりあえず「見る」。
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見るだけ?
空気圧の低下が分かりますかね〜??? -
確かにこういう扁平タイヤは、一般人が見ても空気の減りは分かりにくい。
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ですよねぇ。
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だけどドレスアップしているような人って、自分の車のことは細かいところまでよく見ているから、ちょっとした差でも気づく人は気づきます。
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ほほう、なるほど。
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あれ、今日はなんかいつもよりリムが地面に近い気がするぞ……みたいなね。
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そうかも。
ミリ単位でこだわっている人なら、気づけそうな気が。 -
ちょっとヘンだな〜と思ったときは、実際に空気圧を測ってみるんです。僕はいつもこのパターンです。
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参考にできそうなレベルの人は、参考になる話です。
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あとはタイヤを組んだ直後は、数日後とか1週間後とかのレベルで、実際に空気圧を測ったほうがいいですね。
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組んだ直後は減りやすいとか?
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正常な状態なら減りませんが、何かがおかしいなら、早い段階で気づけます。
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そこでもう減っていたら?
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いったん充填してみてます。その後は馴染んで減らなくなるケースもあれば、また減るケースもある。
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後者の場合は、そのまま乗っていたら危険ですね〜。
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タイヤを組んだ初期段階は、特に注意したほうがいいですね。
リムと地面の距離を見ている
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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