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LEDヘッドライトの放熱が重要な理由
パワーLEDを内蔵したLEDヘッドライトは、かなり熱くなる。そして問題になるのが「熱ダレ」だ。熱ダレすると、ルーメン値(明るさ)が下がってしまう。ここでは実際に測光テストを行って、LEDヘッドライトの放熱が重要な理由を解説。
LEDヘッドライトは、実は熱ダレする!?
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今日のテーマは、LEDヘッドライトの「放熱」について。
●レポーター:イルミちゃん
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LEDは消費電力が低いから熱を持たない、と誤解している人も多いです。でもLEDバルブも発熱しますから、放熱機構は重要です。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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特に、ヘッドライト用は熱を持ちそう。
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そうですね。ヘッドライト用ともなると明るさが必要ですから、強烈に明るいパワーLEDを使います。当然、発熱の問題も大きくなってきます。
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それでLEDヘッドライトには、大きなヒートシンク(放熱器)が付いているんですね。
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……ただですねぇ、市川研究員。
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はい。
なんでしょう? -
いくら何でも、IPFのLEDヘッドライトのヒートシンクは大きすぎませんかね? 前々から言おうと思っていまして。
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あ〜。
それよく言われます。「ケツがデカイ」って。 -
ヒートシンクが小さければ、もっと取り付けがしやすいと思うんですけど?
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ハイ。ヒートシンクが小さいほうが、取り付け性が上がります。「取り付け可能な対応車種も多くなる」から、実はメーカー側としてもメリットは大きいのですよ。
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そっか!
対応車種の幅にまで、差が出るんだ。 -
実際、IPFの場合は冷却ファンも内蔵で、ヒートシンクがかなり大きめです。そのため、装着できない車種が出てくるのもまた事実(※キャラバンは装着不可etc…)。
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そういえば、冷却ファンなしで、コンパクトなLEDヘッドライトだってたくさんありますよね〜。
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そうなんですが、IPFが大型ヒートシンク+冷却ファンで放熱を重視しているのは、「熱ダレによる明るさ低減を抑制するため」なんですよ。
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……熱ダレ?
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そうです。
LEDヘッドライトって、熱ダレするんです。
冷却ファン内蔵の大型ヒートシンクが付く
LEDヘッドライトが熱ダレするとどうなるか?
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LEDヘッドライトは、点灯直後からマックス100%の明るさが出る。この話は、以前にもしたことあるかと思いますが……。
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HIDにはない、LEDのメリットでしたよね。
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ところが、起動直後を100%とすると、時間の経過とともに熱ダレによってルーメン値(明るさ)も下がっていくのです。
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なんと。
熱ダレでルーメンが下がる! -
冷却性能が低いと、30%ぐらい落ち込むケースもありますよ。
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では3000ルーメンのバルブが、点灯しているうちに2000ルーメンになってるかも知れないと……
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極端な例だとそうなります。IPFでは、その減衰率をできるだけ少なくする、という方針をとっているのですよ。
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それでは!
例によって、実験してみましょう! -
この配光試験室には、「配光測定システム」(通称)がありまして、その設備を使うと、箱に書いてあるスペックではない、リアルな性能が丸出しになります。
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このようにセット(↑)。テストに使ったヘッドライト(ハイエース)での、カンデラなどが測れます。
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今回のテストでは、「カンデラが、時間と共に変化する」という点に注目です。
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あー!
ホントだ。下がってるぅ!! -
点灯直後から、5分位経過したところで下がります。その後も、ゆるやかに下がりますが、飽和したあとは、あまり明るさは変わらなくなります。
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10分待ってみましたが、もうあんまり下がりませんね。なんかツマラナイ……。
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……いや、だから、そこがIPFの放熱のこだわりだって言ってるのに。
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放熱性能うんぬんで、本当に熱ダレを低減できているのか? 他のLEDバルブでも実験してみました。
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確かに、点灯時間が長くなればなるほど、暗くなっていく……! LEDバルブが熱ダレするって、本当なんだ。
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この落ち込みを低減させるには、「放熱性能を上げるか」「電流値を減らすか」という選択肢を迫られるのです。
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電流値を下げれば、発熱は減らせますが……
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その方法だと、暗くなってしまいますよね。
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明るさを保ったまま、熱ダレを減らそうとすれば……放熱性を上げるしかない?
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そういうことなんです。
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それが、お尻が大きくなる理由か。
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そうなんです。その辺の考え方は各社いろいろあると思いますが、IPFでは「最初の明るさに近い明るさを、キープし続ける」を重視しています。
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LEDヘッドライトを選ぶ時には、各社の放熱に対するスタンスにも目を向けてみるといいかも知れません。
IPFのLEDバルブをヘッドライトに収め、車検場と同じように25メーター先の明るさを測定!
測光ポイントの明るさが出る!
……5分後
……10分後
起動直後の明るさ(カンデラ)
5分後のカンデラ
10分後のカンデラ
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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