シーケンシャルウインカーのデザイン考。
50プリウス後期を例に〈球屋〉最新のこだわりを見る
シーケンシャルウインカーと流れるウインカー。言い方が違うだけで、同じもの……とも言えるが、微妙な違いがあるとも言える。わかる人にしかわからない話だが、そこがさり気ないドレスアップの面白み。50プリウス後期の加工を例に、球屋の最新のこだわりを見る。
あえて純正風にブロック感を強調したシーケンシャルウインカー
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「50プリウス後期のヘッドライトを加工者目線でレビュー」で取り上げた50プリウス後期ですが、球屋ではさっそくシーケンシャルウインカー加工を実現しています。
●レポーター:イルミちゃん
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50プリウスの純正ウインカーは、パワーLEDが真ん中に1発で、「点」で光っている感がありましたが……
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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もともとウインカースペースに横幅があるので、シーケンシャルウインカーのほうが自然ですね。
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おや!? 今回のシーケンシャルウインカー加工は、いつもとちょっと違うカンジがしますね?
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ハイ。あえて、段階的に流れる「ブロック感」みたいなものを強調したデザインにしています。
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ホホウ。
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というのも、純正のシーケンシャルウインカーって、完全な面発光ではなく、若干ブロック感があるんですよ。
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確かに。
いわゆる面発光とは違いますね。 -
そうなんです。レクサスRXのリアシーケンシャルウインカーが分かりやすい例なんですけど、段階的に光が伸びていくイメージです。
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それを加工でどうやって再現したんでしょう?
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シーケンシャル点灯させるLEDのブロックとブロックの間に、アクリルで仕切り的なものを入れてあるんです。
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仕切り?
光を区切っている? -
そうなんです。1ブロック目の光が、2ブロック目に届かないようにする、ということなんです。
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これがブロック感の正体だ。
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普通のやり方でLED加工すると、3ブロック目が点灯している時点で、4ブロック目まで光が回り込んでいきます。
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レンズに拡散効果があるから当然そうなりますね。
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その回り込みを区切って、クッキリさせました。
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なるほど。
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ドレスアップの世界で昔から人気の、いわゆる〈流れるウインカー〉は、むしろ段階を感じさせないようにできるだけ細かく分ける、という発想でしたが……。
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それとは逆の発想なんだ。
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そうなんです。実際、純正のシーケンシャルウインカーは、「段階を細かくするほうがいい」発想では作られていませんので。
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せいぜい5~6ブロックで、クッキリと段階的に光らせている。
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だから今回の50プリウス後期では、ブロック数も純正を意識して、5ブロックに押さえました。
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例えば10ブロックにして、仕切りのアクリルが無しだとすると、なめらかにはなりますが、「流れている感」は今よりなくなりますよ。
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ホホウ。
それも検証してみたと? -
ハイ。50プリウス後期のメリットは、スペース的に余裕があり、いろいろな手法が使えること。思いついた方法を全部試して、最終的にはこのようになりました。
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なるほどね~。
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現状でシーケンシャルウインカー加工をしたい人の理想は、「純正風」をイメージしていることが多いので、ブロック数も含めて純正の手法に近づけた感じです。
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昔からある〈流れるウインカー〉と、〈純正風シーケンシャルウインカー〉の、微妙なニュアンスの違いか。
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まさに、そういうことですね。
純正の流れないLEDウインカー
シーケンシャルウインカー
1ブロック目点灯
2ブロック目点灯
3ブロック目点灯
パワーLEDを使うのが正解とは限らない!?
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純正のLEDウインカーはパワーLEDを使っていますが、加工に使ったLEDは?
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今回の50プリウス後期は、3チップLEDです。パワーLEDではありません。
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とすると、純正LEDウインカーより暗くなりませんかね?
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光源ひとつの絶対光量なら純正のほうが上でも、純正の光り方は「点」発光です。
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シーケンシャル加工すれば面を拡大できますから、全体としての光量は稼げる。
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視覚的にも、純正より明るくなった感が出せます。
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確かに。
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50プリウス後期は横幅だけでなく縦幅もある。LED数も稼げるから、3チップで十分なのです。
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面積があるのは有利ですね~。
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縦方向にも、チップLEDが3列入るスペースあります。もし1列しか入らない細いウインカーだったら、パワーLEDを使ったほうがいいという話になってきますが。
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4列以上入っているようにも見えますが?
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それはレンズの効果です。純正でも波板状のレンズが入っていますが、奥にも波板アクリルを入れて、クロスさせています。
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ホホウ。
波板アクリルまで入っているんだ。それはなぜ? -
光源が完全に隠せるから、ですね。チップLEDは、見せてカッコいいものではないので。
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いつも森田研究員が言っていることですね。
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50プリウス後期は、横幅があるだけではなく、奥行きもあるので、そういう加工もやりやすい。
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奥行きもあるのか。
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そうなんです。「面積」や「奥行き」は、加工者側目線で言うと非常に大切ですね~。
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なるほど、なるほど。
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最近はLEDを入れるだけで精一杯、という車種のほうが多いですから……。
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スペースに余裕がある、50プリウス後期のシーケンシャルウインカー加工は自由度が高い、と言えそうです。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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