C-HRはグレード選びに注意。LEDヘッドライトとハロゲンの違いは大きい
LEDヘッドライトの時代になって、車を買うときのグレード選びで失敗する例が増えているもよう。流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)やLEDヘッドライトが話題のC-HRを例に、その注意点についてまとめた。
C-HRの流れるウインカーは上位グレードのオプション
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最近は、純正ヘッドライトも流れるウインカーを搭載したり、アクリルメイクを施したりと、凝っていますよね〜。
●レポーター:イルミちゃん
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そうなんですけど、その影響でグレードやオプションの有無によって見た目が全然違う、という例が増えているので注意が必要です。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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と言いますと?
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例えばC-HR。「流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)が搭載されたLEDヘッドライト」が話題ですが、それを標準装備しているグレードはありません。
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流れるウインカー付きのLEDヘッドライトは、純正オプション装備なんですね。
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そうです。しかもこのオプションを選択できるのは、上位グレードの「G」と「G-T」のみです。
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S系や、LEDヘッドライトを選択しないG系のヘッドライトはハロゲン仕様です。で、単にLEDかハロゲンかの違いというよりは、ヘッドライトデザインそのものが全然違うわけですよ。
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ロービームとハイビームがハロゲンになる……だけではないんだ。
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ウインカーも流れないし、ライン状に発光するデイライトも、ハロゲン仕様には装備されていません。
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それではデザインが全然違うモノになりますね。そして、ウインカーも流れない。
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ウインカーは普通のバルブ(電球)。なので、当然流れません。
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流れるウインカーって、LEDならではの技ですからねぇ。
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しかし、そんなコトは普通の人は知らないので、車が納車されてから「あれ、ウインカー流れないよ?」っていう人は、少なからず出てくる可能性がある。
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それで注意喚起ってことか。
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カタログや広告で見ているだけだと、LEDヘッドライトを装備したほうのC-HRのイメージが強いですからね。
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あー、確かに。オプションというより、標準装備と勘違いしそうな勢いというか。
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というわけで、流れるウインカー目当てでC-HRを買う人は、「G」または「G-T」を買ってオプションライトを付けましょう。
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それにしても加工屋さんの球屋が、わざわざ純正の流れるウインカーグレードの解説とはまたヘンな話だ。ディーラーマンじゃあるまいし。
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……いや、この話題、実は「ヘッドライト加工屋としても」無縁ではない。だから、この話をしているんです。
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加工屋さんに、なんの関係があるの?
つまり、流れるウインカーはあくまでもオプション
トヨタ車としては初採用となる、シーケンシャルウインカー。
✔ ひとくちメモ
C-HRのグレードには上位グレードの「G系」と廉価グレードの「S系」があり、それぞれにハイブリッド車と、ガソリンのターボ車(※末尾にTが付く)がある。ライン発光するデイライトもLEDヘッドライトのみ
LEDを連続的に配置して、順番に点灯させるから「流れる」
C-HRのヘッドライト分解方法については、「速報! C-HRのヘッドライトは、従来のやり方では殻割りできない」参照。
車を買ってからヘッドライトの違いに気づく人も多い
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球屋の定番人気メニューのひとつに、「30系アルファードの上位グレード用ヘッドライトを移植する」というものがありまして。
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ほほう。
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30系アルファードに関しては、特に廉価グレードと、上位グレードでヘッドライトが全然違うんですね(※ヴェルファイアのほうはまだ差は少ない)
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具体的には、どのような差が?
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カタログのヘッドライトが光ってる写真は「L字に光っている!」という印象が強いんですが、廉価グレードでは、ヘッドライトはL字に光らないのです(※どちらもLEDヘッドライト)
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ウーム。
なるほど。 -
それを知らずに車を買って、納車されてからその違いを知って、ガックリ……という声をたくさん聞いてきました。
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あ。それで加工屋の球屋に、移植の依頼が来るんだ!
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そうなんです。ディーラーに移植を頼んでも、当然断られますし。
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そりゃそうだ。
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球屋のデモカーの30アルファードは、廉価グレードベースで、上位グレードのヘッドライトを移植していたので、それに関する問い合わせがたくさん来ました。
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でも球屋デモカーみたいなドレスアップをやってほしい、とは違う依頼ですね。
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そうです。大半の人は、あくまでも「上位グレードのヘッドライトをそのまま付けたい」というリクエストです。
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そんなことできるんだ。
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移植ができるがどうかは、車種によります。コンピューター制御の問題がからんで、NGの車種もある。
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で、30アルファードは移植できる例なんだ。
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でも、最近のヘッドライトって単体で買うと非常に高価なものなんです。30アルファードもC-HRも、ヘッドライトを単体で買うと30万円近くします。
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高価なヘッドライトを購入して、さらにコンピューターも必要になるケースだと、1個数万円×左右分いるし……
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うぐ。(;・∀・)
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部品代だけで合計40万円近くになる。そこから、移植のための配線加工を含めた作業工賃となると、ヘタをすると50万円以上とか……そういうメニューになるわけです。(※どこまでハーネスが違うか等によって工賃は変わる)
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な、なるほど。
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しかも、それだけのお金を出して得られるのは「純正の見た目」です。
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まあ、求めているのは純正なんだから……仕方ない。
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そうなんですけど、グレードの違いは、実際はヘッドライトだけではない。内装装備なども含めて、いろいろあるわけです。
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しかし球屋の移植で解決できるのは、ヘッドライトだけ……。
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だったら、「最初から上位グレード買っておいたほうが絶対にトク」ですよね。
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……そりゃそうですが、球屋の人気メニューがなくなる。
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もちろん仕事を依頼されることはありがたいですが、本来は存在しなくていい加工メニュー、ですよね。
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グレード選びで失敗しなければ、必要ない出費だった。
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アルファードの場合は上位グレードと廉価グレードの価格差が大きかったからまだしも、C-HRはそこまでの価格差はないから、「後からLEDヘッドライトを移植する」なんていよいよ損な話でしかない。
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な〜るほど。
それで事前に注意喚起なんですね。 -
そうです。そういうお金は、もっと別なところに使いたいじゃないですか。
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それは……言えてる。
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というわけで、今後車を買うなら、ヘッドライトの違いや光り方の差などもよく調べて、グレードを決めましょう。
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以上、加工屋さんが実体験を元に語る、「グレード選びの注意点」でした。
上位グレードのヘッドライトを移植し、さらにドレスアップ加工した球屋デモカー例。
最近のLEDヘッドライトは高級品!
C-HRのヘッドライトは単体で買うと29万5920円 (2017年1月時点)
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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