上位グレードのヘッドライトを移植することの現実味

今どきの車は、ヘッドライトに力が入っている。LEDかハロゲンかも、かなりの違いがあったが、さらに「シーケンシャル」の登場で、グレードやオプションの差は拡大するばかり。こんな時代のヘッドライト移植はどうなっているのか。最新情報を取材した。

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  最近の新型車は、「グレードまたはオプションによって、ヘッドライトのデザインや機能を分ける」パッケージが目立っています。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  30アルファード後期、60ハリアー後期、C-HRなどなど、トヨタの新型車はみなそのパターンですね。

  ●アドバイザー：球屋 森田研究員

✔ 「LEDヘッドライト」か「ハロゲンヘッドライト」かの単純な違いだけではない。LEDヘッドライトでも、シーケンシャルウインカーやデイライト機能の有無で、ヘッドライトのグレードが分かれていたりする。

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  ここで毎回必ず出てくる話が、ヘッドライトの違いを知らずに、下位グレードを買ってしまった人の「相談」です。

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  よく、球屋に問い合わせがくる話題ですね。

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  実は、新型アルファード（30系後期）でも、すでにそういう問い合わせが来ています。

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  ……上位グレードのヘッドライトを移植したいと？

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  そうです。シーケンシャルウインカーではないヘッドライトのグレードを買ってしまったけれど……



2眼プロジェクター＋流れないウインカーの30後期アルファード。

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  上位グレード（オプション）のシーケンシャルウインカー付きヘッドライトを移植できないか、と。

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  30後期アルファードで、もうそんな話が来るなんて。展開が早いですね〜。

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  やっぱり人気車種ですからね。

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  ……で、そのリクエストに、球屋はなんと答えているのですか？

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  できるでしょうね。でも、お客さんの車で実験するわけにもいかず、「デモカーで検証中なので、しばらくお待ちください」とご案内しています。

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  ほほう。
  「できる」って言ってますね、ソレ。

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  実際、検証用に単体で、30後期アルファードの3眼プロジェクターヘッドライトも購入したんですよ。


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  これ、いくらで買ったんですか？

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  中古（オークション）で、たまたま10万円程度で入手できました。通常だともっと高くて、片側で10万円台後半とか。そもそも一件も出てこないとか、そんな状況です。

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  まだ、新型アルファードは出たばかりですもんね。

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  そうなんです。まだヘッドライトが（中古でも）高いし、入手性が悪いし、そういう意味でもカスタマイズメニューとして提案するには、まだ早いと思っています。

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  それで……他の技が優先になってて、移植の解析は後回しになっているとか？

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  ―(￣ー￣;)→グサッ!!!

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  でも、「できる」って言った。

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  それはできるでしょう。過去の経験則から言っても、オプションとして用意してあるヘッドライトが、加工で付かないとは考えにくいです。

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  今の車のヘッドライトは、コンピューター制御されていますよね。

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  そうですね。

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  そのせいで、ヘッドライト裏から12Vのイルミ電源（スモールランプ電源）も取れなくなっている、なんていう話もありました。



✔ 「ヘッドライト裏から〈スモール+12V線〉が取れない車の対応策」参照。

>>>リンク先で詳しく読む。

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  そんなコンピューター制御のヘッドライトが、移植してうまく動くものでしょうか？

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  確かに昔のヘッドライトと違って、中身は、単純に12Vの電源で光るものではなくなっています。


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  コンピューターを経由したあとの電源ラインは、12Vとは限らず、回路によって24Vであったり、場所によっては60Vまで昇圧しているような回路もあります。

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  ろ、ろくじゅうボルト？

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  そうなんですよ。車種によってはウインカー部分のLEDに対して、60V出力していたりするんです。

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  ほえー。

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  で、基板の回路を解析しながら、「でもココにこうやって12Vを入れたら、ココが光るね」……みたいなことを地道にやっていくわけですよ。

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  フムフム。

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  例えばC-HRの例。ハロゲン仕様のヘッドライトはコンピューターを介在せずに、それぞれのランプに12Vの配線がつながっています。

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  つまり昔ながらのアナログヘッドライトですね。

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  そうなんです。いっぽうLEDヘッドライトのほうは、コンピューターが介在している。各部は、単純な12Vで動いているわけではありません。

C-HRのLEDヘッドライト



コレがコンピューター


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  しかし、そうはいっても、ヘッドライト内の回路をいじって、直接12Vを流せる状態にすれば、12V電源で光るヘッドライトにはできるのです。

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  変換していくってこと？

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  そうですね。カンタンに言えば、かたっぱしから12V仕様に変換すればいい。

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  そんなことできるんだ。

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  リレー回路などを駆使してやる話ですね。ただ、箇所は多いけど、リクツの面からは、別にそんなに難しいことをしているわけではないんですよ。

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  なるほどね。経験的に「移植はできる」と言い切るのは、そういうことか。

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  ヘッドライトの形状が同じで、物理的にその車に付けられるなら、電気的なことはどうとでもなります。少なくとも今までできなかったケースはナイですね。

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  とはいえ、30後期アルファードについては、まだヘッドライト自体の中古相場が高いから、現実味が薄いとは言いましたが……

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  フム。

例えば、C-HRのLEDヘッドライト（シーケンシャルウインカー）は、中古ではだいぶ値がこなれてきています



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  ほほう。

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  ネットオークションで調べると、片側数万円のものもたくさん出ていますよ。

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  ずいぶん安くなってる！

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  ハリアー後期のヘッドライトも安くなりました。片側で5万円出さなくても、買えるものがいっぱいある。

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  発売後1年ぐらい経過すると、だいぶ下がるんですねぇ。

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  その意味で、C-HRのハロゲン仕様へのLEDヘッドライト移植や、60前期ハリアーへの後期ヘッドライト移植などは、そろそろ現実味のあるカスタマイズとして提案できる段階ですね。

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  ハリアー後期も、シーケンシャルウインカーを搭載していますからね〜。



✔ C-HR同様、全グレードがシーケンシャルウインカー搭載なわけではない。「60ハリアー後期に見る、シーケンシャルウインカー最新事情」参照。

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  そしてハリアーも、前期と後期でヘッドライト形状はまったく同じなのです。

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  つまり、森田研究員が言うところの「移植はできる」パターンですね。