エンジンマウント上げ加工でオイルパンを守るべき車とは?
車高が低い車の腹下対策・第2弾は、エンジンマウントの位置を上げる加工。エンジン位置上げの最大の目的は、オイルパンを守るため。ただし全車種必須とまでは言わない。シャコタンにしたときにオイルパンを割りやすい車種やグレードがあるのだ。
腹下対策はマフラーだけでは不十分かも!?
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前回はマフラー位置上げ加工(※)についてお話しましたが、引き続きシャコタンの腹下対策の話題。
※「マフラ一位置を上げる加工とは? どの位の車高で必要か」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、エンジンマウント位置上げ加工を解説します。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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エンジンをどうする、ですって?
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高さを上げるんですよ。マウント部分を加工することで。
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そんなことをしたら、ボンネットが閉まらなくなるのでは!?
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そこまでは上げません。2センチとかそういうレベルの話です。
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ちなみに上の写真は、ワゴンR(MH55S)の製品版の例です。
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この部品を付けることで、エンジン位置が上がる?
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そうです。製品化したのはワゴンRが初めてですが、ワンオフ加工としては、J-LINEでは以前からやっている定番メニューです。
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なんのために、エンジン位置なんて上げるんだろう?
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いくつか意味がありますが、最大の目的は、オイルパンを守るためです。
J-LINEエンジンマウント位置上げキット。
例:アルファードのV6はオイルパンを割りやすい
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マフラー位置上げは、低車高にするとどんな車でも必要になってくるメニューなんですが……
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エンジン位置上げが必要になるかどうかは、車種やグレードによって事情が異なります。ようは車の構造による。
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どういうことですか?
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シャコタンにしたときにオイルパンを割りやすい車種とかグレードがあるという意味です。
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というと例えば?
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有名なところで言うと、アルファードのV6エンジン(3.5L車)です。
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アルファード全部、ではないんですね。
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30アルファードを例にすると、大きく分けて2.5L、3.5L、ハイブリッドに分かれていますが、この中でまず2.5Lは一番車高を落としやすいグレードなんです。
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へー。
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しかし、V6の3.5L車は、サスペンションメンバーよりもオイルパンが低い位置にある構造。だから、地面にオイルパンをヒットしやすい。
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2.5Lならオイルパンの位置が高い、というほどではないんですけれど。
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単純な、オイルパンの地上高の問題ではない!?
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そうなんです。問題なのは、メンバーよりオイルパンのほうが低いということ。
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なるほど。メンバーを先に擦るか、オイルパンを先に擦るかの違いだ。
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そういうことですね。普通の車は、車高を低くしてもヒットするのはメンバーのほうが先なんです。
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そのおかげで、オイルパンが割れずに済んでいる。
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ある意味ではメンバーにオイルパンが守られているような面があります。
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その逆が、アルファードのV6ってことか〜。
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ですね。まあ、一撃でオイルパンが割れるということはなくても、普段から擦っていればいつかは穴が開き、エンジンオイルが漏れます。
腹下で一番低いのはサスペンションメンバーのボルトや、マフラーであることが多い。
オイルパンの位置は同じ車種でもグレードで違う
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このような理由で、J-LINEの30アルファード(V6)は、メンバーよりオイルパン底が高くなるように、エンジン位置を上げてあるのです。
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実際に腹下を見てみると、今の時点でオイルパンとメンバーがツライチぐらいになってますよね。
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そしてメンバーのボルトが、一番低いポイントになっています。
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これってエンジンの位置を2センチほど上げているから、こうなんです。
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なるほど。
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本当は、オイルパンがこれより2センチ低い状態だったんですよ。
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となると、今のメンバーのボルトより低い位置に来る。
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そうなります。だからV6のアルファードって、オイルパンを割る車が多いんですよ。
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そうなのかー。
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この問題は20アルファードの時も同じでした。20系も2.4L車はある意味シャコタンにしやすい車でしたが、3.5LのV6はこの問題が発生します。
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よく問い合わせが来ました。「J-LINEのデモカーの20アルファードは、オイルパン大丈夫なんですか?」って。
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密かにエンジン、上げていたんですね。
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いや、20の時は「ウチのデモカーは、2.4Lなので(^▽^;)」で話が終わっていたんです。
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なるほど。
ホントにグレード次第なんだ。
オイルパンの底が、メンバーのボルトより高い状態。
J-LINEデモカーの20アルファード。
エンジン位置が上がるメリットは他にもある
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エンジン位置が上がるメリットは、他にも少しあります。
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ほう。
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まず、前回のマフラー位置上げの話とも連動しています。ようはエンジン位置が上がると、マフラーも根元から全体的に少し位置が上がる。
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その上で、さらにマフラーのパイプ自体を加工していって、上げているわけです。
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なるほど、なるほど。マフラーはエンジンにつながっているんだから、当然ですね。
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あとは、ローダウンによるドライブシャフトのバンザイ状態を、少しだけ緩和する効果もあります。
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ドライブシャフトのバンザイ問題ってなんのこと?……という人は、「ドライブシャフトブーツの破れ! 原因と対策」を見てください。
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とはいえ、まあ、これらはあくまでも副産物ですね。
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そうですね。
主な目的はオイルパンを守ることです。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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